大学対抗プログラミング世界大会で東大が金メダル――ACM-ICPC 2018 北京
【中国・北京発】4月19日、中国・北京市で開催された「ACM-ICPC 世界大会 2018 北京」で、東京大学が11問中8問を正解して総合4位となり、金メダルを獲得した。総合1位のワールドチャンピオンはロシアのモスクワ大学(9問正解)、2位は同じくロシアのモスクワ物理工科大学(8問)、3位はホスト校の北京大学(8問)で、それぞれ金メダルを獲得した。
h2>●5時間の熱戦が繰り広げられる
今回で42回目を数えるACM-ICPCは、大学対抗の国際プログラミングコンテスト。08年の北京オリンピックで卓球が行われた北京大学体育館を舞台に5時間の熱戦を繰り広げた。日本からは東京大学に加えて東京工業大学、筑波大学の3校が出場。東工大は5問正解して11位、つくば大は2問正解して132位と健闘し、熱い戦いを終えた。
今年の問題はAからKまでの11問。どの問から始めるかは自由で、取り組む順番も勝敗を左右する要素になる。会場のスクリーンやネット上では、戦況を示すスコアボードを公開し、どの大学がどの問を正解したかやその時点での順位などをリアルタイムで伝えた。序盤戦は日本勢がなかなか正解できずに気をもむ場面もあった。開始42分で東大チームが問Kを一発正解したが、次の問題Fには苦戦し、5回目の提出でやっと正解した。他の上位チームが一発で正解するなか、やや手こずった印象だ。
その後、2問を一発で正解し、徐々に難易度の高い問題に突入していった。残り時間が1時間を切るとスコアボードの更新が止まり、以降、どの大学がどの問題を解いたかの進捗がわからなくなる。そこからが正念場だ。
この時点で東大チームは6問正解で総合12位。メダルが授与されるのは上位12〜13チームまでで、メダル獲得のぎりぎりのポジションだった。東大の選手は、笠浦一海さん、隈部壮さん、劉鴻志さんの3人。コーチは金子知適准教授が務めた。昨年の米国大会でも銅メダルを獲得したチームだ。
もともと終盤追い込み型で、国内予選のアジアつくば大会でも最後の1時間で逆転で優勝した。今回も終盤の追い込みに期待が高まったが、その期待に応えて最後の1時間で難問を2問立て続けに解き、総合4位まで順位をジャンプアップ、金メダル獲得にたどり着いた。表彰式の結果発表では一時東大チームがトップになる場面もあったが、ロシアや中国の強豪校には惜しくも及ばなかった。
今年4月に就職し、今回が最後のACM-ICPC出場になった劉さんは、「僕たちのチームはもともとスロースターターで、これはどうしようもない」と謙遜するが、土壇場の集中力はピカイチ。結果がそれを証明した。
東大チームのコーチ、金子准教授は「今年は問題の難易度がとても高かった」と振り返る。総合1位のモスクワ大学ですら全11問中正解は9問。問Cと問Jの2問はどこも正解できなかった。ICPCボードとして運営に携わる東京大学の山口利恵准教授は、「選手にとってはおそらく一生のうちで最も集中する5時間。飲食も忘れて戦う選手たちの姿を見てほしい」と話した。
ACM-ICPCは、1台のパソコンを使ってプログラミングで課題を解くコンテスト。大学別の3人1チームで戦う。ニューヨークに本部を置くコンピュータの国際学会ACM(Association for Computing Machinery)が主催する。国際大会なので、コンテストの進行や問題文はすべて英語だ。問題の難易度は極めて高く、普通の大人が読んでも問題内容を理解することすら難しい。5時間の制限時間中、10から11の難題を解いていく。より多くの課題をより短い時間で解くことが求められるが、誤答やプログラムの動作が長すぎた場合などはペナルティが加算されるルールだ。
決勝戦では、世界各国の地域予選を勝ち抜いた大学チームがしのぎを削る。今回は140校が出場した。1問正解すると、チームのブースにどの問題を正解したかを色で表す風船が掲げられ、最初に問題を正解したチームには特別の色や形の風船が掲げられる。次回、2019年大会に向けたアジア地区・日本予選は、7月6日、横浜で開催される。(BCN・道越一郎)
h2>●5時間の熱戦が繰り広げられる
今年の問題はAからKまでの11問。どの問から始めるかは自由で、取り組む順番も勝敗を左右する要素になる。会場のスクリーンやネット上では、戦況を示すスコアボードを公開し、どの大学がどの問を正解したかやその時点での順位などをリアルタイムで伝えた。序盤戦は日本勢がなかなか正解できずに気をもむ場面もあった。開始42分で東大チームが問Kを一発正解したが、次の問題Fには苦戦し、5回目の提出でやっと正解した。他の上位チームが一発で正解するなか、やや手こずった印象だ。
その後、2問を一発で正解し、徐々に難易度の高い問題に突入していった。残り時間が1時間を切るとスコアボードの更新が止まり、以降、どの大学がどの問題を解いたかの進捗がわからなくなる。そこからが正念場だ。
この時点で東大チームは6問正解で総合12位。メダルが授与されるのは上位12〜13チームまでで、メダル獲得のぎりぎりのポジションだった。東大の選手は、笠浦一海さん、隈部壮さん、劉鴻志さんの3人。コーチは金子知適准教授が務めた。昨年の米国大会でも銅メダルを獲得したチームだ。
もともと終盤追い込み型で、国内予選のアジアつくば大会でも最後の1時間で逆転で優勝した。今回も終盤の追い込みに期待が高まったが、その期待に応えて最後の1時間で難問を2問立て続けに解き、総合4位まで順位をジャンプアップ、金メダル獲得にたどり着いた。表彰式の結果発表では一時東大チームがトップになる場面もあったが、ロシアや中国の強豪校には惜しくも及ばなかった。
今年4月に就職し、今回が最後のACM-ICPC出場になった劉さんは、「僕たちのチームはもともとスロースターターで、これはどうしようもない」と謙遜するが、土壇場の集中力はピカイチ。結果がそれを証明した。
東大チームのコーチ、金子准教授は「今年は問題の難易度がとても高かった」と振り返る。総合1位のモスクワ大学ですら全11問中正解は9問。問Cと問Jの2問はどこも正解できなかった。ICPCボードとして運営に携わる東京大学の山口利恵准教授は、「選手にとってはおそらく一生のうちで最も集中する5時間。飲食も忘れて戦う選手たちの姿を見てほしい」と話した。
ACM-ICPCは、1台のパソコンを使ってプログラミングで課題を解くコンテスト。大学別の3人1チームで戦う。ニューヨークに本部を置くコンピュータの国際学会ACM(Association for Computing Machinery)が主催する。国際大会なので、コンテストの進行や問題文はすべて英語だ。問題の難易度は極めて高く、普通の大人が読んでも問題内容を理解することすら難しい。5時間の制限時間中、10から11の難題を解いていく。より多くの課題をより短い時間で解くことが求められるが、誤答やプログラムの動作が長すぎた場合などはペナルティが加算されるルールだ。
決勝戦では、世界各国の地域予選を勝ち抜いた大学チームがしのぎを削る。今回は140校が出場した。1問正解すると、チームのブースにどの問題を正解したかを色で表す風船が掲げられ、最初に問題を正解したチームには特別の色や形の風船が掲げられる。次回、2019年大会に向けたアジア地区・日本予選は、7月6日、横浜で開催される。(BCN・道越一郎)