2018年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牝馬編:第3弾)


前哨戦のチューリップ賞はラッキーライラック(左)が快勝した

 3歳牝馬クラシック第1弾のGI桜花賞(阪神・芝1600m)が4月8日に行なわれる。

 主な前哨戦を振り返ってみると、桜花賞と同じ舞台で行なわれたGIIチューリップ賞(3月3日)は、2歳女王ラッキーライラック(父オルフェーヴル)が完勝。2着にマウレア(父ディープインパクト)、3着にはリリーノーブル(父ルーラーシップ)が入って、昨年末の2歳GI阪神ジュベナイルフィリーズ(2017年12月10日/阪神・芝1600m)と、上位3頭は同じ顔ぶれとなった(※阪神JFでは2着リリーノーブル、3着マウレア)。

 その翌週に行なわれたGIIフィリーズレビュー(3月11日/阪神・芝1400m)は、8番人気のリバティハイツ(父キングカメハメハ)が混戦を制して優勝。2着アンコールプリュ(父ディープインパクト)、3着デルニエオール(父ステイゴールド)までが桜花賞の優先出走権を獲得した。

 一方、関東で行なわれたレースを見ていくと、GIIIクイーンC(2月12日/東京・芝1600m)は、テトラドラクマ(父ルーラーシップ)が勝利。しかし同馬は、レース後の回復にやや手間取ったため、桜花賞をスキップしてGI NHKマイルC(5月6日/東京・芝1600m)に向かうことになった。

 トライアル戦のアネモネS(3月11日/中山・芝1600m)は、1番人気ハーレムライン(父マンハッタンカフェ)が快勝。2着レッドレグナント(父ロードカナロア)とともに桜花賞切符を手にした。

 GIIIフラワーC(3月17日/中山・芝1800m)は、カンタービレ(父ディープインパクト)が阪神JF4着のトーセンブレス(父ディープインパクト)との激戦を制したが、同馬は桜花賞をパスして、GIオークス(5月20日/東京・芝2400m)での戴冠を目指す。

 ちなみに、同レースで1番人気ながら、しんがり負けを喫したGIII札幌2歳Sの覇者ロックディスタウン(父オルフェーヴル)は、クラシック路線から離脱。NHKマイルCに向かう見込みだ。

 今回はこれらの結果を受けて、まもなく開幕する3歳牝馬クラシック(桜花賞、オークス)で活躍が期待される、3歳牝馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牝馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 ふたを開けて見ると、1〜4位までの順位は前回とほぼ変わらないものの、5位ロックディスタウンが対象外になったことで、その座は大混戦。同ポイントで5頭が分け合う形となった。

 1位は、ラッキーライラック。今年初戦のチューリップ賞も制して、4戦無敗と圧倒的な強さを誇っている。ついに今回、万票となる25ポイントを獲得。このまま牝馬クラシックでもトップを駆け抜けていくのか、注目される。

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「チューリップ賞において、ラッキーライラックが追ったのは、最後の300mのみ。それでいて、2着マウレアに2馬身差と決定的な差をつけました。その結果、ラッキーライラックはTF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)を大きく上積みして、ポイント的には抜けた存在です。2番手以降のポイントは大混戦。桜花賞も、そうしたレースになると予想されます。

 キャリアの浅い馬が大変身したり、道悪競馬になったり、超スローまたは超ハイペースになったりしなければ、ラッキーライラックの戴冠の可能性は90%以上と見ています」

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「ラッキーライラックはデビュー以来、エリート街道をまっしぐら。マイル戦ばかり使われてきましたが、レースを使うごとに時計を短縮。スタートセンスが抜群で、道中の折り合いも現時点では問題ないレベルです。前向きさがあり、闘争本能も豊かで、仕掛けてからの反応や伸びも上々。テンよし、中よし、終(しま)いよしと、すべてにおいて高いレベルのクオリティーを発揮できています。

 余分な脂肪がつきにくいタイプで、前走チューリップ賞における10kg増もすべて成長分。阪神JFから後続との差がコンマ2秒広がったのも、この馬の成長度がリリーノーブル、マウレアを上回ったからに他なりません。走破時計も秀逸で、阪神JFとチューリップ賞で戦ってきた馬とは、完全に勝負づけが済みました。

 チューリップ賞のパドックでは二度汗が見られ、間隔の詰まるローテーションでイレ込みがきつくなったときに一抹の不安があるのは、血統の宿命。ただそれも、重箱の隅をつつくレベルの懸念材料に過ぎません」

 2位の座はリリーノーブルが死守。ただ、今年初戦のチューリップ賞が3着にとどまったため、そのレース内容については賛否が分かれるところだ。

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「阪神JFとチューリップ賞は、ラッキーライラックに完敗の格好ですが、京都・内回りの白菊賞(2017年11月26日/芝1600m)で見せた”イン突き”には目を見張るものがありました。器用さが生きる展開になれば、まだまだ逆転の可能性を残していると思います」

土屋真光氏(フリーライター)
「ラッキーライラックと同様、リリーノーブルも1戦ごとに時計を詰めています。それも、2歳時は1カ月間隔でレースを使って、徐々に馬体を減らす中でのもの。そういう意味では、年末の阪神JFでの激走(2着)は光ります。

 逆に年明けは、先を見据えてのゆったりとした仕上げ。それでも、チューリップ賞では3着と奮闘し、好時計をマークしました。ここから成長するのがルーラーシップ産駒だけに、桜花賞での逆転は難しくても、オークスでは……という期待を抱かせてくれます」

吉田氏
「リリーノーブルはトモに甘さが残り、後肢がやや内向して内にひねって歩くタイプ。トモの弱点は鍛えればカバーできると思っていましたが、阪神JFからチューリップ賞までの期間では時間が足りなかったのか、ラッキーライラックとの差は縮まりませんでした。

