2018年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牡馬編:第3弾)

 3歳牡馬クラシック第1弾、注目のGI皐月賞(中山・芝2000m)が4月15日に迫ってきた。

 主な有力馬の前哨戦を見てみると、GI朝日杯フューチュリティS(2017年12月17日/阪神・芝1600m)を制して「2歳王者」となったダノンプレミアム(牡3歳/父ディープインパクト)は、GII弥生賞(3月4日/中山・芝2000m)に出走。強豪ライバルを見事に抑えて完勝したが、右前挫跖(ざせき)で皐月賞は急遽回避することになった。


弥生賞でも圧倒的な強さを見せたダノンプレミアムだったが...

 一方、もうひとつの2歳GIホープフルS(2017年12月28日/中山・芝2000m)の覇者タイムフライヤー(牡3歳/父ハーツクライ)も、オープン特別の若葉S(3月17日/阪神・芝2000m)で始動したが、実績の劣るメンバー相手に5着と惨敗。有力馬2頭に暗雲が漂い始め、牡馬クラシックは激戦の様相を呈してきた。

 その他のトライアル戦は、朝日杯FS2着馬のステルヴィオ(牡3歳/父ロードカナロア)がGIIスプリングS(3月18日/中山・芝1800m)を制覇。GIII毎日杯(3月24日/阪神・芝1800m)は”新星”ブラストワンピース(牡3歳/父ハービンジャー)が勝って無傷の3連勝を飾った。

 また、これらに先立って行なわれたGIIIきさらぎ賞(2月4日/京都・芝1800m)は、サトノフェイバー(牡3歳/父ゼンノロブロイ)が勝ち、近年クラシックの登竜門として注目度が増しているGIII共同通信杯(2月11日/東京・芝1800m)は、オウケンムーン(牡3歳/父オウケンブルースリ)が勝利した。ただ、サトノフェイバーは故障によって戦列を離れた。

 こうしてクラシックに臨むメンバーが出そろう中、パソコン競馬ライターの市丸博司氏はこの世代に対する評価をこう語る。

「今年の牡馬のレベルは相変わらず高い。特に弥生賞がそうで、ここ最近では最高レベルだった一昨年(勝ち馬マカヒキ)と比べても、わずか1ポイント差に迫る高いTF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)を出しています」

 そんな3歳牡馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』をここで発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牡馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 やはり、というべきか、今年2月に発表した前回のランキングからガラリと変わった。

 1位は、前回まで2位だったダノンプレミアム。それまで1位だったワグネリアン(牡3歳/父ディープインパクト)との直接対決(弥生賞)で鮮やかな勝利を収め、その結果を受けて即座に評価が逆転した。しかも、万票での首位奪取となったが、皐月賞でその雄姿を見ることができないのは残念でならない。

市丸氏
「弥生賞でワグネリアンとの覇権争いを制しました。そこでつけた1馬身半差は『決定的な差だった』という論調も見られます。皐月賞に出走していれば、よほどのアクシデントでもない限り、これまで下した相手に逆転を許すことはないと思っていました。それほど、ダノンプレミアムの完成度は抜けています。

 弥生賞では、4角手前から馬場の悪い内側を避けて外に持ち出す余裕を見せ、先頭に立つと気合をつける程度で加速。最後は抑える余裕を見せての完勝でした。今のところ、まったく弱点が見つかりません」

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「今年初戦の弥生賞。当面のライバルたちが集った超ハイレベルの前哨戦になったことで、戦前の陣営ははっきりと『不安です』とコメントを残し、慎重な姿勢を見せていました。

 しかし、結果は危なげなく2番手から抜け出して快勝。レースラップが11秒0と速まる4角あたりで、ダノンプレミアムはゆったりと回りながらも逃げ馬を捕らえ、ワグネリアンとの差を一気に広げました。その加速力は強烈でした。大きいストライドでリズムよく走り、後続を封じ込める勝ちっぷりは『王者の走り』と言っていいでしょう。

 こうしてみると、まったく死角がないように見えますが、パドックでは2人引きでチャカつく時間が多く、レース中もハミを噛んで力んでいるシーンが朝日杯FSのときよりも多く見られたのは心配です。

 もともとダノンプレミアムは矯正力の強いリングハミを使用しています。口向き、ハミ受け、折り合い、舌がハミを越すなど、何かしらの不安要素があるのは事実。弥生賞は少頭数で自分との戦いに終始できましたが、多頭数での折り合いにはまだ一抹の不安があります。とはいえ、この不安が少しでも解消されれば、距離延長の克服も可能です」

土屋真光氏(フリーライター)
「少しでも”粗(あら)”を見つけようと思った弥生賞で、圧巻のワンサイド勝ち。多少のコースロスなど気にせず、他馬との接触や、馬場の悪いところを通ってリズムを崩すようなリスクを徹底的に避けて、あの競馬、あの強さですからね。能力だけで言えば、現状では『抜けすぎている』と言っていいでしょう。

 日本ダービー(5月27日/東京・芝2400m)に対しては、距離適性において不安が囁かれていますが、同馬の好位から抜け出す”優等生”的な競馬は、”紛れ”の多い皐月賞より、むしろダービーのほうが向いていると思います。皐月賞に出ていれば、二冠もあったのではないでしょうか」

