怪我の回復状況が気になる乾だが、誰よりも明るい表情でトレーニングに励んだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 30日のキリンチャレンジカップ・ガーナ戦、6月に開幕するロシア・ワールドカップに向け、25日に今合宿に招集された全選手(負傷離脱した青山敏弘/広島は除く)が揃った。負傷者は少なくなく、コンディションはバラバラ。そのため、同じメニューを全員で消化する機会はなかったが、宿舎で調整を行なった負傷中の岡崎慎司(レスター)以外の25名が汗を流した。
 
 右太ももを痛め、状態が心配されている乾貴士(エイバル)も精力的にリハビリメニューを消化。「足は日に日によくなっている」と本人が言うように、足の具合は回復に向かっているようだ。

 そんな乾だが、ある行動でこの日の主役となった。ランニング中にもかかわらず、乾は子供たちの声援に応え始めるのだ。笑顔で観客席に手を振った乾の振る舞いは周りにも波及。合流初日ということで同様にグラウンドを逆回りで走っていた酒井宏樹(マルセイユ)とすれ違うと、彼にもスタンドの声に反応するように促していく。

 最終的には酒井宏と同じメニューを行なっていた長谷部誠(フランクフルト)、長友佑都(ガラタサライ)なども、観客の声にリアクションを取るようになって練習場の雰囲気は一気に明るくなった。
 本来であれば、乾は負傷中でワールドカップのメンバー入りに向け、練習中に笑顔を見せる余裕がなかったとしても不思議ではない。しかし、稀代のテクニシャンは柔らかい表情を見せ、率先してチームを盛り上げようとしている。
 
「まだ、23人は決まっていないですが、ここからが競争だと思っている」と本人が言うように生き残りを懸ける場で、何故そこまで出来るのか。乾は練習中に明るく振る舞う意味をこう説明する。
 
「チームワークはこの合宿から作っていかないといけないので、自己中心的になってはいけない。まずはチームのためにというのを考えないといけない。自分は怪我をしているけど、チームを明るくする、盛り上げるということはできる。そこは自分も考えていた。そのうえで最後(メンバーに)残れたらいいなと思う」
 
 乾の考えの根底には、チームあっての個人という原則がある。自身が負傷中であったとしても、誰よりも明るい言動を見せるのもそのためだ。
 
「僕自身というよりも、チームがいいプレーをできればいいなと思う」とガーナ戦への意気込みを語った言葉からも”フォアザチーム”に徹していることが伺える。プレーできなくとも、乾の行動は長丁場のワールドカップを戦う上で必要不可欠だ。
 
取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)

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