3歳馬のマイル路線における頂点を決するGI NHKマイルC(東京・芝1600m)が5月6日に行なわれる。

 同レースはかつて、「マル外ダービー」と称されて、クラシック出走が叶わなかった外国産馬が活躍。人気の実力馬がその力を示す、手堅いレースという印象があった。

 それが、やがて外国産馬にもクラシックへの門戸が開放され、現在のように3歳馬の「マイル王決定戦」として趣が変わっていくと、一転して波乱含みのレースとなった。

 象徴的なのは、2009年と2013年だ。

 2009年は、10番人気のジョーカプチーノが先行して押し切り勝ち。2着に5番人気のレッドスパーダ、3着に13番人気のグランプリエンゼルが入って、3連単は238万1660円というビッグな配当となった。

 2013年も、10番人気のマイネルホウオウが大金星を挙げて、2着に6番人気のインパルスヒーロー、3着に8番人気のフラムドグロワールが入線。こちらも、3連単の配当は100万円超えを記録した。

 これ以外の年も、2、3着に10番人気以下の超大穴が飛び込むことも珍しくなく、まさしく”穴党”好みのレースと言える。

 とすれば、今年も”大荒れ”の展開を期待してみてはどうだろうか。実際に出走予定メンバーを見ても、波乱の匂いがプンプンする顔ぶれである。

 そこで、過去10年の穴馬を参考にして、今回激走しそうな馬をあぶり出していきたい。

 まず、過去の穴馬を見てみると、ひとつの共通点があることがわかった。それは、「オープン以上のレースを勝っている」ということだ。

 例えば、先述のジョーカプチーノは2走前にGIIIファルコンS(中京・芝1200m)で優勝。同じくマイネルホウオウも、3走前のオープン特別・ジュニアC(中山・芝1600m)を勝っていた。

 ただ、そうした実績がありながら、直前の敗戦などによって人気を落としてしまった。ジョーカプチーノはファルコンSのあと、GIIニュージーランドT(中山・芝1600m)で3着に敗れ、マイネルホウオウはGIIスプリングS(中山・芝1800m)で3着、続くニュージーランドTで7着に敗れて、その評価を下げた。

 今回も狙うべきは、こうした馬たちだろう。オープン以上のレースを勝っていながら、直前のレース、とりわけニュージーランドTで敗れて、人気が急落しそうな馬だ。

 今年のメンバーでは、カシアス(牡3歳)とリョーノテソーロ(牡3歳)がそれに当てはまるが、より妙味があるのは、リョーノテソーロだろう。

 同馬は、ダート戦の未勝利、500万下と連勝したあと、芝のオープン特別・クロッカスS(1月27日/東京・芝1400m)も勝って3連勝を飾った。しかし、続く前走のニュージーランドT(4月7日)で8着に敗戦。それによって、人気が急降下している。

 スポーツ紙や競馬専門紙の評価を参考にすれば、おそらくふた桁人気になることは間違いないが、過去の例からして、巻き返しは十分に考えられる。

 だいたい前走は初の1600m戦と、不安要素が多かった。トリッキーな中山の芝コースに戸惑った感もある。クロッカスSを勝った東京コースに戻って、再び実力の高さを示してもおかしくない。

 続いて、NHKマイルCの歴史を振り返ってみると、牝馬の活躍が際立っていることがわかる。昨年、一昨年と牝馬が連勝しているほか、13番人気で3着に飛び込んできた2009年のグランプリエンゼルや、同じく13番人気で2着となった昨年のリエノテソーロなど、波乱を生んだ馬もいる。

 グランプリエンゼルとリエノテソーロのNHKマイルCまでの戦績を見ると、やはりこの2頭もオープン以上のレースを勝っていた。前者はオープン特別の橘S(京都・芝1200m)を、後者はオープン特別のすずらん賞(札幌・芝1200m)に、地方交流GIの全日本2歳優駿(川崎・ダート1600m)も制していた。

 しかしながら、勝った舞台が1200mの短距離戦、もしくはダート戦だったこと、さらに牝馬ということで、2頭とも本番ではまったく人気にならなかった。

 というわけで、今年もオープン戦以上での勝ち星がありながら、人気が上がりそうもない牝馬を狙いたい。

 当てはまるのは、プリモシーン(牝3歳)とロックディスタウン(牝3歳)だが、ここではより人気が低そうなロックディスタウンを推したい。

 昨夏、新馬勝ちを決めたあと、GIII札幌2歳S(9月2日/札幌・芝1800m)も制して、一躍クラシック候補に挙がった同馬。ところが、GI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月10日/阪神・芝1600m)で9着と馬群に沈むと、前走のGIIIフラワーC(3月17日/中山・芝1800m)でも13着と大敗を喫した。

 この結果から、クラシックでの戴冠という夢は絶たれた。さすがに今回も復活するのは厳しいと見られているが、そもそも牡馬の実力馬を蹴散らしてきた彼女である。GIを含めて4戦連続で1番人気に支持されてきた、その潜在能力は捨て難い。

 なお、2012年に15番人気で3着となったクラレントも、2歳時に新馬、重賞と連勝したあと、その後は大きく低迷していたが、この舞台で突如復活を遂げている。ロックディスタウンがその再現を果たしたとしても不思議ではない。

 最後に取り上げたいのは、ステップレースであるファルコンSからの参戦組である。

 2012年から1400m戦になったとはいえ、本番よりも距離が短く、比較的メンバーも手薄なため、このレースを経由してきた馬の取り捨ては、毎年ファンを悩ませている。そして、先述のジョーカプチーノのように、ファルコンSの勝ち馬が穴を開けるケースがしばしばみられる。

 冒頭で触れた2013年に6番人気で2着となったインパルスヒーローもその1頭。3連勝でファルコンSを制しながら、続くこの舞台では、距離適性への不安やレースレベルが疑問視されて、上位を争うほどの人気は得られなかった。

 実は今回、これに似た馬がいる。ミスターメロディ(牡3歳)である。


ファルコンSを制したミスターメロディ

 同馬は、500万下のダート戦を勝ったあと、初芝となった前走のファルコンS(3月17日/中京・芝1400m)を連勝で制した。そこから、NHKマイルCに挑むのは、インパルスヒーローと同じパターンだ。

 とはいえ、これまでダート戦を含めて1400m以下のレースしか経験していないこと、加えて今回は相手が一段と強化されることから、あくまでも伏兵扱いの域を出ない。

 ならば、”オイシイ”1頭である。ダート戦が4戦ながら、5戦3勝、2着2回と連対率は100%。初の芝レースで、後続に1馬身4分の1差をつける完勝劇も立派だった。一発の可能性は大いにある。 NHKマイルCは、GIレースの中でも「難解な一戦」と言われている。それだけに、的中したときの喜びは格別だろう。しかも、それが高配当なら……。ここに挙げた3頭なら、そんな瞬間を夢見ることができる。

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