きのう16日(2018年5月)、大阪大学の研究チームが、世界で初めてiPS細胞をつかった心臓病治療の臨床研究の承認を受けた。厚生労働省の部会が「患者が手術に同意する際の説明文をわかりやすく書き換えること」などの条件をつけたうえで、了承した。

研究チームの責任者である大阪大学心臓血管外科の澤芳樹教授は「1人でも多くの患者さんを助けることができれば」と話している。

移植でしか助からない患者を救いたい

日本ではiPS細胞を治療に役立てようとさまざまな研究が進んでいる。今回はiPS細胞を心臓の筋肉に変化させ、心臓移植でしか助からない患者を救おうという研究だ。iPS細胞による1億個の心筋細胞で1枚の心筋シートを作り、これを患者の心臓に貼りつけ、弱った細胞を活性化させて心臓の機能を回復させる。動物の心臓で実験したところ、シートを貼った後は心臓の機能が平均で20%改善したという。

iPS細胞の生みの親、京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授もきのう、「新しい重症心筋症に対する治療法として確立されることを期待するとともに、慎重に経過を見守りたい」とコメントした。大阪大学の臨床研究で使われるiPS細胞は、山中教授の研究所から提供される予定だ。

iPS細胞実用化のスピードアップ

科学ジャーナリストの寺門和夫氏は「山中先生の一刻も早く実用化したいという思いもあって、日本ではスピーディに研究が進んでいます」という。

先月(4月)、山中教授を取材した水卜麻美キャスターは「山中先生はマラソンが好きで、自分の研究を『患者さんたちが待っているゴールに向かって、仲間とともに走るマラソンのようなもの』と話していたのが印象的でした。細胞を見ていても、患者さんの顔が浮かぶそうです」と報告した。