2画面スマホZTE「M Z-01K」は一般層こそ使うべきスマホだ! 驚きのGoogleマップを折りたためる体験

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NTTドコモ(以下、ドコモ)は2月9日、ZTE製のスマートフォン「M Z-01K」を発売した。
Mの特徴は言うまでもなく”2画面”スマホである。
狭額縁の画面を2つあわせると、約5.2インチの液晶ディスプレイが約6.8インチの大画面スマホとしても利用できるのだ。


<MEDIAS W N-05E>


ドコモは過去に、2画面スマホ「MEDIAS W N-05E」(NECカシオモバイルコミュニケーションズ製)を販売している。こちらもMと同じく、閉じた状態では普通のスマートフォンだが、背面の液晶画面を開くと2画面表示となり、お手軽に大画面化できるというものだ。
当時は、マルチウィンドウをAndroid OSがサポートしていなかったため、同時に起動できる専用アプリだけでしか2画面を活かすことができなかった。

あれから5年の月日が経ち、アプリのマルチウィンドウがAndroid OSでサポートされるようになり、2つのアプリをそれぞれの画面で起動して使うことも実用になっている。

このタイミングで発売したMは、
・ドコモの2画面スマホに対する思い
・ZTEと共同で開発
により、実現できた希有なスマートフォンだ。
昨年10月に行われた発表会では、ドコモの専売モデルではなく海外キャリアにも展開し、AT&TおよびVodafoneにも提供することを発表している。

いわゆるキャリアのスマホでありながら、グローバル展開する。
Mは、これまでにはないビジネスモデルを採用しているのだ。

実際、日本のキャリアが発売している国内メーカー製のスマートフォンを熱心に調べている海外ユーザーもいると聞く。
キャリアの企画力と潤沢な予算を使った「唯一無二」のスマートフォンなのだ。
・日本独自の開発
・グローバル展開
という、新しいビジネス展開により、そこに価値を創造して欲しいところだ。

さて、共同開発をするZTE(本社:中国・深圳)というメーカーは。まだ馴染みがないかもしれない。
しかし通信設備などの大規模なものから、モバイルWi-Fiルーターやソフトバンク向けのモデルなどを古くから手がけているメーカーだ。

SIMフリースマートフォンも手がけており、
・「Blade」シリーズ
・「AXON」シリーズ
などエントリーモデルからハイエンドモデルまで、幅広いラインナップで日本国内でも展開している。


<Dolby Atmosを搭載するAXON 7>


Bladeは低価格ながら、カメラ機能へのこだわりやトレンドのデザインを採用するなどコストパフォーマンスが高いシリーズだ。
ハイエンドモデルのAXONは、ZTEオリジナルらしいデザインコンセプトと、ステレオスピーカーをはじめとするオーディオハードウェアに対する作り込みが特徴と言えるシリーズだ。
一方で、画一化されているスマートフォンデザインの中でも”アク”が濃いので好みが分かれそう。

ZTEは広告展開も積極的に行っているため、”ZTE”という名前をどこかで目にしているのではないかと思うのだが、その名前の知名度とスマートフォンが、まだダイレクトに紐付けられていない点は残念でもある。

SIMフリー以外では、2016年にドコモから「MONO MO-01J」を発売している。
分割購入時の本体代金が月々648円のこのモデルは、ドコモ版”格安スマホ”と言える製品だ。
しかしながら、両面ガラスデザインに加え、防水・防塵仕様、コンパクトな4.7インチディスプレイなど、使いやすさを目指して開発されているためクオリティーの高い格安スマホに仕上げられている。
その後、スペックアップした「MONO MO-01K」を昨年発売している。

そして今回のMの登場となる。実際のMとはどんなスマートフォンなのか?
実機の使い勝手もチェックしてみたいと思う。




約5.2インチの狭額縁デザインであるため横幅は約72mm。
前面・背面にディスプレイがあると言うことで厚みは約12.1mmとやや厚めだ。
しっかり握れる厚みなので思いのほかハンドリングは悪くはない。
しかしながら重さが約226gもあるため、ズッシリとした重さを感じる。
しっかりと握っていないと落としてしまいそうな印象も受けた。




1画面で使っているときはごく普通のスマートフォンだが、背面の画面を引き出して2画面表示にすると、軽量なタブレットに変身する。大画面化の恩恵は大きく、スマートフォンでは文字が小さいWebサイトも、2画面表示なら拡大せずに読むことができる。

Mの特徴である、ポケットに入るコンパクトなスマートフォンであるにもかかわらず、すぐに大画面に変身する。
この利便性は、グーグルマップで目的地を調べる際にひじょうに役立った。




グーグルマップで目的地を検索すると周辺が見えるのだが、拡大すると表示するエリアが狭まるためその周辺のようすを調べるには、スクロールしながら理解する必要がある。




Mなら、折りたたまれていた地図を開くかのように、
サッと2画面表示に切り替えるだけで、表示エリアが広がり現在地と目的地がすぐに把握することができた。
まさにタブレットの表示エリアの広さと、文字入力を含めたスマートフォンの使い勝手の良さを実感したときだった。

2つの画面それぞれにアプリを起動することができるマルチウィンドウ機能では、画面が独立して表示されるため2台のスマートフォンを使っているかのような使い勝手を実現している。


<画面が独立して操作できるため使いやすいMのマルチウィンドウ>


片側ではメールを見ながら、もうひとつの画面ではブラウザで検索を・・・
というカタログ的な使い方はもちろんだが、
YouTubeを見ながらその感想をSNSにつぶやく
なんてことも簡単にできてしまう。




カメラは約2030万画素の”インカメラ”のみ。
高画質なセルフィー撮影が可能であるが、撮影時に背面に表示を切り替えることで、普通のアウトカメラとしても動作する。
カメラアプリを起動するとまずはインカメラとして起動するため、アウトカメラ表示に切り替える必要がある。
面倒そうに思えるが、側面のファンクションボタンを長押しすることで、アウトカメラとして直接起動することができるので、意外に素早く写真が撮れる。




カメラは1つだけだが、最高画質のインカメラ・アウトカメラとなる点が理に適っている。
しかなしながら、アウトカメラでの撮影終了後、画面表示が表面に切り替わるため本体をもう一度裏返しにして持ち直す必要があり、これまでのスマートフォンより一手間かかってしまう。
こうしたことから、どちら側の画面をメインに使うか、指定ができるとさらに便利なのだが・・・。

現在のスマートフォンは、十分な性能と5インチを超える大画面化により完成度は高い。
しかし、性能アップが進む一方で、スマートフォンそのものの使い勝手は、あまり進化してない。
今回、登場したMは、2画面化することでスマートフォンに新しい使い勝手。価値体験をもたらしている。

Mは、”変態端末”としてガジェット好きたちの間で盛り上がっている。
しかし、
広げると画面の広いタブレットのように使える体験は、一般層にこそ使って欲しい機能でもある。
見た目とは異なり、実用性を伴った進化を遂げているスマートフォンであることは間違いない。

使い勝手や重さなど、若干気になる点もあるがそれも世代が進めば解決できる筈だ。今後は現在の2つ折りで開くだけではなく、スライド式で簡単に2画面にアクセスできるような、デザインバリエーションなどにも期待したい。


執筆  mi2_303