実に頭のいい好青年だと思った。きちんと自分の行動や周囲の発言を整理してきて、淀みなく答え、尚且つ、他者への非難はせず、潔かった。様々な人が意見を表明しているので、その感想はパス。門外漢の筆者として感じるのは、日大の監督やコーチの旧態依然さへの批判ではなく、アメフト部の中での彼の扱いへの違和感だ。

一口に言って、宮川選手が受けた今回の問題は、完全に教育の場での「いじめ」に相当する。名簿にも入れられないのは「仲間はずれ」乃至は「シカト」に似ている。そこで、「仲間に入りたければ、何々をしてこい」という。子供の集団の中のいじめで、「万引きしてこい」「そうでないと仲間に入れてやらない」と同じである。

当事者は追い詰められて思考能力が弱くなっている。嫌だと思っても、出場選手名簿に入れてもらいたい一心で「やらなければならない」と切羽詰まってくる。悪いことだとの認識よりも仲間外れの恐怖の方が大きかったのだ。辛かっただろう。会見を決意してからは、彼は憑き物が落ちたように本来の自分を取り戻した。多分、親御さんも聡明な人たちで、人間のありようを説いたのに違いない。

「ワイド・スクランブル」に出ていた玉木正之は、「体と体の衝突だから事件としては軽いかもしれないが、この世界を冒涜したという意味では、重罪だ」と言った。正にいじめは精神の破壊である。(放送2018年5月22日)

(黄蘭)