iPhone Xなど、いくつかのスマートフォンのディスプレイ上部には、ディスプレイとして使用できずにカメラや電話のスピーカーに使う凹型のスペース、通称「ノッチ(切り欠き)」があります。この部分を気にするユーザーは一定数おり、iPhone Xのノッチ部分を消すアプリやインターフェイスを工夫して目立たなくするように対処するユーザーもいます。そんなノッチが不要になるスマートフォンを実現する技術について、Android OSの生みの親の1人であるアンディ・ルービン氏が特許取得していたことが明らかになりました。

It turns out that Essential was granted a patent for a no-notch screen with a popup camera in 2017

https://www.androidpolice.com/2018/03/03/turns-essential-granted-patent-no-notch-screen-popup-camera-2017/

Vivo Apex phone's camera pops up to take your selfie - CNET

https://www.cnet.com/news/vivo-apex-concept-phone-mwc-2018/

モバイル端末のイベントMWC2018の会場で、中国のスマートフォンメーカーVivoがポップアップ式カメラを搭載したコンセプトスマートフォン「Apex」を出展していました。

Apexが搭載されているカメラをポップアップする様子は、以下の画像をクリックするとGIFムービー(容量約350KB)が再生されて一発でわかります。



Apexは、一見してフロントカメラが確認できないことを除くと、一般的なスマートフォンのデザインに見えますが、本体上部の左側から……



本体に内部されていた画素数8メガピクセルのカメラが0.8秒でポップアップします。この機構を使えば、フロントカメラを避けるためにディスプレイにわざわざノッチを入れる必要はなくなりそうです。



MWC2018で展示されたApexは、搭載されているカメラの機構や、指紋認証を行えるセンサー内蔵のディスプレイなどの特徴からテクノロジー系メディア

のEngadgetやCNETで紹介され、注目されました。

以下のムービーは、Apexのディスプレイで指紋認証をする様子などを収録したムービーです。

Vivo Apex concept phone hands-on - YouTube

Apexは、テクノロジーなどの取り扱うニュースサイト、Gizmodoでも2018年3月1日に取り上げられました。その翌日の2018年3月2日に、TwitterユーザーのRafael Villarさんが、Android OSの生みの親の1人であり、現在はスマートフォンメーカー「Essential」のCEOのルービン氏のTwitterアカウントに向けてApex存在を知っているかどうかを尋ねました。



するとルービン氏は「見たことがある。これを確認してくれ」と、EssentialがApexと類似したポップアップ機構を備えたスマートフォンのカメラの特許を所持しているという事実を明らかにしました。







Googleが提供する特許文献の検索サービスGoogle Patentsによると、ルービン氏が明らかにした特許は「モバイルデバイスの表示領域を最大化する装置と方法」(US9736383B2)という名称でアメリカで取得されたのもの。権利は、Essentialのモバイル端末を製造する企業Essential Productsが2016年5月に申請し、2017年8月に特許を取得し、現在もEssential Productsが権利を所有していることが記載されています。

US9736383B2 - Apparatus and method to maximize the display area of a mobile device - Google Patents

https://patents.google.com/patent/US9736383

特許内容は、ディスプレイ前面からカメラをなくす、または位置を変更することにより、ディスプレイの表示領域を最大化するというもの。



特許取得された技術がすべて実用化されるとは限りませんが、ノッチ否定派が一定数いるなかで、ベゼルレスディスプレイを実現するためのポップアップ式カメラを備えたスマートフォンが登場する可能性は十分ありそうです。