3歳牡馬クラシックの第1弾となるGI皐月賞(4月15日/中山・芝2000m)を見据えたプレップレース、GII弥生賞(中山・芝2000m)が3月4日に行なわれる。

 例年、このレースにはクラシック候補と目される馬が出走し、その後の飛躍へとつなげることが多い。そして今年も、話題の有力馬が2頭出走する。

 ここまで3戦無敗の、ダノンプレミアム(牡3歳)とワグネリアン(牡3歳)だ。いずれも、圧倒的な内容でここまでのレースを勝ち続けており、ともに現時点における3歳世代の「横綱」という評価がなされている。この2頭がクラシック本番を前に激突するとあって、今回はその勝負の行方に大きな関心が集まっている。

 しかし、この「2強対決」に割って入ろうとする存在がいる。2戦無敗の関東馬オブセッション(牡3歳)である。

 はたして同馬は実際に”2強ムード”を打ち破ることができるのか。その可能性を探ってみたい。


シクラメン賞ではレコード勝ちを飾ったオブセッション

 まずは過去10年の傾向を見てみると、10頭の勝ち馬のうち8頭がこの弥生賞までに芝2000m戦で勝ち鞍を挙げている。該当しないのは、2011年のサダムパテックと2015年のサトノクラウンだが、これら2頭はともGIII東京スポーツ杯2歳S(東京・芝1800m)を勝利。1800m戦での重賞勝ちがあった。

 オブセッションは、デビュー戦(10月21日/東京)で芝2000m戦を勝利。過去の勝ち馬の条件に合う。同様に、ワグネリアンもデビュー戦(7月16日/中京)で2000m戦での勝ち鞍がある。

 一方、ダノンプレミアムはデビュー戦(6月25日/阪神)こそ1800m戦だったが、以降、2戦目のGIIIサウジアラビアロイヤルC(10月7日/東京)、3戦目のGI朝日杯フューチュリティS(12月17日/阪神)は、ともにマイル戦。重賞2勝、それも楽勝という実績は群を抜いているものの、あくまでも距離経験という点においては、ダノンプレミアムよりオブセッションのほうに分がある。

 次に、現場の記者たちはどう見ているのか。日刊スポーツの木南友輔記者は、「2強」という評価自体に疑問を呈す。

「朝日杯FSについては、同日に同じコースで行なわれる古馬準オープンの元町Sと比較してそのレベルを評価することが多いのですが、今年勝ったダノンプレミアムは元町Sの勝ちタイムを上回る時計で完勝。レベルの高い走りだったことは間違いありません。

 ただ、サトノアレス、リオンディーズ、ダノンプラチナなど、過去に元町Sと匹敵する数字を残した勝ち馬でも、3歳を迎えて臨んだ前哨戦、弥生賞やスプリングS(中山・芝1800m)で敗戦を喫した事実があります。

 ワグネリアンについては、同じ友道康夫厩舎と金子真人オーナーのコンビでダービー馬となったマカヒキの同じ時期と比較して、走りの内容に幼い印象を受けます。

 もちろん、それでもオープン特別の野路菊S(9月16日/阪神・芝1800m)、東スポ杯2歳S(11月18日)と楽勝。確かにポテンシャルは高いと思いますが、それらのレースで破った馬たちのその後が低調なのは気になるところですね。

 また、2頭とも中山コースへの適性を問われた場合にどうか。トリッキーなコースゆえ、絶対視するまでには至りません」

 スポーツ報知の豊島俊介記者は、弥生賞の条件においてはオブセッションにも不安があるという。

「デビュー2戦2勝のオブセッションですが、2戦とも直線が長くて広いコースでした。跳びが大きくて、現時点では小回りコースへの対応にやや疑問が残ります。皐月賞より、日本ダービー(5月27日/東京・芝2400m)のほうが間違いなく合うタイプ。勝負どころでの反応がまだ鈍い点も含めて、機動力が求められる今回の舞台では、信頼は置きづらいですね」

 ただし、スケールの大きさでは「2強」にも引けをとらないという。

「新馬戦が道悪馬場で快勝、2戦目のシクラメン賞(12月2日/阪神・芝1800m)がレコード勝ちと、どんな馬場にも対応できるのは、やはり根本的な能力が高い証拠。加えて、以前は調教で目立つタイプではなかったのですが、この中間はしっかりと動けていて、馬の成長を感じます。

 2歳時の完成度では”2強”にアドバンテージがありましたが、クラシックを見据えるうえでは、成長度というのが大きなポイントとなります。その点、普段から追い切りに騎乗している杉原誠人騎手も『よくなっている』と、オブセッションの成長度合いに太鼓判を押していました。

 もともと血統的な裏づけもあるオブセッション。昨年3月の時点でもノーザンファームの関係者が相当な評価を与えていた馬なんです。スケールという意味では、このメンバーの中でもナンバー1かもしれません」

 2戦目のシクラメン賞では、レコード勝ちに加えて、後続に4馬身差をつける圧勝劇を演じた。それも、関西への長距離輸送を克服しての結果だ。このレースぶりから、スケールの大きさは十分に感じられた。

 その後、休養に入ったオブセッション。トレセンに帰厩してからは、豊島記者が話すとおり、十分な乗り込みを行なっている。レース1週前には、坂路調教を2本消化した。管理する藤沢和雄厩舎としては、ハードな部類だ。

 こうした同馬の実績、精力的な中間の動きを見て、木南記者は「打倒・2強」も十分にあり得ると見ている。

「シクラメン賞の勝ちタイムは、翌日の古馬準オープンの逆瀬川Sを上回る数字。つまり、数字の比較では、ダノンプレミアムに勝るとも劣りません。

 また、クラシック出走へ賞金が十分に足りているダノンプレミアムやワグネリアンに対して、オブセッションは500万条件を勝ったばかりの身。クラシックに向かうためには結果が必要なので、オーナーサイドや厩舎の勝負度合いは相当なものでしょう。そこは”2強”にはない魅力だと思います」「執念」という意味を持つオブセッション。クラシック出走への執念を見せて、「2強」を蹴散らし勢力図を塗り替えるのか。競馬ファン注目の一戦は、楽しみが増すばかりだ。

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