最近、健康食品をめぐるトラブルが急増している。健康になるはずと思って口にしたところ、逆に体調を崩してしまったというのだ……。

 だが、健康食品で具合が悪くなるとは、何を信じていいのかわからなくなる。

「そもそも、健康食品に過大な期待をかけることが間違いです。国が許可したトクホでさえ、効果は非常に小さいのが現実。健康食品は薬ではないのです」(科学ジャーナリスト・松永和紀氏)

「機能性表示食品制度ができた現在、保健機能食品以外の製品の効果は『ほぼない』と考えていいでしょう。細胞だけを取り出したり、動物実験の結果を基に『効果がある』と言ったりしているものがほとんど。

 たとえば『ガン細胞に何かしらの成分を作用させたところ、増殖が抑えられた』というデータがあったとしても、実際に人が食べたときに吸収されるのか、吸収された際にガンの増殖を抑制する作用は維持されるのか、特定の部位にあるガン細胞にまで十分な量が届くのか、という点がすべてクリアされないと、効果はないという話です」(国立健康・栄養研究所健康食品情報研究室の千葉剛室長)

 松永氏は「相互作用」にも気をつけるべきと訴える。

「健康食品を購入する人は、日常的に医薬品を服用している人が多いです。その薬と健康食品の成分が結びつくことで、健康被害が出るケースは少なくありません。

 また、健康食品同士でも悪影響が考えられます。健康食品は成分が凝縮され、ただでさえ過剰摂取になりやすいのです」

 そしてもうひとつ、健康被害だけでなく、経済的な被害も出てしまうのが、健康食品をめぐる大きな問題だ。

「事故情報データバンクシステム」には、健康被害の症状とともに「解約できない」「返金に応じてくれない」という苦情がほとんどのケースで報告されている。

「100円ショップにも健康食品がありますが、ものによっては、そのくらいで作れてしまうということ。しかし、100円だと逆に効果を疑ってしまうのが消費者心理。

 そのため、同様のものを1000円で売ったほうが売れてしまう。その消費者心理を利用して高額な商品が売られていますが、値段が高いから効くわけではありません」(千葉氏)

 体調を崩したうえに、高い出費にもなる。これでは二重の苦しみだ。

「何より、公的機関が出している情報を見ていただきたい。国立健康・栄養研究所のウェブサイトに、健康食品の安全性や有効性を公開するデータベースがあります。厚労省、消費者庁、国民生活センターでも、情報を提供しています」(千葉氏)

 健康になるには、お金を払う前に頭を使おう!

(週刊FLASH 2018年2月13日号)