4打数2安打と活躍したエンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

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オープン戦では打率.125、防御率27.00と不振だった大谷

 エンゼルス大谷翔平投手は20日(日本時間21日)のジャイアンツ戦で今季4度目のマルチ安打を記録し、打者としては打率.342、3本塁打、11打点をマーク。投手としては、17日(日本時間18日)のレッドソックス戦は右手のマメの影響で2回3失点で初黒星を喫したものの、3試合先発で2勝1敗、防御率3.60、15イニングで19奪三振という成績を残している。だが、適応段階だった開幕前のオープン戦では打率.125、防御率27.00というらしからぬ数字で、米国メディアからは懐疑論が巻き起こるほどだった。地元紙は先日、二刀流のスーパースターがなぜ開幕前に苦しんだのか、「7つの理由」を検証する特集を掲載した。いったい何が変わったのか。

 投打に活躍を見せる「ショータイム」は米4大スポーツで今や最も注目を集めるホットトピックと化している。そんな中、開幕前の大谷の”不振”に改めて注目したのが地元紙「オレンジカウンティ・レジスター」。「いかにして、エンゼルスの二刀流のスター、ショウヘイ・オオタニはスプリングトレーニングからここまで向上したのか」と特集を組んでいた。

 記事では、投打の不調から開幕前にアメリカで沸き起こった懐疑論を紹介している。

「スプリングトレーニングでは何が起きていたのか? 大谷のキャンプでのパフォーマンスは様々な物語を生み出すほど酷いものだった。彼はメジャーレベルではないという“せいぜいその程度”のもの。それから、“一番酷いもの”として、“彼はただ単に期待外れだ”ということにまで及ぶ物語である。オオタニは高校生のバッターのようだ、という匿名スカウトの発言もあった」

 しかし、蓋を開けてみれば、投打に好調。チームメートは「スプリングトレーニングの結果はアテにならない」と異口同音に語るものの、急転換の理由については明確な答えはないという。

 エンゼルスのチャーリー・ナギー投手コーチも記事の中で「わからない。正直、この質問に答えることができない」と話し、女房役のマルティン・マルドナード捕手は「難しい質問だね。何故かと言うと、彼とはそこまで話せないから。スプリングトレーニングの間にどんなことが彼の頭をよぎったのかを理解するのは難しいことなんだよ」と語っている。

キャンプ地のアリゾナは気候が特有、空気は薄く、乾燥…

 特集ではスプリングトレーニングで苦しんだ7つの理由を分析。1つ目に挙げられているのは、日本時代と異なるボールとマウンドへの適応だ。さらに、2つ目はキャンプ地のアリゾナが投手泣かせの環境だったことだとしている。アリゾナは砂漠特有の気候で、空気は薄く、乾燥している。変化球の曲がりも定まらないなど、多くの選手がアリゾナでは苦しんでいる。強烈な日照でフィールドも硬く、ゴロの当たりも外野に抜け、フライは飛距離を増すという。

 3つ目は「不運」。大谷はオープン戦、マイナー戦を含めて13イニングに登板。30回の当たりのうち、16本がヒットとなったが、エラーや不運なポテンヒットもあったとしている。だが、「開幕後は、彼の運気は好転したのかもしれない」と記事では指摘。さらに、4つ目は大谷の“試行錯誤”だという。スプリングトレーニング最後のマイナー戦で大谷は制球を乱したが、この試合でスプリットを徹底的にテストしていたことを、その一例に挙げた。

 5つ目はキャンプ中の対戦相手のスカウティングレポートの欠如。キャンプ中に対戦したメキシコリーグのティファナなど対戦相手についての情報はレネ・リベラ捕手も知らない状況だったというのだ。開幕後は、同地区のアスレチックス相手に2試合連続で好投。また、打者としては13日(同14日)の敵地ロイヤルズ戦で救援右腕グリムのカーブを捉えて中前打を放った際に「キレのいいカーブがある投手だと分かっていたので、あるかなと思いましたけど、難しいところしっかりヒットにできてつなげてよかったなと思います」と話していた。記事では、大谷が研究熱心だとしているが、開幕後はデータをしっかりと生かしていることは確かだろう。

日本ハム時代の同僚マーティンは「プレッシャーがかかったときに、本領を発揮する」

 6つ目はオープン戦では上げなかった「ギア」の存在。大谷の性格については「プレッシャーがかかったときに、本領を発揮する」と分析。日ハム時代の同僚でレンジャーズのクリス・マーティン投手は「彼がややピンチな状況に陥ったとき、全力を出すのがわかるんだ。それは全くフェアじゃないよ」と証言していたという。オープン戦ではギアを一段上げる状況ではなかったのかもしれない。

 最後の7つ目は「打席での重大な修正」だ。キャンプ中は右足を上げながらタイミングを取っていたが、変則フォームのメジャーの投手陣との間合いが合わず。そこで、エリック・ヒンスキー打撃コーチが動き、ノーステップ打法へのシフトを提案したのだ。

 ヒンスキー打撃コーチは、取材に対して「打撃練習で右足を地面につけたままで、打球の飛距離を見てみたいと、彼が私に言ってきたんだ。ロサンゼルスでの打撃練習であらゆる場所に何本もホームランを打っていたよ。その後、彼はこう言ったんだ。『これにします』とね」と語っている。キャンプ終了後のドジャースとのオープン戦で大谷はノーステップ打法を初披露。そこから、バットは火を噴いている。

 大谷の修正力には同僚も驚嘆しており、イアン・キンズラー内野手は記事の中で「普通はバットの握りを1/4、もしくは1/2インチ(約1.27センチ)変えたら、全くもってやりにくさがあるものだけどね。見ていて驚きだよ」と語っている。19日(同20日)のレッドソックス戦で4打数無安打3三振に終わった大谷は、翌20日のジャイアンツ戦で4打数2安打をマーク。1打席目は低めへのカーブを完璧にとらえてセンター前に運んだ。日々、投球や打撃の結果を踏まえて修正を重ね、向上していく。その姿をチームメートたちは間近で見ている。

 エンゼルスは4連敗と失速しているが、その実力を存分に発揮するルーキーとともに、勢いを取り戻したいところだ。(Full-Count編集部)