 2位は、前回まで1位だったワグネリアン。弥生賞でダノンプレミアムに敗れてポイントを落としたものの、依然として他の馬たちよりも高い評価を得ている。

市丸氏
「弥生賞のワグネリアンは、およそ3カ月半ぶりの実戦でした。その分、やや気負っている面が見られましたが、勝ったダノンプレミアムが最後は抑えているのに対して、こちらは目いっぱい。しかも、レースが決着した頃に追い込んでのギリギリ2着。現時点では、明らかに差がありました。

 それでも、ダノンプレミアムが回避した今、皐月賞で浮上する可能性が出てきました。一度使われたことによる上積みもあるでしょうし、弥生賞でも最速の上がりタイムをマークした強烈な瞬発力が生きる展開になれば、チャンスはあります」

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「末脚勝負のため、展開の助けが必要になりますが、弥生賞でも2着を確保。不発に終わらなかった、その堅実な決め手は魅力です」

本誌競馬班
「弥生賞は2着敗戦も、鞍上の福永祐一騎手が本番の前に脚を計った印象があります。展開次第では巻き返しもあると見ています」

 3位には、これまで圏外だったブラストワンピースが一気にポイントを伸ばしてランクインした。皐月賞はスキップして、ダービーへ直行。最高峰の舞台でどんな走りを見せるのか、注目される。

市丸氏
「前回、500万下のゆりかもめ賞(2月4日/東京・芝2400m)を勝った段階で、個人的には4位と高く評価していました。その後、毎日杯ではその期待に応える圧勝劇を披露。同レースの指数もかなり高いものでした。さらに、いろいろな勝ち方で結果を出しているのも同馬の強みです。

 ゆえに、返す返すも皐月賞に出走しないのが残念でなりません。ダービーへの期待は大きいですが、毎日杯からのぶっつけとなると、ローテーション的にはやや不安があります。どこかで一度叩いてダービーなら、◎もあると思うのですが、はたして……」

吉田氏
「新馬戦とゆりかもめ賞における前半の行き脚やラップ、そして走破時計などから、毎日杯は半信半疑で見ていましたが、強い勝ちっぷりで3連勝。時計の速い阪神の、芝1800m戦を難なく対応したあたりは十分に評価すべきでしょう。

 母のスピードと、母の父キングカメハメハの万能的な能力がエッセンスとして入っており、ある意味”特殊な”ハービンジャー産駒かもしれません。ただ、個人的には東京の軽い芝の2400m戦では、全幅の信頼を置くまでにはいかず、この評価(4位)となりました」

 4位も”新星”キタノコマンドール(牡3歳/父ディープインパクト)がランクイン。話題性もさることながら、オープン特別のすみれS(2月25日/阪神・芝2200m)で見せたパフォーマンスが高評価の決め手となったようだ。

木南氏
「前日に同条件で行なわれた古馬準オープンと、メンバー、時計の比較をしてみても、すみれSのパフォーマンスはかなり優秀なものです。正直、新馬戦では『勝っただけ』と思ってしまい、そのときにまったく(同馬の)能力を見抜けなかったことを反省しているぐらいです。

 全姉デニムアンドルビーは、ジャパンカップ2着、宝塚記念2着と、広くて直線の長いコースでも、直線の短いコースでも、どちらも好走しています。とすれば、皐月賞でも面白い存在になり得ると思います」

土屋氏 
「馬主がDMM.comで、名付け親がビートたけし氏ということで、話題が先行しすぎていたため、1勝目を挙げたときは『この血統なら、これぐらいは勝ってもらわないと』と、わりと冷めた目で見ていました。それが、すみれSでは逃がすとうるさいケイティクレバーをあっさりと仕留めて、その素質の高さに驚かされました。

 この馬も多頭数での厳しい流れの中でどうなのか? という疑問はありますが、ダノンプレミアムと未対戦という点は楽しみ。大駆けがあっても、不思議ではありません」

 5位は、前回4位だったオブセッション(牡3歳/父ディープインパクト)。弥生賞では”逸走”してしまう悪癖を出したが、「まだ見限れない」という声も多く、ランク内に踏みとどまった。

吉田氏
「7着に敗れた弥生賞では2度、外に逃げて膨れるロスがあり、さらに逆手前になる若さを見せてしまいました。レース中は舌がハミを越しており、口向きの悪さという課題はいまだに解消されていません。

 その辺りが短期間でよくなるとは思えませんが、今後出走が予想されるレースの舞台は青葉賞(4月28日)、ダービーといった東京・芝2400m。血統、口向き、シクラメン賞(2017年12月2日/阪神・芝1800m)の勝ち方からして、締まった流れが向くワンペース型ですから、のびのび走れる広いコースは向いていると思います。

 スローペースでは持ち味を出せない可能性は大ですが、時計勝負に強いディープ産駒ですから、レースが流れれば再び台頭してもおかしくありません。あくまでもペース次第ですが、落ち着いた展開になりやすい青葉賞をクリアできれば、ダービーでも……という期待が膨らみます」

 本番を前にして、大きく変動した「3歳牡馬ランキング」。今回、GI馬タイムフライヤーはまさかのランク外となったが、土屋氏は「若葉Sの負けは、見限るほどの負けっぷりではなかったので、今後も警戒が必要」と、同馬もまだ巻き返す可能性があるという。 まずはダノンプレミアムが回避して、大混戦となった皐月賞。熾烈な戦いの結末をしっかりと見届けたい。

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