JRAの数あるGIレースの中でも「最も荒れるGI」と言えるのが、5月13日に行なわれるヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)ではないだろうか。過去の結果を振り返ってみれば、まさしく波乱の連続である。

 最近4年間の勝ち馬を見ても、そのことがよくわかる。

 2014年に11番人気のヴィルシーナが優勝すると、2015年には5番人気のストレイトガールが勝利し、翌2016年も同馬が7番人気で連覇を達成。さらに昨年は6番人気のアドマイヤリードが勝って、穴馬の戴冠が続いているのだ。

 また、2015年には2着に12番人気のケイアイエレガント、3着にはなんと18番人気のミナレットが入って3連単の配当が2070万5810円という超”お宝馬券”まで飛び出している。これは、GIにおける3連単の最高配当となっている。

 過去10年の結果を見ても、2、3着に10番人気以下の”大穴”が突っ込んでくるケースが少なくない。おかげで、3連単の配当が1万円以下に収まったのは、わずか1回。古馬牝馬が競う「春の女王決定戦」は、さながら「万馬券、春の大放出セール」といったレースとなっている。

 とすれば、もちろん狙うは高配当である。そこで、過去10年の穴馬を参考にして、今年のレースで”オイシイ馬券”をもたらしてくれそうな激走馬を探し出してみたい。

 まず、このレースで重要な要素となるのが、「東京・芝マイルでの勝利実績」だ。

 2013年に12番人気で2着となったホエールキャプチャに、先述した2014年の勝ち馬ヴィルシーナ、そして2016年に連覇を遂げたストレイトガールは、それぞれ1年前のこのレースを制していた。

 さらに昨年、11番人気で2着と波乱を演出したデンコウアンジュも、2歳時に同舞台で行なわれたGIIIアルテミスSを制覇。この舞台での勝利実績がある馬の大仕事が目立っている。

 そうなると、東京・芝マイル戦で勝ち星のある馬は要チェック。人気どころのリスグラシュー(牝4歳)やアエロリット(牝4歳)など、何頭かがその条件を満たしているが、馬券的な妙味を考えれば、エテルナミノル(牝5歳)に、先述のデンコウアンジュ(牝5歳)やレッドアヴァンセ(牝5歳)あたりに目がいく。

 なかでも、ここではレッドアヴァンセを推したい。


東京・芝マイル戦での実績があるレッドアヴァンセ

 同馬は、2走前に1600万下を卒業。そのレースが、東京・芝マイルのユートピアS(2017年11月18日)だった。舞台適性は十分だ。

 加えて、前走でGII阪神牝馬S(4月7日/阪神・芝1600m)に挑戦すると、2着と健闘。一線級相手でも互角に戦える力を示した。

 それでも今回、多くの有力馬の陰に隠れて伏兵扱いにとどまりそうで、穴党としては見逃せない存在だ。阪神牝馬Sで上位に来てここに挑むのは、昨年の勝ち馬アドマイヤリード(阪神牝馬S2着)、3着馬ジュールポレール(同3着)と同じローテション。激走への期待が一層膨らむ。

 続いて、ヴィクトリアマイルで目立つのが「低迷していたGI馬の復活」だ。

 先に触れた2013年の2着馬ホエールキャプチャと、2014年の勝ち馬ヴィルシーナは、その最たるものだろう。

 ホエールキャプチャは、前年のヴィクトリアマイルでGI初勝利を飾りながら、それ以後は5走続けてふた桁着順に沈んでいた。ゆえに、一気に評価が急落し、12番人気に甘んじた。

 ヴィルシーナも前年のレースを勝ったあと、6走して一度も掲示板に載ることがなかった。しかも直前の2走はともに11着と、深刻なスランプ状態にあった。そうした状況で迎えたGI戦。前年の覇者とはいえ、11番人気まで評価が下がるのも致し方なかった。

 しかし、これら2頭は、かつて輝いた春のひのき舞台で見事に復活したのである。ならば、今年も同じようなパターンを狙いたい。

 出走予定馬の中で低迷しているGI馬を探せば、ソウルスターリング(牝4歳)とレーヌミノル(牝4歳)の2頭が挙げられる。面白いのは、より人気が低くなりそうなレーヌミノルだ。

 昨春、3歳牝馬クラシックのGI桜花賞(阪神・芝1600m)を制した同馬だが、その後は勝ち星がなく、GIマイルCS(2017年11月19日/京都・芝1600m)の4着が最高成績となる。ここ3走は掲示板にも載れず、厳しい状況が続いている。

 とはいえ、マイルCSを含めて、マイル以下のレースに路線を絞ってからは着順ほど大きく負けているわけではない。前走のGI高松宮記念(3月25日/中京・芝1200m)でも、結果は7着ながら、勝ち馬との差はわずかコンマ3秒。大舞台であっても、ちょっとしたことで勝ち負けできる力はいまだに保持している。

 何より今回は、桜花賞を勝って、マイルCSでも好走した得意の1600m戦。復活の下地はある。激戦になれば、最後はGI馬の復活を叶えてきた歴史が後押ししてくれるに違いない。

 再度、過去の穴馬の戦績を詳しく見てみると、このレースでは「勢い」も重要なポイントであることがわかる。

 2009年に11番人気で2着となったブラボーデイジーは、前走でまだ1600万下の身ながらGIII福島牝馬S(福島・芝1800m)に挑戦。見事に優勝して、その勢いのままGIの舞台でも激走した。

 昨年、7番人気で3着となったジュールポレールも、条件戦を3連勝してオープン入り。すかさず重賞の阪神牝馬Sに挑んで3着と好走し、ヴィクトリアマイルでも低人気に反発して上位争いに加わった。

 これらの例が示唆するのは、人気薄でも勢いのある上がり馬は無視できないということ。その視点で改めて出走予定馬をチェックすると、今年は最初のパターンでも挙げたレッドアヴァンセ、デアレガーロ(牝4歳)、メイズオブオナー(牝4歳)などがその候補となる。

 そのうち、最も食指が動くのが、デアレガーロである。

 同馬は2走前の市川S(2017年12月3日/中山・芝1600m)で1600万下を卒業。オープン入りを果たすと、前走ではGIII京都牝馬S(2月17日/京都・芝1400m)に挑んで、僅差の2着と奮闘した。トップレベルでも通用する走りを即座に見せたのである。

 それでも今回は、前述のレッドアヴァンセと同じく、多くの実力馬が顔をそろえて、伏兵扱いの域を出ない。ふた桁人気の大穴になる可能性も高いが、過去の歴史からして、その勢いを軽視するのは禁物だ。伸び盛りの4歳馬ゆえ、さらなる成長も見込める同馬の一発に期待するのも悪くない。 幾多の万馬券を生んできたヴィクトリアマイル。無論、注目はヒロインたちの華麗な戦いだが、最大の関心事は、今年はどんな大波乱が待っているのか、である。そのとき”お宝馬券”をガッチリつかむヒントは、きっとここに記されている。

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