3歳牝馬の若き乙女たちが覇権を争うGI桜花賞(4月8日/阪神・芝1600m)。今年、不動の本命馬と目されているのは、ラッキーライラックだ。

 デビュー以来、負け知らずの4戦全勝。昨年末のGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月10日/阪神・芝1600m)を制して2歳女王となると、今年初戦のGIIチューリップ賞(3月3日/阪神・芝1600m)もライバルたちを難なく蹴散らして完勝した。

 桜花賞での単勝オッズは1倍台が予想され、「1強」ムードは日に日に高まっている。

 実はこの桜花賞、ここ最近は「1強」といった前評判でのレースが続いている。2014年のハープスター(単勝1.2倍)に始まって、2015年のルージュバック(単勝1.6倍)、2016年のメジャーエンブレム(単勝1.5倍)、そして昨年のソウルスターリング(単勝1.4倍)と、断然の人気馬が4年連続で存在していたのだ。

 しかし「1強」の評価で、実際に結果を出したのはハープスターのみ。以降、ルージュバック(9着)、メジャーエンブレム(4着)、ソウルスターリング(3着)と、断然の人気馬が期待を裏切り続けている。

 もはや「1強」と称されるような馬にとって、桜花賞は”鬼門”。つまり、同様の評価を受けているラッキーライラックは、まさしく”危険な人気馬”ということになる。

 そこで、今年も”1強崩壊”のジンクスは継続されると踏んで、過去3年の結果を参考にして、前評判を覆(くつがえ)す伏兵馬を探してみたい。

 過去3年、「1強」に代わって上位に入線した馬の臨戦過程を見てみると、多くが阪神JFかチューリップ賞、またはその両方に出走していた。

 例えば、2015年に勝ったレッツゴードンキは阪神JF(2着)とチューリップ賞(3着)の両方に、2016年の勝者ジュエラーはチューリップ賞(2着)に、2017年の勝ち馬レーヌミノルは阪神JF(3着)に、それぞれ「王道路線」と言われるレースに参戦。そして、それなりの結果を残していた。

 しかし、そのほとんどが本番では軽視された。「1強」の馬とは、「すでに勝負づけが済んだ」と思われたからだ。

 そうなると、今年も「1強」の逆転候補となるのは、阪神JFやチューリップ賞で好走しながら、「勝負づけは済んだ」と見られている馬たちだ。

 該当するのは、マウレアとリリーノーブルとなる。甲乙つけ難い2頭だが、ここではリリーノーブルを推したい。

 デビュー2連勝後、阪神JFに挑んだリリーノーブルは、ラッキーライラックにコンマ1秒差の2着と健闘(マウレアは3着)。それ以来となるチューリップ賞でも、1着ラッキーライラック、2着マウレアに次いで3着となった。

 しかし、チューリップ賞では勝ったラッキーライラックとコンマ4秒差。阪神JF以上の差をつけられ、完全に「勝負づけが済んだ」というイメージが強まっている。

 その結果、桜花賞では「1強」のラッキーライラックはもちろんのこと、ラッキーライラックと未対戦の有力馬にも人気を譲って、これまで以上の人気は得られないだろう。が、過去の例からして、怖いのはこういう馬だ。

 叩き2戦目の今回は、十分に上積みが期待される。それでいて、マークが薄くなりそうなリリーノーブルが、逆転劇を見せる可能性は大いにある。

「1強」が馬群に沈んできた過去3年は、波乱の歴史でもある。そこで立役者となっているのは、トライアル戦となるGIIフィリーズレビュー(阪神・芝1400m)の”2着馬”だった。昨年、8番人気で勝利したレーヌミノル、そして一昨年、6番人気で3着に突っ込んできたアットザシーサイドがそうだ。

 桜花賞と同じ舞台で行なわれる”王道”のチューリップ賞に比べて、フィリーズレビューはメンバー構成が「一枚落ちる」と見られている一戦。そこで2着に敗れた馬は当然、本番では軽く扱われてしまうのだが、そうした評判を覆しての激走が近年のトレンドとなっている。

 とすれば、今年も狙うべきはフィリーズレビューの2着馬。アンコールプリュである。


一発の可能性を秘めているアンコールプリュ

 同馬は、昨年12月に新馬、500万特別と連勝。休養を挟んで臨んだフィリーズレビューで2着と善戦した。それも、スタートで出遅れながら、直線を迎えて後方12番手から追い込んでの結果である。

 今年もフィリーズレビュー組の評価は低く、まして2着のアンコールプリュは伏兵の1頭にすぎない。しかし、その決め手が生かせるような展開になれば、桜花賞で一発あっても不思議ではない。

 最後に、過去3年に縛られず、過去10年の結果を振り返ってみて、波乱を演出した馬のタイプを掘り起こしてみたい。

 目についたのは、連勝したあとに前哨戦に臨み、そこで敗れた馬の巻き返しである。

 2010年に11番人気で3着入線を果たしたエーシンリターンズ、2014年に5番人気で3着となったヌーヴォレコルト、2015年に7番人気で2着と好走したクルミナルに、同年8番人気で3着に入ったコンテッサトゥーレらが、そのいい例だ。

 それぞれ2連勝を飾ったあと、トライアルのチューリップ賞に挑戦。そこで敗れた(エーシンリターンズ=3着、ヌーヴォレコルト=2着、クルミナル=11着、コンテッサトゥーレ=6着)ことによって人気を落としてしまったが、本番で見事に巻き返しを図った。

 さらにその4頭のうち、エーシンリターンズ、クルミナル、コンテッサトゥーレはオープン特別を勝って連勝を飾っていた。要するに、前哨戦の敗戦で人気は急落してしまったが、そもそも高い実力の持ち主だったわけだ。

 今回の出走馬の中にも、これらと似たタイプがいる。アンヴァルだ。

 同馬はデビュー戦で3着に敗れたあと、未勝利、500万下、そしてオープン特別の福島2歳S(2017年11月12日/福島・芝1200m)と3連勝。休養を挟んで前哨戦のフィリーズレビューに挑んだが、4着と敗戦を喫した。チューリップ賞より手薄なメンバーを相手にしての結果ゆえ、さすがに人気落ち必至な状況にある。

 だが、こうしたタイプの馬が本番で反撃に転じてきた過去がある。

 そもそも前走は最内1番枠のスタートで、直線では進路が塞がれて不完全燃焼のレースに終わったものだ。福島2歳Sでは余裕たっぷりのレースで快勝しており、潜在能力の高さは実証済み。叩き2戦目で状態もアップした今回、波乱を起こしてもおかしくない。 断然の人気馬が立て続けに敗れている”波乱の桜花賞”。今年も「1強」ラッキーライラックは、早々に満開となった桜とともに散ることになるだろうか。戦前の評判からすれば、「穴党」には出番のないレースだが、歴史を踏まえれば、「穴党」が黙って見過ごしてはいけないレースである。

◆アンカツ氏が自信ありげ。桜花賞、オークスを占う「3歳牝馬番付」>>

◆桜花賞のジンクス「前哨戦で負けたリリーノーブルが勝つ」は正しいか>>

◆ラッキーライラック対アーモンドアイ。桜花賞バトルはどちらが勝つか>>