同じ車種のエンジン車との価格差はガソリン代ではペイできない

 同じモデルで、ガソリンエンジンとハイブリッド・パワートレインが設定されているとき、「ハイブリッド車を選べば価格差をガソリン代でペイできる」と考えてクルマを選ぶのは意味がない、という指摘がある。車両の価格差を鑑みれば、燃料代でその差を埋めるには、かなりの距離を走る必要があるのは事実で、「ハイブリッドカーがオトクというのは大きな勘違いだ」と指摘すること自体は間違ってはいない。今どきガソリンエンジン車の燃費も優秀で、年間5000km程度の走行であれば、燃料代で大きな差は生まれづらい。

 しかし、クルマの損得に関わる要素は燃料代だけではないし、そもそもハイブリッドとガソリンエンジンのパフォーマンスは異なるケースが少なくない。

 たとえば、ホンダ・フィットでいえば、量販グレードのガソリンエンジンは1.3リッターで、ハイブリッドは1.5リッター+モーターとなっている。1.3リッターエンジンの最高出力は100馬力、対してハイブリッドのシステム最高出力は137馬力。つまり、ハイブリッド・グレードは走りの余裕も実現している上に、燃費性能も優れているのであって、単なる燃費スペシャルではないのだ。

 これはガソリンエンジンに例えれば、1.3リッターと1.6リッターの違いともいえるほどパフォーマンスは異なる。仮に、エンジン車でこれだけ排気量が異なるのであれば、車両の価格差は当然であるし、それをもって「損だ、得だ」と指摘することはナンセンスといえる。

 さらにいえば、同じようなコンディションであればハイブリッドのほうが買取価格は高めの傾向にある。残価設定ローンなどで比べてみてもわかるが、5年後の残価を考えると新車価格におけるハイブリッドの価格差は結果的にオトクに感じることになるだろう。新車購入時などの減税でもメリットがあり、しかもパフォーマンスに余裕があり、燃費にも優れ、さらに買取時の値落ちも少ないのが、ハイブリッドカーである。購入から手放すときまでを考えると、ハイブリッドカーを選ぶのは合理的なのだ。

 また、長く大事に乗ったときにもハイブリッドのメリットは出てくる。平成31年3月31日まで適用される、現時点での「自動車税のグリーン化特例」のルール下では、13年超のガソリン車はおおむね15%の増税(いわゆる旧車増税)となってしまうが、ガソリンハイブリッドカーは重課の適用外となっている。こんなところにもハイブリッドカーのメリットはあったりするのだ。