フィアンセと減量に励んでいた頃の男性(画像は『GoFundMe 2017年11月21日付「Robert Buchel Memorial Fund」』のスクリーンショット)

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アメリカのケーブルテレビTLC(ザ・ラーニング・チャンネル)の人気番組『My 600-lb Life(体重272キロの人生)』は、肥満に苦しむ人々が医師らの力を借りて減量に挑戦するリアリティーショーである。先月28日の放送で、減量に挑戦していたニュージャージー州フォークト・リバー出身の男性が、昨年11月に亡くなっていたことが明らかになった。『PEOPLE.com』『Fox News』などが伝えている。

超肥満で体重が380キロを超えていたロバート・ブッヘルさんは昨年11月15日、『My 600-lb Life』の収録中に心停止を起こして亡くなった。41歳だった。

ロバートさんは生前、肥満のためベッドから起き上がることも苦痛な状態で、食事からシャワーまで生活のほとんどをフィアンセのキャサリン・レマンスキーさんに頼っていた。しかし真剣に減量に取り組みたいと『My 600-lb Life』への出演を決め、昨年6月にキャサリンさんとともにヒューストンの病院に移っていた。

ヒューストンでは減量外科専門医のYounan Nowzaradan氏の監視指導のもと、食事療法や簡単な歩行訓練などのリハビリを重ねた。9月には肥満による腹腔内の脂肪が原因でできる肥満性リンパ浮腫の、身体右側部分の切除手術を受け約155キロの減量に成功、体重は227キロにまで落ちていた。

しかし手術後、これまでに経験することのなかったストレスからうつ状態となり、ロバートさんは鎮痛剤に依存するようになる。見かねたNowzaradan医師は鎮痛剤をやめるように指示したが、これに反発したロバートさんはベッドから起き上がることさえも嫌がり、鎮痛剤欲しさに手術の際に縫合した糸を引きちぎるなど異常な行動に出るようになった。

その後、病室からリハビリ施設に移動したもののロバートさんは一切の運動を拒否し、ついには歩くこともやめてしまう。精神的、肉体的にも苦しむ日々が続くなか、ロバートさんは減量開始から5か月後の番組収録中、心停止に陥り帰らぬ人となってしまった。

ロバートさんに付き添いケアをしていたキャサリンさんは、あまりにも突然の死をこう振り返っている。

「手術後のロバートは、まるで人が変わってしまったようでした。鎮痛剤の服用ができず、自分と向き合うことをやめてしまったのです。ロバートが亡くなる前、彼は私にこう言ったのです。『今夜を乗り越えることができないような気がする。愛してるよ。これからもずっと愛してる…』私はベストフレンド、そして生涯のパートナーを失ってしまいました。」

ロバートさんとキャサリンさんは14年来のつきあいで、来年にはフロリダのディズニーワールドで結婚式を挙げることが決まっていた。“自分の人生を取り戻したい”と決意したロバートさんは、番組の中で肥満について次のように語っていた。

「今の自分はキャサリンに頼らなければ生きていけないのです。自分で自分のことは何も出来ない。こんな人生を望んでいる人なんていないでしょう。増えてしまった体重によって、身体に相当の負担がかかっているのはわかっています。この状態を抜け出さない限り、メンタルがやられてしまう。感情的になるのもすべてコントロールできない体重のせいなのです。この生活からなんとか抜け出したいのです。」

キャサリンさんはロバートさんの死の2日後、Facebookにこう綴った。

「自分の人生が思い通りにならなくて、ロバートは本当につらかったと思います。亡くなる2か月前は減量が成功していると喜んでいたのに、こんな結果になってしまって…。でも彼の死を無駄にしたくはありません。彼の死から学ぶことはたくさんあると思います。」

「彼のために全力でケアをしてくださった医師、看護師のみなさんには感謝しています。彼は決して一人で旅立ったのではありません。そのことが唯一の救いです。」

ロバートさんの旅立ちの日、キャサリンさんはその手をしっかりと握りしめ、志半ばで逝ってしまった彼にそっと寄り添っていたそうだ。

画像は『GoFundMe 2017年11月21日付「Robert Buchel Memorial Fund」』『The Sun 2018年3月1日付「‘I WON’T MAKE IT THROUGH THE NIGHT’ Chilling final words of obese man weighing SIXTY STONE who died during filming for My 600lb Life」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)