3歳牝馬クラシックの第1弾、GI桜花賞(4月8日/阪神・芝1600m)へ向けての争いが佳境を迎えている。

 3月3日には、最注目の前哨戦・GIIチューリップ賞(阪神・芝1600m)が行なわれた。同レースには、昨年末の「2歳女王決定戦」GI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月10日/阪神・芝1600m)の上位3頭、1着ラッキーライラック、2着リリーノーブル、3着マウレアがそろって出走。その3頭が再び上位を独占し(1着ラッキーライラック、2着マウレア、3着リリーノーブル)、桜花賞の有力候補であることを改めて示した。

 そして今週は、関西のもうひとつのトライアル戦、GIIフィリーズレビュー(3月11日/阪神・芝1400m)が行なわれる。前述の既成勢力を脅かすような馬が出てくるのか、注目である。

 レースの性質としては、昨年こそ人気サイドで決まったが、比較的荒れるレースとして知られる。2016年は8番人気のソルヴェイグが1着、2015年は7番人気のペルフィカが2着、2014年は13番人気のニホンピロアンバーが2着と、例年必ずと言っていいほど、穴馬が上位に絡んでくる。その結果、2014年の3連単は175万円の超高配当となった。

 日刊スポーツの太田尚樹記者は、こうしたレース傾向になるのは「桜花賞を意識した馬より、短距離馬が集まるレースだから」という。

「距離適性がマイル以上の馬は、前週のチューリップ賞や、関東で今週行なわれるアネモネS(3月11日/中山・芝1600m)に向かうことが多く、フィリーズレビューには1400m以下を得意とする馬が集結します。そうなると、逃げや先行で勝ち上がってきた馬が顔をそろえますから、乱ペースになりやすく、意外な馬の台頭がよく見られるのです。

 そんなふうにしてペースが速くなる分、差し、追い込みが決まりやすいレースでもあります。実際、過去10年の成績を振り返っても、4コーナーで10番手以下の馬が6勝、2着3回と結果を残しています」

 今年の出走予定馬を見渡してみると、重賞勝ち馬は不在。人気を集めそうなのは、オープン特別の勝ち馬や重賞で好走した馬たちとなる。だが、未対戦の馬も多く、まだまだ序列がはっきりしていない今だからこそ、波乱の要素は大きい。

 波乱ムードという見方には、中日スポーツの大野英樹記者も同意する。

「桜花賞は、ラッキーライラックvsシンザン記念の勝ち馬アーモンドアイという図式で展開されていきそうですが、それらと比較すると、やはりフィリーズレビューのメンバーは少し見劣るので、混戦であることは間違いありせん。それだけに、波乱が起こる可能性も大きいと見ています」

 そうした状況にあって、デイリー馬三郎の木村拓人記者は、1番人気が予想されるモルトアレグロ(父スペイツタウン)にも懐疑的な見解を示す。同馬は、阪神JFで5着と善戦し、前走のオープン特別・紅梅S(1月14日/京都・芝1400m)では見事な勝利を飾っている。

「モルトアレグロは初陣でダート戦を勝っているように、重厚感のある馬体の持ち主。前走で軽い芝のレースを快勝し、少し印象が変わってきてはいるものの、本質的には時計のかかる力の要る馬場が向いていて、パワーで押し切るタイプだと思います。今の高速馬場の阪神、週中の雨の影響が残らないようなら、付け入る隙があると見ています」

 こうしてみると、今年も思わぬ馬が上位に食い込んできそうだが、では各記者はどの馬を波乱の”主役”と見立てているのだろうか。

 大野記者は、前走で500万特別のなずな賞(1月20日/中京・芝1400m)を勝ったアリア(父ダイワメジャー)の名を挙げた。


フィリーズレビューに勝負気配を感じるアリア

「2走前はアブミ(※馬具。乗り手が足をかける部分)が外れるアクシデントがあって力を出し切れませんでしたが、前走ですっきり2勝目を決めました。ここに来て、気性面で落ち着きが見られるようになったのは、大きなプラス材料。本番の桜花賞は、この馬にとってやや距離が長いだけに、1400m戦のここで勝負をかけてくるはずです」

 アリアは昨年6月の新馬戦を勝ち上がってから、2勝目を挙げるまでに5戦を要した。それが敬遠されて人気を落としそうだが、デビュー2戦目にはGIII函館2歳S(7月23日/函館・芝1200m)で3着と好走。早くから高い能力を示していただけに、確かに侮れない存在だ。

 太田記者は”あの”名馬たちの全妹を穴馬に指名した。

「三冠馬オルフェーヴル、GI3勝のドリームジャーニーの全妹、デルニエオール(父ステイゴールド)です。前走の500万条件(2月17日/京都・芝1400m)を勝ち上がったタイムなどは特筆すべきものではないのですが、同馬からは数字では計り知れない能力を感じます。管理する池江泰寿調教師も『かなり難しい女の子だけど、持っている能力は相当なもの。今年の3歳牝馬の中でもトップクラスなのでは』と評価しています。

 前走にしても、出遅れて後方からのレースになりましたが、馬なりのまま先行集団に並びかけ、瞬時に先頭に立ちました。2着馬のリバティハイツに迫られてからは、さらにもうひと伸びして振り切る勝負根性を見せました。

 レース後は気の悪さを出して、検量室前まで戻るのもひと苦労だったようですが、そんなところからは兄オルフェーヴルを彷彿とさせるものがありました。410kg前後と小柄な馬体の維持には苦労しているみたいですし、気性面も含めて課題は多いですが、魅力はたっぷりあります」 

 日本の競馬史に名を残す「怪物」オルフェーヴル。その偉大な兄も、快進撃は皐月賞の前哨戦(GIIスプリングS)から始まった。同様に、妹デルニエオールがここから旋風を巻き起こしてもおかしくない。

 木村記者は、ロードカナロア産駒のアルモニカを推奨する。

「アルモニカは3カ月ぶりの前走、500万特別の春菜賞(2月3日/東京・芝1400m)で2勝目を挙げました。同レースで、2着ミュージアムヒルをしっかり完封した点は高く評価できます。

 というのも、ミュージアムヒルは5戦1勝ですが、2着が4回あって、前々走の赤松賞(東京・芝1600m)ではチューリップ賞2着のマウレアと同タイムの2着でした。乱暴な比較になりますが、そのミュージアムヒルを4分の3馬身差退けたアルモニカは、マウレアにも勝ったようなもの。とすれば、ここでは伏兵の一角以上の存在と言えます。人気が落ちるようなら狙いたいですね。

 前々走のGIIIファンタジーS(11月3日/京都・芝1400m)は、出遅れを挽回するために道中脚を使って7着。敗因は明快です。また、ロードカナロア産駒は、京都よりも最後に底力が必要になる阪神のほうが向くと思います」 堅く収まった”王道”のチューリップ賞とは違って、一筋縄とはいかない雰囲気が充満しているフィリーズレビュー。競馬ファンを騒然とさせる”春の嵐”を起こす馬が、おそらくこの3頭の中にいる。

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