春の「スプリント王」を決めるGI高松宮記念(中京・芝1200m)が3月25日に行なわれる。

 今年も名うてのスピード自慢がそろったが、わずか70秒弱で勝負が決するレースである。人気の実力馬であっても、ほんの少しの出遅れや、道中でちょっとしたロスがあれば、大きく着順を落とすことになる。逆に、自らが得意とする流れの中でスムーズに立ち回ることができれば、人気薄の馬でも台頭する可能性が大いにある。

 それは、歴史を見ても明らかだ。2009年には15番人気のソルジャーズソングが3着に入線し、2011年にも11番人気のアーバニティが3着に突っ込んできて穴を開けている。

 その他、2013年にも10番人気で3着に粘ったハクサンムーン、2014年に8番人気で2着に食い込んだスノードラゴンなど、伏兵馬がしばしば波乱を起こしている。

 とすれば、今年も意外な馬の大駆けを期待して、高配当を狙った馬券勝負に徹してもいいだろう。そこで、過去の穴馬を参考にして、そんな夢を託せるダークホースを探し出してみたい。

 前述した穴馬の戦績を見て、いきなり目につくヒントがあった。「前哨戦で2着と好走しながら伏兵扱いだった」という点だ。

 アーバニティは、前走のGIIIシルクロードS(京都・芝1200m)で2着と健闘していた。しかし、その前哨戦でさえ伏兵の一角(14番人気)にすぎず、より強力なメンバーが集う本番で通用するはずがないと思われてか、結局人気が上がることはなかった。

 そもそも2走前のGII阪神カップ(阪神・芝1400m)では16着と惨敗していた馬。シルクロードSの好走がフロックと見られても仕方がなかった。

 2014年のスノードラゴンも、前走のGIIIオーシャンS(中山・芝1200m)で11番人気ながら2着と好走していたが、その結果によって評価を上げることはなく、本番に向かった。もともとダート戦を主戦場としていただけに、芝の一線級相手には厳しいと見られたのだろう。

 だが、2頭とも前哨戦で見せた走りどおり、本番でも力を発揮した。その例にならって、今回も前哨戦で2着と結果を残しながら、人気が上がりそうもない馬を狙いたい。

 当てはまるのは、ナックビーナス(牝5歳)だ。


高松宮記念での一発が期待されるナックビーナス

 同馬は、前走のオーシャンS(3月3日)で2着となって本番に向かうが、これまでの好走実績が中山に集中していること、過去の戦績から「GIでは足りない」と見られていることによって、軽視される可能性が高い。

 しかし、前哨戦2着の人気薄馬の激走は、過去にも繰り返されている。一発があってもおかしくない。

 続いて参考にしたいのは、2013年に穴を開けたハクサンムーン。同馬はその前年、2走前のGIII京阪杯(京都・芝1200m)を快勝。初の重賞制覇を飾って、スプリント戦線の有望株として翌年の飛躍が期待されていた。

 しかし、続く前走のオーシャンSでは3番人気に推されながら9着と惨敗を喫した。その結果、高松宮記念では10番人気という低評価に甘んじたが、レースでは急落した評価に反発するかのように3着と奮闘した。

 そんなハクサンムーンと臨戦過程が似た馬が、今年もいる。シャイニングレイ(牡6歳)である。

 もともと2歳時には、GIIホープフルS(中山・芝2000m)を勝っている素質馬だが、ケガによっておよそ2年間の休養を余儀なくされた。

 復帰したのは、昨年の春。ダート戦、芝の中距離戦なども試されたが、3走前に芝1400m戦のオープン特別を完勝。短距離戦で復活への活路を見出されると、続く2走前のGIII CBC賞(2017年7月2日/中京・芝1200m)も制し、重賞2勝目を飾って完全復活を遂げた。

 同レースでは、33秒2の上がりタイムをマークして、4コーナー15番手から差し切るド派手な勝ち方を披露。スプリント戦線に「新たなスター誕生か」と脚光を浴びた。

 ところが、休み明けの前走・GII阪神カップ(12月23日)では、まさかの18着惨敗。この負け方からして、今回は人気落ち必至な状況にある。

 この過程は、まさにハクサンムーンにそっくり。およそ3カ月ぶりの実戦となるが、その間にうまく立て直しが図れていれば、状態がガラリ一変していることも考えられる。再度、素質馬の巻き返しに期待してみるのも悪くない。

 最後に、過去の穴馬の例から狙ってみたいのは「7歳馬」だ。

 冒頭で記した2009年のソルジャーズソングと2011年のアーバニティは、いずれも7歳馬だった。

 力があっても、7歳という高齢馬となれば、どうしても衰えが心配される。それだけで嫌われて人気を落とすことが競馬では多々ある。

 しかし、実際に7歳馬が馬券に絡んでいることは先述のとおり。今年も7歳というだけで人気を落としそうな実力馬を狙ってみてはどうだろうか。

 メンバーを見渡すと、今年は4頭の7歳馬がいるが、面白そうなのはネロ(牡7歳)だ。

 2016年にGIII京阪杯(京都・芝1200m)を制したが、以降はふた桁着順に沈むことも多く、完全に低迷していた。それが、昨年の京阪杯(11月26日)で1年ぶりの勝利を飾った。

 そして、前走のオーシャンSでも4着とまずまずの走りを見せたが、ここ2走は「展開に恵まれた」という見方も強く、7歳という年齢から上積みがないと見られて伏兵扱いにとどまりそうだ。

 強力なメンバーが集結することを思えば、そうした評価も妥当と言えるが、過去の7歳馬の奮闘を忘れてはいけない。再び今回、ベテランの逆襲があっても不思議ではない。 現役最速馬を決める大一番。およそ1分余りの激闘によって、高額配当をもたらしてくれる馬が、きっとこの3頭の中にいるはずだ。

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