プリヤンカー・チョープラー(Priyanka Chopra) photo : Getty Images

ハリウッドの人種差別についてマイノリティの俳優たちが次々と実態を告白している。インド出身の女優プリヤンカー・チョープラーも役がもらえなかった経験について明かしている。

ドラマ「クワンティコ/FBIアカデミーの真実」で主役を演じ、人気を獲得したプリヤンカー・チョープラー。「昨年起きたことなのだけれど、私はある映画に出演したいと思っていた。でも制作会社の人が私のエージェントに電話をしてきてこう言ったの。『彼女は身体的に不適切』って」。

これを聞いたプリヤンカーはエージェントに自分の何がよくないのか尋ねたという。「俳優として自分を守ろうとしてこう聞いたわ。『もっと痩せる必要があるということ? 腹筋を鍛えるべき?』って。『身体的に不適切』ってどういう意味? って感じだった」。エージェントからの答えは「彼らは肌が褐色ではない人を欲しいんだと思う」。プリヤンカーは「この答えにとても動揺した」と振り返っている。

今のハリウッドには女性を主役に、キャラクターを深く作り込んだ作品も少ないという指摘も。「女優にとって考えさせられるような主役が十分あるとは言えない」と語るプリヤンカー。この男女格差をなくすために観客にもできることがあると提案している。「みんな映画の中の女性を見ようとしない。女性がヒーローになれると思っていないから。世界はヒーローに対する見方を変えなくてはいけない。日々の生活のレベルでジェンダーに対する紋切り型の見方を変えない限り、何も変わらないわ」。

『ベイウォッチ』プリヤンカー・チョープラー(Priyanka Chopra) photo : AFLO

映画『ベイウォッチ』では悪役のクラブオーナーのビクトリアに挑戦、これまでのボリウッド出身の俳優が演じてきた、まさに「紋切り型」のインド人を超えた役を開拓してきたプリヤンカー。人種差別が根強いハリウッドで彼女がこれからどんなメッセージを発信していくのか、注目したい。

text: Yoko Nagasaka