今週末27日、東京競馬場では”競馬の祭典”と称される、3歳馬の頂点を決める大一番・GI日本ダービー(芝2400m)が行なわれる。まずはここまでの牡馬クラシック戦線を簡単に振り返ってみよう。


2歳王者ダノンプレミアムは年明け初戦の弥生賞も快勝

 今年の牡馬クラシック戦線は当初、昨年の最優秀2歳牡馬ダノンプレミアム(牡3歳/中内田充正厩舎)が絶対的な中心と見られていた。

 同馬は今年初戦のGII弥生賞(3月4日/中山・芝2000m)で、2着に1馬身1/2差をつけ完勝。戦績を4戦4勝とし、GI皐月賞(4月15日/中山・芝2000m)へ大本命馬として向かうかと思われたが、レースの10日前、挫跖(ざせき)のために回避が発表された。本命馬不在で混戦となった皐月賞は7番人気のエポカドーロが勝利し、1番人気のワグネリアンは7着と敗れる波乱。3連単は37万円を超える高配当となった。

 そして迎えるダービー。ダノンプレミアムは弥生賞以来、中11週のレース間隔で日本ダービーに出走してくる。レースレコードを更新して3馬身半差の圧勝を見せた朝日杯フューチュリティS(12月17日/阪神・1600m)など、2歳時の圧倒的な走りを思うと、この世代トップクラスの実力馬であることは間違いないが、心配されるのはレース間隔が空いたことと、2400mという距離への対応力だ。その辺りを過去の傾向や血統から占ってみよう。

 まずは中11週というレース間隔。1986年以降過去32回のダービーで、中11週以上の間隔で出走したのは13頭。勝利したのは、新馬戦勝利の後、オープン特別のすみれS(阪神・芝2200m)を勝って2戦2勝で臨んだ1996年フサイチコンコルド1頭で、それに続く着順は2003年リンカーンの8着。他の11頭はすべて2ケタ着順という厳しい数字が残っている。

 今年はアーモンドアイが3カ月ぶりの出走で、GI桜花賞(阪神・芝1600m)を勝利するなど、最近はGIに向かうローテーションの傾向も変わってきてはいるが、過去のデータからは厳しいと見る。ちなみに同条件の牝馬の大一番・GIオークス(東京・芝2400m)も11週以上のレース間隔から勝利したのは96年のエアグルーヴ1頭。偶然にもフサイチコンコルドと同じ年だった。

 過去には約7カ月ぶりで1987年GI菊花賞(京都・芝3000m)を勝ったサクラスターオー、1年ぶりで1993年GI有馬記念(中山・芝2500m)を勝ったトウカイテイオーなど、長期休養明けでGIを勝った馬は存在している。クラシックレースでも上記のような例があるので、決して不可能なことではないと思うが、これには馬の距離適性や経験も大きく関係してくる。

 ダノンプレミアムはこれまでの4戦が1600〜2000m。デビュー戦の阪神・芝1800m戦、2戦目のGIIIサウジアラビアロイヤルC(東京・芝1600m)では馬なりで2番手を追走し、勝利するというスピード感あふれる走りで完勝している。あの走りを見ると最適条件は1600〜2000mで、2400mの距離は長いとみていいだろう。

 血統を見てみよう。父ディープインパクトはダービーを含むクラシック三冠馬で、父としても2012年ディープブリランテ、2013年キズナ、2016年マカヒキと3頭のダービー馬を出している。母インディアナギャルは主にアイルランドで走り、GIIIブルーウィンドS(芝10ハロン=約2000m)、GIIIリッジウッドパールS(芝8F=約1600m)で2着。母の父インティカブは英GIIクイーンアンS(芝8F)の勝ち馬なので、血統的にもマイル〜中距離タイプと言えるだろう。前述のフサイチコンコルドが仏ダービー馬カーリアンの産駒で、母の父がスタミナ豊富なサドラーズウェルズという血統の持ち主だっただけに、血統の比較でもやや心許ない。

 サラブレッドはレースに出走することにより経験を積み、強くなるものだ。いくら調教技術が進歩したと言っても、3歳トップクラスの多くが出走する皐月賞やGI NHKマイルCに出走しなかったのは”経験値”という意味でも物足りない。とくにこの時期は急激に成長してくる馬が多いので、完成度が高かったダノンプレミアムと他馬との実力差が大きく縮まっていることも予想される。 以上のように、過去のデータ、馬のタイプ、血統などから、ダノンプレミアムの日本ダービー制覇の可能性を探ってみたが、筆者の見解として”勝つことは難しい”と言わざるを得ない。個人的な馬券では、ダノンプレミアムが絡む馬券は買わないつもりである。もし勝つようなことがあれば、またひとつの競馬の常識を覆す歴史的名馬の誕生となるだろう。それはまた、すばらしいことなので、その時は自分の見解が外れても、ダノンプレミアムを称えたいと思っている。

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