今や、競馬ファンの間でもすっかりお馴染みとなった、元「アイドリング!!!」メンバーの横山ルリカさん。残念ながら先週のオークスの予想は的中とはいかなったが、アイドル枠には収まらない鋭い視点の予想を披露してくれた。

 さて、春競馬のクライマックスとも言える今週末の日本ダービー(5月27日/東京・芝2400m)には、どんな視線を送るのか。


ダービーウィークは大忙しという横山ルリカさん

■号泣した2016年ダービー

 日本ダービー当日は、やっぱり競馬場の雰囲気もちょっと違いますね。ファンファーレひとつとっても、いつも以上に鋭く、透き通って聞こえるんです。レース自体もあっという間で、2400mの距離があるのに、「エッ、もう終わっちゃうの?」みたいな。

 一方で、新聞などは2週間前ぐらいからダービーの予想を出しているところも多いじゃないですか。私なんて、ひとつのレースを予想するのに、参考レースは全部見たいし、全馬のデータも血統も調べたいし……。結論を出すのに6日は必要で、レース前日になんとかまとめるのですが……。みんな、誰がどう予想しているのか、少しでも多くの情報がほしい気持ちになるのが、やっぱりダービーなんだと思います。

  もちろん関係者にとっても特別なレース。藤田菜七子騎手にインタビューする機会があったんですけど、やっぱり「一番勝ちたいのは日本ダービー」と言う。どの騎手もそういう話をしますが、菜七子ちゃんの口から聞いて、改めて思いの強さを感じました。

  ダービーの凄さでいえば、昨年、皐月賞馬アルアインに騎乗していた松山(弘平)さんのお話も印象的です。レースはスローペース、「これは遅い」「行かなきゃ」と、やっぱりみんな騎手の人もわかっていたらしいんです。でも、硬くなって体が動かない。それが日本ダービーなんだと。そうなると、(道中から仕掛けていったレイデオロ騎乗の)ルメールさんのメンタルはすごいなと思いますよね。判断力とメンタル、その辺りがデムーロさんとルメールさんが大舞台で強い理由なのかと思いますね。

 ダービーで一番思い出に残っているのは――まだまだ”にわか”で最近のレースしか挙げることはできないんですけど――2016年のレースです。その当日は朝7時からロケに出ていて、ちょうど15時半くらいに休憩になり、ロケバスにひとりでいたんです。ちょうどテレビで『みんなのKEIBA』が流れていました。

 私は(出走馬の)サトノダイヤモンドの新馬戦の走りを見て、ダービーを取れると感じて、以来ずっと応援していました。レースを確認すると、いいポジションを取れている。ただ、「ん? マカヒキが思っていたよりも前にいるな」と気になりました。

 最後の直線、サトノダイヤモンドが抜け出して”勝てる”って思った瞬間に、ロケバスの中でひとり、叫んじゃって(笑)。でも、マカヒキが一緒に伸びてきて、「ウソでしょ!?」って。あのとき、なかなか確定ランプが点(つ)かなかったじゃないですか。おそらく、(マカヒキ騎乗の)川田将雅騎手は自分が勝ったってわかったと思うんですけど、サトノダイヤモンドとマカヒキはまだコースの上をウロウロしていて……。

「どっち、どっち?」っていうなかで、「3(マカヒキ)」とバーンと出て、確定ランプが灯った時に、川田さんが天を仰ぐような感じで男泣きしていたのを見て、私まで号泣しちゃったんです。ダイヤモンドが負けたっていう悔しさもあったと思いますが、いつも武士みたいで結構クールな川田さんが、こんなに感情を露わにするくらい、日本ダービーというのはものすごい神聖であって、その勝利がすごいものなんだと強烈に感じて、号泣しちゃったんです。

■レースを見て驚いた別次元の走り

 私が競馬を始める以前のダービー馬では、ナリタブライアンとトウカイテイオーのインパクトが強いです。『競馬予想TV』のアシスタントになりたての時に、昔の名馬シリーズのDVDを結構いろいろ見たのですが、今も人気あるのがわかりますね。

  トウカイテイオーのダービーは1991年の5月26日。私まだ生まれてないんです(笑)。この時代、ゲートが20まであるんですよね。その20番枠から勝ったっていうのが衝撃的で。ダービーの大外枠なんて結構、致命的じゃないですか。ポジション取りにいくのにも脚をかなり使っているのに、最後は他の馬は止まって見えるっていうか、1頭だけ別次元。

 ディープインパクトの走りが「飛んでる」と言われましたけど、まさにそうでした。その後、挫折もあって、最後の有馬記念で復活するのもドラマです。どの馬も一度歯車が合わなくなったら、どんどん沈んでいってしまうのが一般的ですが、そこから盛り返せる力があるというのは本当にスターです。

