インスタグラム上で、主婦を狙った詐欺が横行しています(写真:naka / PIXTA)

「インスタグラム(以下、インスタ)」上で女性、中でも主婦を狙った詐欺が横行している事実をご存じだろうか。今回は代表的な被害のパターンから主婦ばかりが詐欺業者に狙われる理由や、その回避策について解説したい。

インスタは近年、特に注目を集めるSNSの1つ。スマホで撮影した画像をフィルターで加工したり、加工した写真を投稿したりできるのが特徴だ。昨年「インスタ映え」が「忖度」と並び、「ユーキャン新語・流行語大賞」を受賞したことも記憶に新しい。

インスタ映えという言葉が示すように、美しく加工したオシャレな写真ばかりが投稿されるSNSと思われがちである。しかし、主婦の間では日常の記録や情報収集のために利用されることも少なくない。

たとえば、「#節約生活」や「#節約レシピ」というハッシュタグがつけられた投稿を見ると、主婦たちによる節約レシピの写真が多く並ぶ。また「#家計」や「#家計簿」の場合、その月の収入や食費などの収支を記した家計簿の写真などが目立つ。このような投稿はインスタ映えするものではないが、日々の暮らしの参考になる。そのため多くの主婦から「いいね!」という形で支持を集めている。

「インスタ詐欺」を働く詐欺業者の3つの特徴

上記のような投稿を見ると、時々「#スマホビジネス」や「#副業収入」「#副業主婦」といったハッシュタグが関連表示される。


時折、関連表示される「副業」に関するハッシュタグ(編集部撮影)

クリックすると、副業のメリットを喧伝する投稿が多く表示されるが、投稿主であるユーザーの中には詐欺業者が多く混じっていることに注意したい。

消費者庁もインスタを悪用した詐欺を問題視している。2017年10月には、撮った写真をインスタグラムに投稿するだけでおカネが稼げるとうたうWebサイト「カシャカシャビジネス」について注意喚起した。問題のサイトはすでに閉鎖済みだが、同様の手法をまねる模倣犯は今も後を絶たない。

インスタを悪用する詐欺業者の投稿には3つの特徴がある。まず彼らが投稿する写真には、「札束を持った自撮り写真」や「リゾートホテル」「ブランドバック」「小さな子ども」が写ったものが多い。写真とともに、「1カ月で10万超え」「たった10分でできる」「初心者でも稼げます」など甘い誘い文句が書かれているのも特徴である。また、「興味がある人はLINEに連絡してね」などの文言とともに「LINE ID」が記載されている。


副業のメリットを喧伝する投稿(編集部撮影)

実際にLINEで連絡を取ると、「副業のためには初期投資が必要」という返信とともに数十万円近くの支払いを要求される。「初期投資だから仕方ない……」と思って支払いを済ませたとしても、送られてくるのは通販サイトの運営方法やFX投資で儲ける方法について書かれたPDFファイルだけ。もちろん支払った金額に見合った情報ではなく、ネットでも手に入るようなありふれたものばかり。それらを使って儲けるためには自分も同じように誰かに情報を売るしかない。つまり、情報商材ビジネスと同じ仕組みである。

筆者のまわりでもインスタ詐欺に遭った主婦たちは多くいる。地方在住のSさんはインスタグラム上で知り合ったママ友から誘われ、「家計の足しになるなら」と思って、独身時代に貯めた20万円を支払った。しかし、それで得たのは通販サイトを開設して売るための権利とその運営方法について書かれたPDFファイルのみ。そこには「家族や友人、自分のまわりの人を勧誘すればおカネが手に入る」とも書かれていたが、彼女にはそんなまねはできなかった。今も彼女は「大事に貯めたおカネだったのに。あの時、少しでも旦那に相談すればよかった」と後悔している。

主婦ばかりが被害者になる社会的な理由

副業を勧めるアカウントの投稿には、「#主婦」や「#在宅」「#ママ友募集中」などのハッシュタグが多く使われていることから、子育て中で家にいる主婦がターゲットにされていることがうかがえる。

主婦があり得もしない儲け話の誘いを鵜呑みして、騙されるのにもいくつか理由がある。まずは、「フィルターバブル」である。フィルターバブルとは検索エンジンなどの学習機能によって、インターネットでユーザーが好ましいと思う情報ばかりが表示されてしまう現象だ。被害に遭ったSさんも当時は、副業について楽観的な情報ばかりを見ていたという。

また、子どもが未就学児の専業主婦の場合、預け先がなく働きたくても働けないケースが多い。子育てにはおカネがかかるため、金銭的にも心理的にも追い詰められた主婦が副業の誘いに一縷(いちる)の望みを託してもおかしくない。そのほかにも、主婦の周囲に相談できる相手が少ない、男性ほどネットリテラシーが高くない女性が多いことも理由として挙げられる。

インスタグラムは、あくまでファッション誌のように見て楽しんだり、友人と交流したりするために活用するのにとどめたほうがいい。また、怪しい誘いが送られてきたら、相手のアカウントの名称などを検索して評判を確認したり、家族など周囲の人に相談したりするのが望ましい。

インスタグラム以外にもフェイスブックやツイッターなど主要なSNSには、詐欺業者が潜んでいる。現実同様、甘い言葉で彩られた儲け話には一歩引いて見てほしい。