2018年クラシック候補たち
第8回:キタノコマンドール

 まもなく始まる3歳クラシック。牡馬の第1弾となるGI皐月賞(4月15日/中山・芝2000m)に向けて、注目度急上昇中の馬がいる。

 栗東トレセン(滋賀県)の池江泰寿厩舎に所属するキタノコマンドール(牡3歳/父ディープインパクト)である。


2戦2勝で皐月賞に向かうキタノコマンドール

「世界のキタノ」ことビートたけし氏が名付け親となり、デビュー前から大きな話題となった若駒だが、決して”名前倒れ”の馬ではなかった。ここまで2戦を消化して、圧巻の強さを見せつけている。

 デビュー戦は、昨年12月の2歳新馬(12月23日/阪神・芝2000m)。スローペースのなか、直線で力強く抜け出すと、最後はサトノグロワールとの叩き合いをクビ差制して、初勝利を挙げた。

 そして、キタノコマンドールがまさにその真価を発揮したのは、2戦目のオープン特別・すみれS(2月25日/阪神・芝2200m)だった。

 この一戦もかなりのスローペースとなり、3〜4コーナーの中間から一気にペースが上がる”後半勝負”の展開となった。最後方を追走していたキタノコマンドールは、そこから一気にポジションを上げて、直線を迎えたときには先団に取りついていた。

 大外を押し上げて進出してきたキタノコマンドール。前残りの展開にあって、直線で伸び切れないシーンも想像されたが、そんな心配をよそにライバルたちを難なくかわして、余力十分にゴール板をトップで通過していった。

 上がりタイムは33秒8を計測。後方から長い脚を使いながら、最後の直線でも極上のキレを披露したキタノコマンドールは、この勝利で一躍クラシック候補の仲間入りをしたのである。

 姉には、GIIを2勝し、GIでも2度の2着があるデニムアンドルビーがいる良血。競走馬のセリ市『セレクトセール』において、1億9000万円(税別)で落札された高額馬でもある。以来、名前も含めて話題に事欠かなかったが、いざ戦いの舞台に立ってからも、その走りで注目を集める存在となった。

 とはいえ、実は陣営からしてみれば、決して評価の高い1頭ではなかった。関西競馬専門紙のトラックマンがその真相を明かす。

「キタノコマンドールは、もともと馬体の硬さが目立っていました。ゆえに初戦に臨む際、陣営は半信半疑だったようです。

 2戦目のすみれSのときも同様でした。まだ硬さが抜けず、陣営としては不安を抱えたままレースに送り出していました。おまけに、その一戦ではスローペースの後方に位置していたので、陣営も『さすがにこの展開では厳しい』と思ったみたいですね。

 ところが、その展開をものともせず差し切り勝ち。これを見て、陣営の評価は一変しました。『これならGIでも戦える』という手応えを感じたようです」

 その結果、キタノコマンドールはこのまま皐月賞へと直行することになった。有力馬たちとはまだ直接対決をしていないだけに、本番でどれだけの走りを見せるのか、非常に楽しみだ。

 その本番に向け、先述のトラックマンがキタノコマンドールの可能性と不安について分析する。

「陣営は、『体の硬さが抜けていない状態でこれだけ走るのだから、相当な器』と言っています。つまり今後、硬さが抜ければさらに伸びるということ。もしそれが春のうちなら、クラシックでもかなり面白い存在になると思います。

 ただ、2戦とも少頭数のスローペースでしたから、多頭数でスタミナが問われる速いペースになれば、戸惑うかもしれません。皐月賞は、そうした流れが多いですからね。その壁を乗り越えることができるかどうかが、勝敗を左右するポイントになるのではないでしょうか」

 大きな壁が立ちはだかる大一番。だが、半信半疑の評価の中で見せたこれまでのパフォーマンス、そしてこの馬の伸びしろを考えれば、その壁さえもあっさりクリアしてもおかしくない。 クラシックの舞台で、キタノコマンドールはさらに大きな話題を振りまくのか。皐月賞の戦いの行方を占ううえでも、この馬の動向から目が離せない。

◆高松宮記念は8歳でも若づくり、ダンスディレクターの決め脚が爆発だ!>>

◆高松宮記念は3タイプの穴馬「前哨戦2着・前走惨敗・7歳」で幸せに>>

◆高松宮記念はスプリンター系の桜花賞馬レーヌミノル「復活の舞台」だ>>

◆高松宮記念の「消しがちな外国馬ブリザード」が実は弱点を克服した説>>