改修工事の間に鍛えた守備と走塁で、日体大荏原順調さ示す戦い

5イニングを投げ無失点に抑えた川内雅樹(日体大荏原)

 このオフの間に多摩川河川敷のグラウンドを改修した日体大荏原。実は、前日の16日に落成式が行われ、杮落としの試合が東京都一次ブロック予選大会ということになった。しかも、日体大荏原としても昨秋は代表決定戦で城東に2対3と競り負けてしまっていたので、この春は一次予選からの出場を余儀なくされることとなった。そして、図らずも新グラウンドの杮落としとなる日と重なった。もちろん、日体大荏原としては負けるわけにはいかない試合である。

 ところが、相原健志監督が事故でケガを負って、松葉杖をつきながらの采配ということになっていた。そんな中での試合だったが、その間にフォローしていたのが昨春から母校に赴任した形となった依田和明コーチだった。グラウンド改修工事で、一時ネットが外されたということもあって、打撃練習がほとんど出来ない時期もあったと言うが、「その分の守備練習と連係プレーや、走塁練習を徹底してやりました。その成果が今日は示せたような内容でした」と、依田コーチは無死二塁でのバントで一気に二塁走者がホームインしたそつない走塁など、8得点中に点を走塁で稼いだことも喜んでいた。

 日体大荏原は2回に死四球でチャンスを得ると、きっちりとバントで進め7番佐藤友哉君の中越三塁打で2者を返し、佐藤君も続く川内君の内野ゴロの間に迷うことなく本塁を奪って3点目。3回にも、失策と死球でチャンスを貰うと、早々とマウンドを降りた板橋の高橋龍晋君に代わって、2人目の左腕長谷麿音君にも襲いかかり、無死満塁で4番山田 杏太君が左前打で2者を帰し、5番田中僚君はスクイズで追加点を奪った。硬軟織り交ぜた攻撃だったが、これで日体大荏原は大きくリードして主導権を奪う。

 先発の川内雅樹君は、相原監督も、「今のところは最も安定しているので安心していられる」と信頼も高く、5イニングで9三振を奪い、新藤晴斗君に浴びた二塁打のみの被安打1という好投だった。そして、6回にも三塁打した佐藤友君が徳永君の左越二塁打で帰り7点目となった。背番号14ながらこの日2本の三塁打した佐藤友君。足もあり好選手だが、父親はあの体操のオニイサンの“弘道兄さん”ということで運動能力が高いのは血筋である。

 ほぼ、完ぺきに抑え込まれていたという感じの板橋だったが、7回二死走者なしというところで4番浪井翔大君が執念の一振りは左翼柵越えのソロ本塁打となった。点が入らなければ、そのままコールドゲームで試合終了となったところだった。結果的には、その裏に失点してコールドゲームとなってしまうのだが、一矢を報いたことは大きかった。柴崎正太監督も、「あそこで、そのまま終わるのと一本出るのとでは全く違います。グラウンドが使えない状態が続いていて、土日は他校にお願いして合同練習という形でやってきたのですが、少しは報いることが出来ました。そして。コールドにはなりましたが、格上の相手に対して、こうして一本出せたことは、次へつながっていく戦いになったと思っています」と、浪井君の一発を高く評価して喜んでいた。

 自分たちが今の環境の中で、やれることをやってきた練習の成果を発揮するのが公式戦の場。そういう意味では、どちらも、冬の間にやってきた成果を示すことのできた意味のある1戦だったといっていいであろう。そして、これを次へつなげていきながら、夏を目指してほしいと願っている。

(取材・写真=手束 仁)