ただの冷え性だと思っていたら…  若い女性に多いという「レイノー病」

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執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ


レイノー病

」は若い女性に発症することが多く、冷え症にも似た症状を呈する病気です。

血管の動脈が過剰に収縮し、手足の指先の血流が減少して冷感を感じたり、皮膚が変色したりする症状がこの病気の特徴です。

長い間冷え性だと思い込んでいる人のなかには、実はレイノー病という可能性もあります。

今回は「レイノー病」を取り上げます。

レイノー現象とレイノー病

手足の指の血流が悪くなり、真っ白や青紫色に変色します。

しびれやチクチクした痛みの感覚が生じることもありますが、血流が戻ると赤くなります。

この状態を「レイノー現象」あるいは「レイノー症候群」と呼んでいます。

寒さによる刺激や精神的な緊張によって、指の細い動脈が一時的に縮むために起こる現象であるとみなされています。

レイノー現象には、膠原病や閉塞性動脈疾患、血液疾患などが引き起こす「続発性(二次性)」の場合と、明らかな原因がないとされる「原発性」の場合があります。

原発性のレイノー現象のことを「レイノー病」と呼んでいます。

レイノー病の症状と原因

前述のとおり、レイノー現象(レイノー症候群)のなかでも、原因となる疾患がないケースが「レイノー病」です。

15歳〜40歳以前の女性に多く見られる疾患で、次のような症状が現れます。

秋から冬にかかる時季の発症が多く、身体の左右対称に症状がでる

突発的に手指が真っ白になり、続いて紫色に変色する。血液の流れが正常になると、通常は数十分くらいで赤色に戻って症状は治まる

冷感やしびれ感、疼痛(とうつう:ズキズキうずくような痛み)、灼熱感を訴えることがある

はじめは寒い時季に限られるが、循環障害が長引くと季節に関係なく起こる

まれに重症化すると指先の潰瘍や変形にいたる

レイノー病は、寒冷刺激や精神的ストレスなどにより、四肢末端の小動脈に発作的に起こる痙攣(けいれん)が原因とされています。

この痙攣は自律神経中枢の異常によって生じるのではないかと考えられていますが、今のところ原因は解明されていません。

レイノー病の治療法

軽症の場合は、

防寒・禁煙・十分な睡眠

を心がけ、生活習慣を改善して身体を労ることが一番大切です。

ニコチンは血管を収縮し症状を悪化させますから

禁煙は必須

です。

興奮したときに症状がでるケースでは弱い鎮痛剤などが用いられることもあります。

また、薬物療法としては高血圧の降圧剤としてよく処方される「カルシウム拮抗薬」が使用されます。

動脈の血管壁にカルシウムイオンが流れ込み、細胞が収縮して血管が細くなるのを抑えます。

この作用により、血管を拡張して血流を良好に保ちます。

重症化して生活に支障がある、他の治療法が有効でないという場合は、症状緩和のために特定の交感神経を一時的にブロックする方法や交感神経切除術という手術に至ることもあります。

とくにこの手術は、原発性のレイノー病に有効とされています。

しかし、効果の持続は1〜2年といわれています。

「レイノー病かな?」と気になったら

レイノー病は、一般的に予後は良好といわれており、発作時以外に緊急措置をとる必要はありません。

ですから、症状を繰り返さないように、日ごろの予防や工夫が必要です。

手袋の着用やカイロを持つなど十分な防寒対策を施して手足を冷やさないこと。

疲労を溜めずストレスを避け禁煙をすること、などを心がけましょう。

また、抗ヒスタミンやカフェインも症状を悪化させるといわれていますから注意してください。

なお、原発性のレイノー病と違い、続発性(二次性)のレイノー症候群には原因となる基礎疾患があります。

治療を続けていくうちに基礎疾患は明らかになるといわれていますが、もちろん基礎疾患の治療が必要となります。


<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供