格安スマホをワンランク上に押し上げた「HUAWEI nova lite 2」が与える影響

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ファーウェイがまたまたやってくれた。
格安スマホと呼ばれるSIMフリースマートフォンのランクを、一気に引き上げたのだ。

「HUAWEI nova lite 2」は、
・ダブルレンズカメラ
・メタルボディ
・アスペクト比18:9の縦長ディスプレイ
という付加価値を持ちながら、2万5980円(税抜)という価格を実現した。

販路はMVNO(仮想移動体通信事業者)のみと言うことで、SIM契約が必須となる。
しかしセット販売のキャンペーンでは、1万円台後半の価格付けがされており、格安スマホ入門機としても最適な製品となっている。

同じ価格帯には、
・ASUS「ZenFone Max Plus」、「ZenFone 4 Selfie」
・ZTE「Blade V8」
などグローバル市場でしのぎを削るライバルが揃っている。




nova lite 2は、
前述した通り18:9のアスペクト比の約5.65インチディスプレイを搭載する。
画面の解像度は1080×2160ドット、一般的な解像度であるフルHD(1080×1920ドット)よりも表示領域が広いことが特徴である。

CPUにはオクタコアの「Kirin 659」を搭載。
3Dゲームを遊びたいヘビーゲーマーにはオススメできないが、SNSやネットショッピング、写真撮影などがメインの使い方なら十分すぎるパフォーマンスだ。
数年前のエントリークラスのスマートフォンからの買い換えなら、その速さに十分満足できるだろう。

そのほか、3GBのRAM、そして32GBの内蔵ストレージを搭載する。
最大256GBのmicroSDXCカードも利用可能だ。

背面は上下がアンテナのために樹脂製であるが、それ意外はつや消し加工されたメタル製で指紋認証のためのセンサーも搭載する。
2万円台のスマートフォンであるとは思えない質感を実現している。




さらに背面は、ファーウェイが特異とするダブルレンズカメラが搭載されている。
2つのカメラの構成は、
・像面位相差センサーを搭載する1300万画素イメージセンサー
・深度を計測するための200万画素のイメージセンサー
と、なり、上位機種とは少々異なる。


<ワイドアパーチャ機能はピント位置やボケ量を調整できるため、一眼カメラ撮ったような写真に仕上げることができる>


これは主に被写体の背景をぼかしたり、あとからピント位置が変更したりできる「ワイドアパーチャ」機能や「ポートレート」機能に重きを置いているためだ。

実際、画質的にも上位機種に匹敵する。
スマートフォンでは難しい背景をぼかす「ボケ効果」をアピールしたほうが、ユーザー受けや評価が良いため、この仕様は納得できる。

一方、インカメラは800万画素と、特に高画素というわけではないが、価格を抑えてもイメージセンサーの画素数を極端に下げていないのはユーザーニーズを理解していると言える。
またインカメラには、美肌効果を細かく設定可能な「パーフェクトセルフィー」機能など、自撮りに特化した機能が満載となっている。

これらの多くの機能やワンクラス上のハードウェアを搭載しても格安な価格で市場に送り出せるのは、世界市場で成果を上げているグローバル企業の強みでもある。

そして、影響力のあるファーウェイが、格安スマホのレベルをワンランク上げたことは、ライバルメーカーにとっては追随せざるを得ないわけで、大きな負担と脅威になるだろう。




格安スマホは、この1年で確実に”安かろう悪かろう”という製品イメージから脱却しつつある。安値を争う価格競争でなく、品質での競争に移行しており。健全化されたように思う。

一方で、ファーウェイがトレンドの機能を盛り込んだワンランク上の格安スマホを投入した。このことで、今後、この価格帯の製品は要求するハードルが高くなり、開発負荷と製品コストの増大で、多くのメーカーにとって、うま味がなくなったように思える。

現在は、その一つ上のミドルクラスで、ファーウェイをはじめとするグローバルメーカーや、シャープや富士通と行った日本製のスマートフォンが激戦を繰り広げている状況だ。

消費者としては、安くて良い製品を購入できることは良いことだ。
しかし、国内外のスマートフォンメーカーは
・このまま消耗戦を続けていくのか、持久戦で勝負するのか
・新たなマーケットを開拓するのか
選択をする時期に来ているのかもしれない。

成功の鍵は、最新のハードウェアや多機能に振り回されることなく、ユーザーニーズにあった実のあるスマートフォンにあるように思える。


執筆  mi2_303