多くの国では身分証番号があり、中国でも全国民に対して身分証が発行されているが、日本にはないというのが不思議に感じるようだ。(イメージ写真提供:123RF)

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 日本で2015年から運用が始まったマイナンバー制度。この制度により、社会保障、税金、災害対策の3分野で共通の番号を導入し、行政を効率よく行えるようになるという。しかし、このナンバーがあればすべて個人の確認ができるわけではなく、これ以外の分野の行政では、引き続き住民票の写しが必要になるため、他国の発行している「国民IDカード」とは違うようだ。

 多くの国では身分証番号があり、中国でも全国民に対して身分証が発行されているが、日本にはないというのが不思議に感じるようだ。中国メディアの今日頭条はこのほど、日本にはどうして個人を証明できる身分証がないのかと題する記事を掲載した。

 中国の身分証は長距離バスや高速鉄道などのチケット購入や荷物の配送、そして携帯電話の契約にも必要となり、中国では誰もが自分の番号を暗唱できるほど日常的に使用されている。逆に言えば、この制度のおかげで国が国民を管理しやすくなっていると言えるだろう。

 ではなぜ日本ではまだ導入されていないのだろうか。記事は、これまで政府は何度も導入を試みてきたが、国民の強い反対に遭い成功しなかったと説明した。主に戦時中の苦い経験ゆえに、国に管理されることや国家主義に対して反感があるという。また、個人情報の保護が最も徹底した国であることも関係しているという。日本ではIDカードの代わりに住民票で行政上の必要を賄っていると紹介した。

 では、日本ではどのように身分を証明するのか、という疑問に対して記事は「健康保険証や学生証、パスポート、運転免許証などで代用してきた」と紹介、日本での生活の不便さを伝えた。

 中国では1人ひとりに番号が与えられ、国によって管理されることに抵抗はないようだ。しかし、列車に乗るのにも携帯電話を使用するにも身分証が必要ということは、移動も通信もすべて政府が把握し管理できることを意味している。行政の効率を考えれば数字による管理は効率的だが、やはり日本で個人を追跡できる身分証が普及するのは、まだまだ先のことになりそうだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)