2018年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牡馬編:第4弾)

 牡馬クラシック第1弾のGI皐月賞(4月15日/中山・芝2000m)は、大本命と目されていたダノンプレミアム(父ディープインパクト)が、レース1週間前に負傷によって回避を表明。一気に混戦ムードとなる中、7番人気のエポカドーロ(父オルフェーヴル)が戴冠を遂げた。


牡馬クラシック第1弾の皐月賞はエポカドーロの完勝だった

 以下、2着には9番人気のサンリヴァル(父ルーラーシップ)、3着には8番人気のジェネラーレウーノ(父スクリーンヒーロー)が入線。人気上位馬がことごとく馬群に沈んで、波乱の決着となった。

 その後、クラシック第2弾となる日本ダービー(5月27日/東京・芝2400m)への最終切符を巡って、3つのトライアルが行なわれた。GII青葉賞(4月28日/東京・芝2400m)はゴーフォザサミット(父ハーツクライ)、GII京都新聞杯(5月5日/京都・芝2200m)はステイフーリッシュ(父ステイゴールド)、そしてオープン特別のプリンシパルS(5月5日/東京・芝2000m)はコズミックフォース(父キングカメハメハ)が勝って、それぞれダービーの出走権を手にした。

 こうして、ダービー1週前の時点で21頭が出走登録。クラシック本番に突入してからも目まぐるしく戦況が変わり、日刊スポーツの木南友輔記者はこんな感想を漏らした。

「ここ数年で(勢力図が)最もよくわからなかった世代です。巷で言われているように、ディープ産駒の不調があったこともあるのでしょうが、ノーザンファーム生産馬、育成馬の”使い分け感”が色濃くなって、各馬の実力比較が難しくなった印象があります。今後、その傾向は一層増していくでしょう。その意味でも、しっかりと2歳戦の分析をしなくてはいけないと、痛感させられましたね」

 そんな状況の中、いよいよ世代の最強馬を決める日本ダービーが行なわれる。そこで、同舞台を見据えた3歳牡馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今回はダービーに出走予定の3歳牡馬の実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。


 3歳牡馬のランキングは前回も大きな動きがあったが、今回もかなりの変動が見られた。

 1位は、前回万票から4ポイント落とすことになったが、ダノンプレミアムが何とかその座を死守した。実力は世代屈指だが、皐月賞の一頓挫がダービーにどこまで影響するのか、気になるところだ。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「皐月賞に向けて、時計を1本も出さずに1週前の時点で回避の発表。これが意味するところは、弥生賞(3月4日/中山・芝2000m)を使った時点で、皐月賞の出走が厳しくなっていたと判断していいでしょう。

 その要因は、父であるディープインパクトも同様でしたが、能力が高すぎるゆえ、爪が薄いこと。走る馬はどうしても爪の摩耗が大きく、間隔を開けて回復させないと、しっかりと走ることができません。皐月賞を回避する原因となった挫跖(※ざせき/硬いものを踏んだときなどに起きる蹄の底の炎症)は、まさしく爪の薄い馬がなりやすい症状です。

 今回、中11週で挑むこととなるダービーに向けては、4〜5週前から追い切りを開始。弥生賞時と比較しても、この追い切り開始日や本数からすれば、きっちりと出走できる態勢にもっていけそうです。

 馬体やフットワーク、適度にクッションのある長めのつなぎからすれば、初距離となる2400m戦でも同世代との対戦なら、何の不安もありません。ローテーションもある意味、この馬の好走パターンと判断すれば、ダービーでも今までどおりのパフォーマンスが見られそうです」

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「皐月賞は、完調な状態で出走できていれば勝てたと思っています。なにしろ、皐月賞に出なくても、弥生賞におけるTF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)をもってして、全体の2位の数値を保持していますから。能力的には実質1位と断言できます。

 ダービーで問題があるとすれば、先行脚質であることと、体調が持続しているかどうかということ。早め早めの競馬で突き放すという芸当は、マイル戦とか、舞台で言えば中山や阪神向き。直線の長い東京で、しかも2400mのレースで『まったく問題はない』とは言えません。弥生賞以来となりますから、完調でないと、なおさら不安が増します。それでも、能力だけで勝ってしまう可能性も否定はできませんが……」


 2位は、前回3位だったブラストワンピース(父ハービンジャー)。皐月賞に出走しておらず、ハイレベルなメンバーとの対戦はないが、はたして……。

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「皐月賞は、トライアル戦のスプリングS(3月18日/中山・芝1800m)2着馬が勝って、弥生賞4着馬が2着。先日のGI NHKマイルC(5月6日/東京・芝1600m)は、前哨戦のニュージーランドトロフィー(4月7日/中山・芝1600m)2着馬が勝って、毎日杯(3月24日/阪神・芝1800m)2着馬が2着。戦ってきた相手のレベルは微妙な評価になるんですが、これだけ混戦の世代ゆえ、新馬、ゆりかもめ賞(2月4日/東京・芝2400m)、毎日杯と3連勝してここまで無敗なのは、大きな魅力です。

 昨年のオークス(東京・芝2400m)でモズカッチャンが2着となって、ハービンジャー産駒も3歳春には間に合うことがわかりました。とはいえ、毎日杯以来という”異色のローテーション”だけに、直前の気配をきちんとチェックすることが重要になります」

