アップルとの訴訟、サムスンに約590億円の賠償支払判決。主な争点はデザイン特許の重要性


アップルとサムスンのスマートフォン特許を巡る訴訟にて、サンノゼの米連邦地方裁判所はサムスンがアップルに対して約5億3900万ドル(約590億円)を支払うよう命じました。

以前もお伝えした通り、「サムスンがアップルの特許を侵害している」件は決着を見ており、今回の争点となったのは「いくら払うか」ということ。

約5億3900万ドルの内訳は、約5億3330万ドルがアップルの3件のデザイン特許(意匠権)を侵害した件についてのもの。残りの約532万ドルは機能に関する特許であり、ほぼ「iPhoneのデザインを巡る争い」に集中したかっこうです。

2011年から始まり、7年越しとなったアップルとサムスンの法廷闘争。サムスンは一度はアップルに3億9900万ドルを支払ったものの、その額が大きすぎるとして再審査を求め、2016年12月に米最高裁にて地裁への差し戻しが決まりました。

つまりサムスンは減額を勝ち取ろうとしたはずが、逆に損害賠償額が増える結果に。3億9900万ドルから5億3900万ドルへ、実に1億4000万ドルもの上積みです。

訴訟の焦点となったのは、デザイン特許がスマートフォンのどの部分にまで及ぶかという点です。アップルは特許がiPhone全体のデザインをカバーしていると主張したのに対して、サムスンはディスプレイやフロントガラス、ベゼルなど特殊な部分に限ると反論。

今回の訴訟でアップルが10億ドルを求め、サムスンが2800万ドルが妥当と訴えたのは、そうした両社の認識の開きを表すもの。5億3900万ドルは、10億ドルと2800万ドルの間を取った数字といえるでしょう。

今回の判決につき、アップルは「サムスンがデザインを大胆にコピーしたことは事実だ。弊社は陪審に謝意を表するとともに、サムスンが製品コピーにつき賠償すべきであると認めたことを喜んでいる」とコメント。


対してサムスンは「本日の判決は、最高裁が全会一致で下したサムスンにとって有利な判決を無視している。弊社は、創造性を妨げないためのすべての選択肢を検討する」とコメントしたとのこと。

注目すべきは、やはりデザイン特許において巨額の賠償が認められたことでしょう。iPhone Xの特徴であるノッチ(切り欠き)を意識したと思われるスマートフォンが各社から登場していますが、今回の判決がそうしたデザイン面に影響を及ぼすのか、見守りたいところです。