2018年シーズンのJ1リーグ開幕カードとなったサガン鳥栖対ヴィッセル神戸戦は、『フライデーナイトJリーグ』と銘打たれた。Jリーグ側によれば、「土曜、日曜にスタジアムで観戦できない人のための、新たなライフスタイルの提案」とのことである。
 
 何やら思い切った試みのように受け止められるが、そもそもなぜ金曜日の試合を設定してこなかったのだろう。おそらくはJリーグ各クラブの運営サイドに、平日のナイトゲームに対するそこはかとない拒絶感があったからだと想像する。土曜や日曜日に比べると金曜日のナイトゲームは集客が難しい、との認識である。
 
 週休二日で働くビジネスマンやOLの感覚としては、平日よりも土日のほうが余暇に充てやすいかもしれない。そのなかで、プロ野球は平日のナイトゲームにも開催される。Jリーグのナイトゲームが19時や19時半キックオフなのに対し、プロ野球は18時や18時30分のプレイボールだ。
 
 最寄り駅からのアクセスは、野球場のほうがサッカー場より優れているものが多い。開始時間は早いものの駅からは近い野球と、時間は遅めだが駅からは近くないサッカー場と考えると、条件的にはほぼ同じだろうか。
 
 ともあれ、平日開催のプロ野球が観客動員に苦戦しているとは聞かない。多少なりとも苦しんでいるとしても、大苦戦ではないだろう。
 
 ラグビーのトップリーグは、土曜日の午後から行われることが多い。1会場で2試合開催の場合は第1試合が午前中にスタートすることもあるが、いずれにしても終わりは早い。
 
 しかも、首都圏の開催地には秩父宮ラグビー場がある。地下鉄の外苑前駅が最寄りで、アクセスは申し分ない。
 
 遅くとも16時にはゲームが終わり、都心のど真ん中である。スポーツ観戦の条件としては最高クラスだから、トップリーグがつねに満員なのか? そうではないのである。

 そもそもの誘導として、『フライデーナイトJリーグ』を提案するのは間違っていない。金、土、日と一週間に3試合スタジアムで観戦できるのは、サッカーに馴染みのあるコア層にもありがたいだろう。いつでもどこでも視聴できる『DAZN』も悪くはないが、スタジアムの臨場感は実際に行かなければ味わえない。
 
 ただ、スタジアムでの観戦者が重視するのは、「いつ、どこでやっているのか」よりも、「観に行きたいと思うかどうか」ではないだろうか。観に行きたい選手がいるか、観に行きたいチームか、観に行きたいカードなのか、ということだ。チームと選手に魅力があるのかどうか、ということである。
 
 チームの魅力はサッカーの面白さや戦術的な奥行きなどに、選手の魅力は個人のレベルやルックスに置き換えられる。それにしても、認知度を高める仕掛けは必要だ。平昌オリンピックに押されっぱなしだった開幕節に、危機感を抱くのは僕だけだろうか。