「日本人の8割は噛み合せ異常で、矯正が必要な状態」と指摘する宮島悠旗医師

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出会いの季節に、第一印象にも影響する“歯並び”。

自分の歯並びにあまり自信がなかったとしても、歯列矯正するほど悪くはない…と思っているかもしれない。しかし、実際には日本人の8割が“噛み合せ異常”であり、矯正が必要な状態なのだという。

矯正歯科専門医で『国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”』著者の宮島悠旗(みやじま・ゆうき)氏に聞いた。

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―自分は歯並びがお世辞にも良いと言えませんが、特に生活上の不自由はないし、誰かに治せと言われたこともありません。

「日本人は歯並びに無頓着ですし、気になっても優しさから指摘しないという文化です。多くの日本人は自分たちの歯が普通だと思っているでしょうが、もし日常的に欧米人と接する環境なら、歯並びの悪い人がいないことに気づくはず。海外では歯並びは身だしなみの一部であり、遺伝的に日本人より歯並びの良いアメリカ人でも8割は矯正しています」

―欧米人に比べて日本人は元々、歯並びが悪いのですか?

「先天的に日本人は欧米人に比べて顎の骨が小さいのに対し、歯1本1本はむしろ大きく、特に前歯が大きいのが特徴。そのため歯がきれいに並びきれず、でこぼこになったり、八重歯や出っ歯などになりやすい。実は日本人の8割は噛み合せ異常で、矯正が必要な状態にあります」

―8割とは、驚きです。

「さらにその傾向は今の子供たちで顕著です。診療していて昔よりも顎が小さく、歯が大きくなっていると感じます。その原因のひとつは給食。柔らかく食べやすいメニューが多く、顎が発達しづらい。もうひとつは離乳食の栄養が良くなっていること。身長が高くスタイルが良くなるのはいいですが、歯も大きくなって顎の骨に並びきれなくなっています」

―子供時代の食生活が歯並びに影響するとは知りませんでした。

「乳幼児の時の母乳の与え方、離乳食の食べさせ方も大事です。授乳の際には乳房を深くくわえさせるようにしましょう。また、離乳食は水分で食べ物を流しこまないように、噛んで飲み込める量をひと口ずつ食べさせましょう。そうしないと、受け口や歯並びがガタガタになったり、噛み合わせが悪くなる原因にもなります」

―そういったことを意識している親は少なそうですが、これは子供の時だけですか?

「いえ、大人になってもずっとです。歯は常に動こうとしています。歯並びの位置は、歯が内側と外側から押される力のバランスにより決まります。内側から押すのが舌の力、外側から押すのが唇や頬の筋肉の力です。例えば、鼻の調子が悪くて口呼吸になると、唇が歯を抑える力が弱くなりだんだん出っ歯になっていく。

舌の力は400gあると言われますが、歯は50g位の弱い力でも動く。普段動かないのは外側に口の筋肉があるからです。例えば、事故で片方だけ口がマヒすると、そちらだけ歯並びが広がってきます」

―口呼吸以外に、歯並びに影響する習慣はありますか?

食事を片方の歯で偏って噛む、いつもテレビのある方向を向いて食べるなどの習慣は要注意です。また、頬杖をつく、ツメを噛むなどのクセ、さらに眠る時の姿勢がうつぶせや横向きだと噛み合せのバランスを悪くする可能性があります」

―やってしまいがちですね。とはいえ、多少、歯並びが悪くても日常生活に支障がなければいいのでは?

「問題は自覚がないこと。前歯がガタガタしていたら気づくけれど、奥歯の噛み合せが悪くても気づきにくい。でも、歯並びがいい人に比べて噛んでいる面積が3分の1だったり、ひどい人だと10分の1の場合も。噛んでいるはずなのに、実はほとんど食物を砕けていない。代わりに胃腸が頑張って消化するから負担がかかる。長年、噛み合わせが悪いことで胃腸の調子が悪いという方は少なくありません」

―まさか胃腸の不調が歯のせいとは…。他にもデメリットが?

「噛み合わせが悪ければ、当然、歯そのものにも負担がかかります。歯が斜めに傾いた状態で噛むと、噛むたびにもっと歯が倒れていく。すると、歯の寿命が短くなる。歯を痛めつける力を自分でかけているわけです。また、歯並びが悪いとブラッシングがしにくいので歯周病も進行しやすいんです。

さらに歯の寿命が短くなると、全身の健康寿命が短くなります。例えば、老人ホームで早く寝たきりになる人と元気な人を比べると、寝たきりになる人は歯があまりない。『8020運動』といって、80歳になっても歯が20本残っていると長く健康でいられるというデータがあります。自分が元気なうちは意識するのが難しいですが、歯を失う前にそのことを知ってほしいですね」

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思っていたよりも健康に様々な影響を与えていた歯並び。しかし、大人になってからの歯列矯正は現実的なのか? 次回(4月4日配信予定)は大人の歯列矯正の実情や最新事情について伺います!

●宮島悠旗(みやじま・ゆうき)

歯科医師、歯学博士、フリーランス矯正歯科専門医(日本矯正歯科学会認定医)。1980年名古屋生まれ。愛知学院大学歯学部卒。東京歯科大学千葉病院臨床研修医、東北大学大学院顎口腔矯正学分野助教を経て、宮島悠旗ブライトオーソドンティクス起業。最新の技術で“噛み合わせ”と“エステティック”に配慮した矯正治療を行なう。矯正治療の技術を活かした一般歯科とのチーム医療で歯の寿命を延ばし、健康な体を保つための理想的な噛み合わせを整える治療計画を提案

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(取材・文/週プレNEWS編集部)