こうして使えば便利に利用できるスマートウォッチが、
便利さが理解されないままフェードアウトしてしまうのだとしたら、実に残念なことだ。


そう思っていたところに、
ライフスタイルプロダクトとファッションアクセサリーの企業である「フォッシルグループ」が、「ミスフィット(MISFIT)」の新製品を出した。

この製品についての話しを訊く機会と試すこと機会を得たので、紹介しようと思う。

ミスフィットのウェアラブルデバイスは、活動量計をガジェットではなく質感の高いファッションアイテム化した製品が多い。


ブレスレットのような「MISFIT RAY」は、
・約半年間の電池交換が必要ない活動量計を搭載
・スマートフォンと連携することでフィットネス機能が利用できる


<MISFIT VAPOR>


新製品「MISFIT VAPOR」は、MISFIT初となるAndroid Wearを搭載する本格的なスマートウォッチ。フォッシルグループのブランドの中でも特にフィットネスに力を入れている。
アナログ時計を連想させる丸型のディスプレイは、ファッション性が高く時計として見ても魅力的だ。


<ベゼル部分のタッチセンサーで操作も可能だ>


OSにAndroid Wearを採用しているので、タッチパネルでの操作ができる。
しかし、それだけはない。
ベゼルにもタッチセンサーを搭載しているため、ベゼルをなぞるだけでスクロール操作が行えるのだ。

スマートウォッチの場合、タッチスクリーン上でスクロール操作すると、小さいアイコンが指に隠れてしまい、思うように操作ができない。
しかしベゼル部分で操作できるため、目的のアイコンを素早く探し出して使うことができるというわけだ。


<スマートフォンで再生中の楽曲のアルバムアートも有機ELディスプレイで美しく表示される>


「MISFIT VAPOR」は、
・丸いディスプレイとアナログ時計のようなデザインがクール
・Android WearのシンプルなUIにより無駄な機能がなく使いやすい
もちろんメールなどの通知の確認や、一般的なミュージックプレイヤーだけではなく「Amazon Prime Music」のような音楽配信サービスのリモコンとしても利用可能だ。

「MISFIT VAPOR」はMISFIT製品と言うこともあり、メインの機能や用途は活動量計だ。
この機能は運動不足解消やダイエットなどの自己管理のほかに、生活習慣病予防にも身体を動かすことが良いとされている。
そこまで深く気にせずとも、一日どれだけ歩いたかをログとして残すことで「もう少し歩いた方が良いな」といった気づきにもなる。


<フィットネス機能でウォーキングのログを取っている。移動したコースが地図として表示されるのが面白い>


こうしたシンプルな行動記録だけでなく、
・フィットネス機能としてウォーキングやランニングの記録
・水泳でも利用できる防水性能を搭載
さらに心拍センサーも搭載しているため、活動ログに心拍の情報も記録してトレーニングの効果を確認することも可能だ。

この「MISFIT VAPOR」の特徴は、デザインや機能だけでなく、価格が25,800円(税抜)と安いところにもある。スマートウォッチ初心者にもオススメできる製品ということだ。

フォッシルグループは、ハウスブランドのほかファッションブランドのライセンス展開もしており、それぞれのフィロソフィーにあったスマートウォッチを出している点も興味深い。

フォッシルブランドとしては、
・ステンレスケースにステンレスのベルト「Q EXPLORIST ステンレススチール ジェネレーション3」
・レザーベルトの「Q EXPLORIST ブラウンレザー ジェネレーション3」
などファッションアイテムとして魅力的な製品をラインナップしている。


<ディーゼルのスマートウォッチ>


「ディーゼル(DIESEL)」ブランドでは、少し大きめで時計として主張が強めのDT2000などのスマートウォッチをラインナップ。
ダイバーズウォッチのような力強いデザインのケースが魅力的だ。


<マイケル・コースのスマートウォッチ>


「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」のスマートウォッチは、エレガントなデザインのケースが特徴のスマートウォッチである。

これらのタッチスクリーンを搭載するスマートウォッチは、それぞれにカスタマイズされたウォッチフェイスを搭載するほか、その日の服やアイテムに合わせてウォッチフェイスをチョイスしてくれる機能なども搭載する。
スマートウォッチでありながら、ケースとウォッチフェイスが一つのファッションアイテムに昇華しているのだ。

このほかにも様々なタッチスクリーンのスマートウォッチ製品や、アナログ時計にスマートウォッチの通知機能を持たせたハイブリッドスマートウォッチもラインナップしている。

これまでスマートフォンとスマートウォッチを作ってきたメーカーは、
グーグルが作った機能を売るためにスマートウォッチを作っていたとも言えるだろう。

こうしたアプローチは、ユーザーや消費者に対して使い方の提案をしてはいたが、作っている側も使い方に対して試行錯誤していたというのが実情だったといえるだろう。
それ故に、必要以上に機能を搭載し、ガジェット化してしまっているとも言える。




一方フォッシルは、アナログ時計のムーブメントを、
・タッチスクリーン
・Android Wear
に置き換えたものをスマートウォッチとしている。

そこから見えるのは、ファッションアイテムとしてのウォッチフェイスであり、シンプルで便利な通知機能や活動量計だ。

実際、フォッシルのスマートウォッチは好調のようで、スマートウォッチに興味を持っていた層だけではなく、時計として購入している消費者が多いのだとか。

話しを訊けば訊くほど、なぜスマートフォンメーカーのスマートウォッチがフェードアウト気味なのかが理解できた。

しかしながら、これを理解できたからといって、今からスマートウォッチが方針を転換し、世界感を作り直して、幅広い層にアピールできるかといえば、それは難しい。
これは、フォッシル独自の戦略的な勝利だからである。

次に来ると言われているスマートスピーカーも、成功の可否は、
売る側の視点=ユーザーファーストに向かっているのか、
これを考える必要がありそうだ。


執筆  mi2_303