所属するニースでの活躍が認められ、アッズーリ復帰への期待が高まっているバロテッリだが、代表のOBや国民の反応は…。 (C) Getty Images

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 イタリア・メディアによると、現在ロシアのゼニトで監督を務めるロベルト・マンチーニが、イタリア代表の次期監督に就任する見通しとなっている。そこで注目されるのが、インテルやマンチェスター・シティ時代の愛弟子、マリオ・バロテッリの代表復帰だ。

 2014年のブラジル・ワールドカップ(W杯)で戦犯のひとりとされたバロテッリは、同年夏ごろからリバプールやミランでスランプに陥り、アッズーリ(イタリア代表の愛称)から遠ざかった。

 2016年夏に移籍したニースで復活を遂げ、今シーズンも自己最多となる公式戦24ゴールを挙げているものの、ジャンピエロ・ヴェントゥーラ体制では招集されることがなかった。

 そんなバロテッリにとって、恩師マンチーニの監督就任は、代表復帰に向けて追い風になり得る。イタリア紙『Gazzetta dello Sport』は先日、バロテッリがアッズーリに復帰すると報じた。

 ただ、なにかと世間を騒がせてきたバッドボーイの復帰を、イタリア・サッカー界はどのように受け止めているのだろうか。『Gazzetta dello Sport』紙は5月9日、バロテッリに関するアッズーリのOBたちのコメントを伝えている。
 
 現役時代にインテルとイタリア代表でGKとしてプレーしたジャンルカ・パリュウカは、「最後に世間を騒がせたのを私は覚えていない。これがすでに良い兆しだ」と、バロテッリが精神面で成長したと指摘。「だれもが年をとるから、私は新しいバロテッリを信じる」と期待を寄せた。

「いまの代表にも強いアタッカーはいる。アンドレア・ベロッティやチーロ・インモービレがそうだ。だが、マリオに匹敵する技術やフィジカルのクオリティーを持ったFWはいない。元GKとしての立場から言わせてもらうと、マリオは非常に難しい相手だよ」

 パリュウカは、「守備にも尽力するようになれば、彼はほぼ完璧なアタッカーだ」とバロテッリを絶賛した。そして同じように、「我々にこんなFWは他にいない。フィジカル、クオリティー、モビリティーとすべてを備えている」と称賛するのが、1982年W杯の優勝メンバーでもあるマルコ・タルデッリだ。

「私はバロテッリをとても信頼している。もうすぐ28歳で、これが本当にラストチャンスだと自分で分かっているだろうしね」
 

 ユース時代にバロテッリを代表で指導した経験を持つピエルルイジ・カジラギも、バロテッリのパーソナリティーが「いまの代表に貴重となるかも」とコメント。現在のアッズーリにない力をもたらせるとの見解を示した。

「(指導していて)驚いたのが、フィジカルの使い方やキックの能力だ。(W杯出場権を逃した)スウェーデン戦のように、守備を固める相手との対戦で我々に欠けていたものだよ。これまではゴールを量産していないが、ニースではコンスタントに決めるようになった」
 
 一方で、デメトリオ・アルベルティーニは「素晴らしい選手」とバロテッリを評価しつつ、サッカーに対する全般的な意識改革が必要だと述べた。

「問題は監督ではなく、本人の姿勢、コンスタントにプレーしたいという意欲があるかどうかだと思う。技術面のクオリティーについては、だれも疑っていない。だが、これまでの監督は、ボールを持っているときよりも持っていないときのほうがずっと大事だと繰り返していた。同じことを言われたときに、彼がどう動くか。激しくボールを取り戻しにいけるかどうか、そこだろうね」

 ただ、インテル時代の兄貴分であるマルコ・マテラッツィは、活躍できるかどうかの鍵を握るのは、やはり指揮官になるとの考えだ。ピッチでのパフォーマンスは代表復帰に「ふさわしい」と言い切るマテラッツィは、マンチーニに「アドバンテージ」があると話している。

「マンチーニはバロテッリの“操り方”や、どのように信頼すればいいかを知っている。これはマリオのような選手にとって些細なことじゃない。走って、プレッシャーをかけ、最初のDFにもなれれば、彼はとんでもない選手になれる。その他の能力はすでに備わっているのだからね」

 アッズーリOBだけでなく、国民の間でもバロテッリを代表に呼び戻すことには賛否両論があるだろう。“悪童”の代表復帰が実現した場合、イタリアのファンはどのように受け止めるのだろうか。