 ナリタブライアン、このダービーも外枠(18頭出走17番枠)でしたよね。それなのに単勝1.2倍。あり得ないです。この馬はシャドーロールがついているから目で追いやすかったんですが、最後の直線で「どれだけ外行くの?」と思ったんですけど、そのロスも何も関係なく、軽く5馬身ぐらいちぎって勝ってしまう。もう展開とか作戦とか関係ない。圧倒的な人気を背負った馬が圧倒的な強さで勝つダービー、なかなか見られません。

 最近何回か見返したんですけど、この2頭は競馬を知るようになって、改めてすごさがわかります。

■今年のダービー、注目する馬とジョッキーは?

 私はトレセンなど取材に行く機会は多くないのですが、生産牧場の方と話す機会がたまにあります。そこでお話を聞くと、一頭一頭にどれだけたくさんの人がかかわっていて、どれだけの人がこのレースを勝たせたいと思っているか、本当に伝わってきます。

 1勝するのは大変で、能力があっても体質が弱くてレースに使えなかったりと、馬が勝ち進んでいくのは当たり前のことじゃない。だから、すべてが噛み合ってこういう大きいレースを獲れるというのは、奇跡に近いと思うんです。みんなの夢を乗せて走っているから、「この馬は来ないと思う」とか簡単には言えないですよね。

 ですが、予想はまた別です(笑)。

 今年の皐月賞(4月15日/中山・芝2000m)は、結果自体はあんまり参考にならないかもと思いつつ、(1着の)エポカドーロは父がオルフェーヴルだから距離も延びて問題ないし、評価が上がらず、また人気の盲点になるようなら、2冠達成もあるんじゃないかと。あと、(3着の)ジェネラーレウーノはすごいスタミナお化けなんじゃないかと。「これ、前残らないでしょ」という展開でメチャメチャ飛ばしていたじゃないですか。なのに、アレッ、なんか3着に残っている、と。

 皐月賞組では、キタノコマンドールが脚をすごく使えていましたし、一番運がある馬っていう意味でも注目しています。去年まで皐月賞は4着までしかダービーの優先出走権がなかったのが、今年から5着までになったところで、きっちり5着。目一杯の力を出さずに5着を取れたっていうのが一番大きいかなと思います。また、(NHKマイルC2着の)ギベオンが回避で、デムーロ騎手がキタノコマンドールになるという意味でも、この馬はツイてるなと思います。

 消耗がないという点では、別路線からくるブラストワンピースですかね。毎日杯(3月24日/阪神・芝1800m)のレベルを疑われていましたが、2着のギベオンがNHKマイルで走りましたからね。皐月賞に向かわず、ダービーに直行するっていうのは相当自信があるのかなと思いますし。コースも距離も全部経験できているというのは大きいと思います。

(皐月賞4着の)ステルヴィオも、当日もう少し晴れていたら、もっと上に来ていたんじゃないかなという脚だったので。ダービーもお天気だったらいいでしょうね。

 難しいのはダノンプレミアムの取捨ですね。正直、一番強いとは思いますし、順当に皐月賞に出ていたら、ずっと1番人気で鉄板だったと思うんですけど、一頓挫あったとなると、どうなんでしょう。私はちょっと軸では買いづらいですね。おそらく1番人気は皐月賞組ではなく、ブラストかダノンのどちらかになるのかなと思います。現段階で私の期待はブラストワンピース。強い勝ち方をするのを見てみたい。未知の魅力と、ギベオンを物差しにして考えても強いと思います。

 今年はサトノダイヤモンドほど強い思い入れの強い馬はいないのですが、ジョッキーでは蛯名(正義)騎手に注目していて、悲願のダービー制覇を見たいです。(蛯名騎手騎乗の)マリアライトの宝塚記念でいい思いをした後に、セレクトセールでお会いして、お礼を伝えたら、ものすごい優しい対応をしてくださいました。普段の競馬では険しい表情をされていることが多かったんですけど、全然イメージが違いました。娘さんがいらして、お父さんの顔でした。(ダービー5勝の)武豊さんと同期ですし、過去のダービーで2着が2回。(ゴーフォザサミットに騎乗する)蛯名さんにはダービーをぜひ勝ってほしいなと思います。

 今年のダービーは私も大充実です。金曜日に「大手町ダービーナイト」に参加して、土曜日は東京競馬場に行き、「前夜祭」という形でイベントに出演する予定です。そして、当日はテレビの公開生放送で、京都競馬場でお客さんと一緒にモニターで観戦です。京都競馬場にいらっしゃる方と一緒にダービーを見て盛り上がりたいと思います。

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