スマホゲーム開発での日本と韓国の違いから見えた海外で成功する本当のメイド・イン・ジャパンとは?


中畑氏は、4月28日に行われるインディー(小規模)のモバイル ゲーム アプリ開発者を対象にしたコンテスト「Indie Game Festival 2018」の審査員も務める。
このイベントは日本では初開催となり、日本におけるスマートフォンのインディーゲームの動向がわかる機会となると期待されている。
韓国で開催された同イベントでも審査員を務めた中畑氏は、日本と韓国のインディーゲームの違いについて、
「韓国はハイクオリティでボリュームがあるゲーム多い、日本は尖った一発のアイディアがあってシンプルに遊べるものが多い」
と話す。
具体的には、韓国のゲームでは、
・3Dモデルを使ったもの
・リアルタイムの対戦など
が多く、
一方、日本のカジュアルゲームでは、
・ユニーク
・一つ面白いネタを短時間で遊べるもの
が多いという。
両国でのこうした違いは、根本的な開発の思想にあるようだ。
中畑氏は韓国のデベロッパーとの会合の席で、
「この開発中のゲームは日本で売れるか?」
「日本ではどういうゲームが流行っているんだ?」
「日本で流行らせるためにはどうすれば良い?」
と海外でヒットする方法について熱量の凄い質問を投げかけられたそうだ。
このことから
「韓国のデベロッパーは、最初から海外市場が狙いである」
と感じたという。
こうして開発されたゲームは、
「欧米にあわせたデザイン」
「ワールドワイドで流行りそうな雰囲気」
を持っていると分析した。
これは、日本のデベロッパーは日本で流行れば暮らしていけるが、韓国では韓国だけで流行っても十分な収益の獲得が難しいためだ。
そこに両国のゲームづくりの違いがある。
・ワールドワイドで成功させるノウハウを常に研究する韓国
・尖ったゲームづくりに注力する日本
という違いがあることは、わかった。
果たして、この違いから
日本のゲームは海外でヒットするのだろうか?

中畑氏は(ねこあつめなどを手がける)ヒットポイントや(ママにゲームを隠されたなどを手がける)ハップの個性的なゲームは海外向きだと話す。
裏を返せば、海外で成功できる日本のゲームは限られている、とも受け取れる。
では、
日本のデベロッパーは、海外で成功するためにどうすれば良いのだろうか?
韓国のように欧米に向けたゲーム開発に専念すべきなのだろうか?
これに関して中畑氏は意外なアドバイスをした。
中畑氏も海外を狙ったゲームづくりをしており、東アジアや北米でも通用するゲームを作りたいと語っている。
ところが
「海外の人が好きなようなデザインで作るのは絶対だめだと思うんです」
と話す。
そのわけは
「欧米で流行るだろうなと思って、欧米っぽい絵にしても欧米の人が描いた絵には絶対勝てない」
「自分たちが思うようなゲームを作って、欧米の人がわかるようになるべく文字を減らすなど、文字を読まなくてもゲームの内容がわかるような工夫が必要」
と語ったのだ。
またゲームの嗜好について、
・欧米では、アーケードゲームの人気が高い
・東アジアは、シミュレーションゲームの人気が高い
と紹介した。
Google Play ビジネスディベロップメントマネジャーの五十嵐郁氏は、この傾向について「欧米のインディーゲームでは”Game as Art”という考え方で、芸術作品として新しさや違う概念を提案することへの期待が大きく感じられる」
と分析した。
日本でも海外でもヒットする秘訣について中畑氏は自身のゲームづくりの経験から、

ゲームの
・「丸み」=親近感
・「尖り」=違和感、突拍子もない、見たことがない
が大事であると語った。
それは、大手のデベロッパーのゲームと同じ土俵にインディーゲームも並ぶため、埋もれないためにも大事なことなのだという。
・インパクトのある尖り
・ゲームの要素としての丸み
この二つを考え、そして工夫して日本らしいゲームを作ることが必要なのである。
今回は、インディーゲームについての違いについてだったが、この違いはインディーゲームだけに止まらない。
たとえば、日本と韓国のスマートフォンや家電製品なども、
同じような視点で開発しているように思えるからだ。
”メイド・イン・ジャパン”とは本当は何なのか?
オリジナリティとの差をどう捉えるのか?
今後のメイド・イン・ジャパンの生命線は、そこがカギとなりそうだ。
執筆 mi2_303