土屋真光氏
「ここまで3戦無敗。その3勝のレベルがどうかですが、毎日杯で破ったギベオンがNHKマイルCで僅差の2着。もう少し展開が向いていれば、押し切ることができた内容でした。そのギベオンがマイルよりも適距離とする毎日杯で、ブラストワンピースは同馬をほぼ相手にしない競馬で勝っていますから、かなりの力があると見ていいでしょう。

 距離についても、2戦目のゆりかもめ賞ですでに経験済み。同レースでは4馬身差の完勝で余裕のあるレースぶりでしたから、さらに厳しいレースになっても十分に対応できそうです」

 3位は、皐月賞を制したエポカドーロが圏外から一気に浮上。ただ、皐月賞制覇は「展開に恵まれた」という見方もあり、識者たちの見解も高ポイントか、ポイントなしという正反対の評価に分かれた。

木南氏
「皐月賞は、先行3頭から離れた好位馬群の先頭を走る形。『展開や馬場状態が向いた』という面があったにせよ、2着馬を突き放して、上がりタイムも最速だった4〜6着馬に次ぐ数字でしたから、本当に強かったと思います。

 小倉では、青葉賞の3着馬スーパーフェザーを寄せつけずに勝っていますし、先行馬でも末脚がしっかりしていて、2400mに距離が延びても崩れないイメージがあります。輸送が続くことは気になりますが、中間の気配次第で二冠も十分にあり得ると思います」

市丸氏
「指数では、2位の2頭に3ポイント差をつけており、皐月賞を終えた時点では頭ひとつ抜けた1位という評価になっています。

 ただ、皐月賞は確かに強かったのですが、展開に恵まれたことは否定できません。前に行った3頭はハイペースだったものの、後続集団はスローな流れ。その一番前で事実上逃げる形になって、何もかもがうまくいっての2馬身差勝ち。クラシックを勝ったのですから、世代最強馬と言えるのでしょうが、初めての左回り、直線の瞬発力勝負になりそうなダービーでは、掲示板を外してもおかしくないと思っています」

 4位は、前回2位のワグネリアン(父ディープインパクト)。皐月賞で7着という結果に終わり、11ポイントも減らした。昨秋には1位の評価を受けていたが、大一番での巻き返しはあるのだろうか。

土屋氏
「皐月賞からハミを変えてきたように、レースに向かうワグネリアンにとって何がベストなのか、陣営はいまだ試行錯誤を繰り返している状態。ただ、逆に言えば、それでいてデビューから3連勝を飾ったのはさすがですし、その試みからは、皐月賞を捨ててでもダービーでベストを尽くすという姿勢が感じられました。

 そう考えれば、後続に3馬身差をつける圧勝劇を演じた東京スポーツ杯2歳S(11月18日/東京・芝1800m)のパフォーマンスからして、見限ることはできません。むしろ、人気を落としてくれるなら、積極的に狙いたい1頭です」

“混戦”を物語るように、5位には3頭がランクインした。皐月賞2着のサンリヴァル、3着のジェネラーレウーノ、そして5着のキタノコマンドール(父ディープインパクト)である。

市丸氏
「サンリヴァルは、皐月賞で2着と健闘。勝ったエポカドーロには敵いませんでしたが、前で粘るジェネラーレウーノをかわして、人気の追い込み馬たちを抑えたのですから、強いレースをしたと思います。そのため、指数も高くなりました。

 しかしながら、ダービーとなると、話は別です。ホープフルS(4着。12月28日/中山・芝2000m)、弥生賞(4着)の結果を見ても、皐月賞は恵まれた面が大きいことは否定できません。初めての府中、それも2400mでは、馬場が悪化するとか、先行馬ペースになるとかしないと、厳しいのではないでしょうか」

吉田氏
「やや重としては時計が速かった皐月賞において、ジェネラーレウーノは先に抜け出した3頭による雁行の真ん中で、非常に厳しい展開を強いられました。そんなふうにして、常にプレッシャーを受ける状況にあったことを思えば、『負けて強し』と言っても過言ではないでしょう。

 また、京成杯(1月14日/中山・芝2000m)から3カ月ぶりの実戦で、トモのボリュームや前後のバランスが100%ではなかったのも事実。その点を加味すれば、3着という結果はなおさら立派に映ります。

 気性的に一戦必勝態勢の可能性があり、中5週で挑むダービーは、過去の戦歴からしても微妙なところですが、皐月賞より前後のバランスがよくなって出走してくれば、主導権を握れる強みを生かせるのではないでしょうか」

本誌競馬班
「キタノコマンドールは、わずかデビュー3戦目にして皐月賞に出走。そこで、ダービーへの優先出走権を得られる5着という結果を残したことは、及第点の評価が与えられると思います。舞台が直線の長い東京競馬場に変わって、自慢の末脚が生きる展開になれば、大仕事を果たしても不思議ではありません」 大混戦で迎える3歳世代の”頂上決戦”。ひと筋縄では収まりそうにないが、競馬界最高峰の舞台にふさわしい、白熱した戦いが見られるはずだ。

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