 ラッキーライラックと比べると、その成長曲線はどうしても見劣ります。阪神JFでは前で競馬し、チューリップ賞では後ろから運んだものの、結果的にはいずれも敗戦を喫したことはその証拠。馬格や気性から、ひと叩きした2走目の上積みは大きいと思いますが、それでもこの春の逆転はたやすくないでしょう」

 前回は、リリーノーブルと同ポイントで2位タイだったアーモンドアイ(父ロードカナロア)が、今回はわずかに1ポイント減らして3位。牡馬相手のGIIIシンザン記念(1月8日/京都・芝1600m)での勝利は圧巻だったが、そこから直行で桜花賞に向かう”変則ローテーション”が嫌われたのだろうか。

吉田氏
「有力馬を多く抱えるノーザンファームの使い分けはありますが、血統や走法、気性を踏まえれば、オークスより桜花賞が最大目標になるのは必然のこと。NHKマイルCも視野に入れている可能性があるとはいえ、一番欲しいタイトルに向けて、3カ月ぶりで挑むのは相当な自信がないとできない芸当です。

 牝馬ゆえ、長距離輸送の問題や気性面を余計に考慮し、その結果がこの異例とも言えるローテーションになったと思いますが、この点については前向きに捉えていいはず。それまでのレースも間隔を開けて結果を出していますし、なおさらです。

 時計が速くなっても、対応できるスピードと切れもあります。ただ、ペースが速くても前が止まらない現象は起こりうるため、出遅れて、後手、後手に立ち回るようなことになれば、届かないシーンが出てくるかもしれません」

本誌競馬班
「ダイワスカーレット、ジェンティルドンナなど、シンザン記念で好走した牝馬は”名牝”となる可能性大。『打倒・ラッキーライラック』の一番手と見ています」

 4位は、チューリップ賞2着のマウレア。今年3戦目で、どこまで上積みが見込めるかがポイントになる。

土屋氏
「賞金を加算しておきたかったクイーンCで、まさかの5着と取りこぼしたのは大きな誤算。チューリップ賞で2着に入り、きっちり桜花賞の出走権を得て、賞金加算も実現できましたが、この時期に馬体を10kg近く減らしての好走は、決して印象はよくありません。

 とはいえ、全姉アユサン以上のポテンシャルを感じるだけに、このまま終わるとも考えたくはありません。桜花賞にはそのまま栗東に滞在して臨みますが、ここでの好走というよりは、ダメージを最小限に抑えてオークスにつなげてほしい、というのが正直なところ」

 5位には、ミュージアムヒル(父ハーツクライ)、プリモシーン(父ディープインパクト)、サトノワルキューレ(父ディープインパクト)、アンコールプリュ、フィニフティ(父ディープインパクト)の5頭がランクインした。桜花賞における混戦の2着争いを予感させるものであるが、それぞれの選者が「どうしても推しておきたい1頭」といった感もある。

土屋氏
「ミュージアムヒルは、この世代における”物差し”と言える馬。マウレアとは接戦の好勝負を演じていること、さらにふわふわした走りがここに来てしっかりしてきたことから、逆転の可能性を秘めた存在です。

 早々に桜花賞を捨てて、目標をオークスに切り替えたこともプラス。次走のスイートピーS(4月29日/東京・芝1800m)できっちり権利を獲って本番に駒を進められれば、距離延長も味方して大駆けがあってもおかしくありません」

木南氏
「プリモシーンは、GIIIフェアリーS(1月7日/中山・芝1600m)から本番へ直行というローテーションに、オーナーや牧場の”意地”を感じます。シンザン記念から直行するアーモンドアイも、同じくシルクレーシングの所有馬。ともに、直前の気配にはしっかりと目を配りたいところです」

吉田氏
「サトノワルキューレは、新馬勝ちからおよそ2カ月の休養を挟んで臨んだ復帰戦の梅花賞(3着。1月27日/京都・芝2400m)で馬体重を6kgも減らしていました。その後、中5週で挑んだゆきやなぎ賞(1着。3月10日/阪神・芝2400m)でも再びマイナス6kg。牝馬が馬体を減らし続けているのはいい傾向ではないのですが、ただ450〜460kgのディープ産駒で、細く見せないのはプラス材料でしょう。

 また、牝馬にしては精神面がどっしりとしているのも心強い限り。超A級のポテンシャルを秘めており、しっかりと状態が整っていれば、かなりやれる器です。GIIフローラS(4月22日/東京・芝2000m)からオークスまでの、中3週という間隔の問題をクリアできれば、牡馬相手に芝2400m戦を勝ったことを大きなアドバンテージとして、オークスに挑めると思います」

市丸氏
「クイーンCを勝ったテトラドラクマは、終始インを通って先行しての勝利でしたが、フィニフティは後方から進んで、4角で馬群の中ほどを通って2着。トラックバイアスを考慮するTF指数では、1ポイントだけフィニフティのほうが上になりました。

 桜花賞出走は確実ではありませんが、出られるなら面白い存在でしょう。血統的にはもっと長い距離、例えばオークスでも十分勝負になりますが、1勝馬だけに確実にどこかで権利を獲らなければいけません。それが、足かせにならなければいいのですが……」

本誌競馬班
「『打倒・ラッキーライラック』の望みを託すのであれば、未対戦の馬たち。なかでも、フィリーズレビューで2着と好走したアンコールプリュに魅力を感じます。桜花賞と言えば、ディープ産駒。距離が延びて、その末脚がさらに生きることを期待しています」 はたして、今年のクラシック戦線はこの勢力図どおりに決着するのか。あるいは、本番で思わぬ新星が台頭して大波乱が起こるのか。若き乙女たちの熾烈な戦いに注目である。

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