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外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏が2018年1月の為替相場レビューと、今後注目の経済指標やイベントをもとにした相場展望をお届けする。

○ドル/円 2月の推移

2月のドル/円相場は105.546〜110.479円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.3%下落(ドル安・円高)した。米長期金利は10年超を中心に大きく上昇したが、ドル/円はこれまでの相関性を無視する形で反落。米長期金利の上昇を嫌気する形でNYダウ平均が最大で約11%値下がりするなど、世界的に株価が暴落する中、投資家のリスク許容度が低下した事でドル安・円高が進行した。

本邦勢のリパトリ(資金還流)と見られる動きも相まって14日に2017年安値(107.318円)を割り込むと16日には105.50円台まで下値を切り下げた。その後は、世界の株式市場が落ち着きを取り戻した事などから下げ渋ったが、2月下げ幅の半値戻しの水準(108.013円)にも届かず上値が重い展開を打破できないまま2月の取引を終えた。

○ドル/円 3月の見通し

米長期金利の上昇とドル安・円高が2月に同時進行したのは、本邦投資家が急激な米債安(金利上昇)に耐え切れず売却を余儀なくされた事が影響したものと思われる。財務省の統計で本邦投資家が1月末から2月中旬までの3週間で2兆円を超える多額の中長期外債を売却していた事が明らかになった。2月は米国債の発行が多く、必然的に償還・利払いも多い。その上に、本邦投資家が売却を迫られたとすれば、償還・利払い金と売却代金の円転需要によって円高が進む蓋然性が高まる。

これとは別に、本邦企業の決算期末に向けた資金還流(リパトリエーション)観測などから3月中旬までは円高圧力が増しやすいとの季節的なアノマリーもある。当面は2月安値105.546円をめぐる攻防戦の再開に警戒が必要だろう。ただ、そうした「季節的円高要因」が薄れるにしたがって3月後半からはドル高・円安方向に動きやすくなると考えている。

アルゼンチンで行われるG20財務相・中銀総裁会議(19-20日)や米連邦公開市場委員会(FOMC)は、そのきっかけとなる可能性があるため注目しておきたい。G20では、ユーロ圏などからドル安への批判が出る可能性もある。為替問題は表メニューには載っていないようだが裏メニューとして水面下で協議されてもおかしくないだろう。

FOMCについては、利上げ自体は織り込み済みだが政策金利見通し(いわゆるドットチャート)で年内にあと何回の利上げを示唆するかが焦点だ。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が2月に行った議会証言の内容などを勘案すれば「あと3回(年内合計4回)」の利上げ方針が示される可能性もある。債券安に端を発した株価の不安定な動きが収まれば、利上げ期待でドルが買われる局面が戻ってもおかしくないだろう。

○執筆者プロフィール : 神田 卓也(かんだ たくや)

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長。1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信(デイリーレポート『外為トゥデイ』など)を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。Twitterアカウント:@kandaTakuya