Chromeの座を脅かすか? 最新のFirefox Quantumはスピードと省メモリがウリ

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Firefoxといえば、無料で使える定番のWebブラウザとして知られている。
安心して使える一方で、地味な印象があるのも事実だ。

しかし、最新のFirefoxはインターフェイスが刷新され、表示も高速になって印象がガラリと変わった。

名前も「Firefox Quantum」と変更された。
スクリーンショットなどの面白い機能も満載だ。

Firefoxは使ったことがない、または最近は使っていないという方は、ぜひ試してみてほしい。

●Firefoxが今までの2倍高速になって、名前に「Quantum」が付いた
現在、パソコン用のWebブラウザでは、Google Chromeが最もメジャーだ。

表示は高速だし、拡張機能で機能を増やせる。
検索やGmailなどのGoogleのサービスを活用するのにも連携できて、何かと便利だ。
特に大きい不満もないし、ユーザーも多いので、何となくChromeを使っているという人も多いだろう。

ただし、Chromeにも問題はある。

タブをたくさん開くとけっこうメモリを消費し、拡張機能が増えると動作が遅くなったり、不安定になったりすることもあるからだ。

中には「そろそろChromeには飽きた」という人もいるかもしれない。

とはいえ、今さら
Internet Explorerは怖くて使えないし、
Microsoft Edgeだと芸がないし……。
という人におすすめなのが、「Firefox 58」、別名「Firefox Quantum」だ。

Firefoxは、Webブラウザとしての歴史は古い。
これまではバージョン番号で区別されてきたので、「Firefox 58」は58代目ということになる。

それが、1つ前の「Firefox 57」から、「Firefox Quantum」という別名が付いた。
それだけ、力の入った強化が行われたということなのだ。

なお、「Quantum」は「量子」という意味で、「量子跳躍、めざましい進歩」といった意味が込められているようだ。


Firefox Quantum。以前のFirefoxからは印象が大きく変わった。ウィンドウ全体のデザインは、一見するとEdgeのようにも見える。



メニューやブックマークなどのデザインも変わった。


●今までより2倍高速でChromeより30%省メモリ
Firefox Quantumの大きな強化ポイントは、高速化と省メモリだ。
FirefoxのWebサイトでは、従来のFirefoxより2倍高速になり、Chromeより30%省メモリだとうたわれている。

実際に操作しても、サクサク動くことは十分実感できる。
実際にどれくらい違うかを確認するために、次のようなテストをしてみた。
1.Chrome(64.0.3282.186)とFirefox Quantumの2つを起動する。
2.ライブドアニュースのトップペーシを表示する。
3.両ブラウザでニュースのトップ10の見出しを[Ctrl]キーを押しながら連続してクリックし、11個のタブに記事を表示させる。


Firefox Quantum(左)とChrome(右)に、それぞれタブを11個開いて、同じコンテンツを読み込んだ。


上記の操作をすると、各ブラウザに11個のタブが表示されて、各タブに記事が次々と読み込まれる。次は、読込直後から数秒おきにタスクマネージャの数値をキャプチャした結果だ。


11個のタブにコンテンツを読み込んだ直後からのFirefox QuantumとChromeのCPU、メモリの消費量の推移。


タブ数は同じなのに、Firefox Quantumの消費メモリが少ないことが確認できる。
Chromeより30%省メモリというのも、うなずける結果といえそうだ(一方、CPUの利用率はFirefox Quantumの方が高い印象だ)。

●アドレスバーと検索ボックスが統合されて、スクリーンショット機能も搭載
Firefox Quantumは、ユーザーインターフェイスも刷新されている。
最も大きい変化は、アドレスバーと検索ボックスの統合だろう。
Chromeと同様に、1つのボックスでURL入力と検索の両方が可能になっている。

また、検索するときは、候補キーワードの下に表示されるアイコンで検索エンジンを切り替えることもできる。Google、Yahoo! JAPAN、Bingの他に、Amazonや楽天での検索に切り替えることも可能だ。


アドレスバーと検索ボックスと統合された。検索中は左下のアイコンで検索エンジンを切り替えられる。


Webページを画像として保存できるスクリーンショット機能も便利だ。
アドレスバー右端の[・・・]をクリックし、[スクリーンショットを撮る]を選択したあと、撮る範囲を指定する。ページ全体/表示されている範囲だけ/ドラッグ範囲だけを画像として保存することが可能だ。

このほかにも、オフラインでWebページを表示する「Pocketに保存」、ゲームやVRへの対応などの機能も用意されている。
もちろん、拡張機能を追加したり、テーマでデザインをカスタマイズしたりできるのは従来どおりだ。


アドレスバー右端の[・・・]をクリックし、[スクリーンショットを撮る]を選択すると、このような画面になる。



[ページ全体を保存]を選択すると、隠れている部分も含めてページ全体を1つの画像ファイルとして保存できる。



カスタマイズ機能が強いのは従来どおり。ツールバーをカステマイズしたり、テーマで画面デザインをガラッと変えたりできる。


また、Chromeからブックマーク、自動補完、パスワード、設定を自動的にインポートする機能も用意されている。
Chromeと共存してもまったく問題ないので、ChromeとFirefox Quantumを用途によって使い分けるのも面白いだろう。


ほかのブラウザからブックマークや設定をインポートすることも可能。


もしも、Firefoxは使ったことがない、または昔は使っていたが最近は触っていないという方がいたら、ぜひ、この機会に試してみてはどうだろうか。
予想以上の進化に、きっと驚かれると思う。


井上健語(フリーランスライター)