2月25日に行なわれるGIII阪急杯(阪神・芝1400m)。GI高松宮記念(3月25日/中京・芝1200m)の重要な前哨戦のひとつとなるが、短距離とマイルの中間距離のレースゆえ、それぞれの距離を得意としたメンバーが集結。一筋縄ではいかない一戦と言える。

 そういう意味では、波乱の要素も十分にある。今年は、一昨年、昨年とGIスプリンターズS(中山・芝1200m)で連覇を達成し、昨年のGI安田記念(東京・芝1600m)でも3着に入ったレッドファルクス(牡7歳)、フランケル産駒の上がり馬モズアスコット(牡4歳)あたりが有力視されるが、それら人気馬同士で決着するとも限らない。

 現にスポーツ報知の坂本達洋記者は、V候補の最右翼レッドファルクスを疑問視。その脚質面に不安があるという。

「阪神の開幕週ですから、セオリーとしては逃げ、先行馬を狙っていきたいですね。逆に、実績最上位のレッドファルクスは差し、追い込み馬。ここは高松宮記念を見据えた”叩き台”といった雰囲気も強いですから、脚質的に取りこぼす可能性はあります」

 モズアスコットについても、日刊スポーツの太田尚樹記者が「陣営からは勝負気配を感じる」と言うものの、「全幅の信頼を置くのはどうか……」と懸念を示す。

「前走が今回と同じ舞台で行なわれたGII阪神C(12月23日)で4着。その分、ここに向けて『今のままでは安田記念に行けない。(阪急杯での)賞金加算は必須。(年明け)初戦から勝ちにいくつもりで仕上げる』と、同馬を管理する矢作芳人調教師は必勝態勢にありました。あっさり勝ってもおかしくない力は持っていると思います。ただ、同馬はレース運びにやや大味なところがあって、テンションが高い点が気になります」

 未勝利戦から4連勝で臨んだ前走の阪神C。重賞初出走で、イスラボニータら強豪相手に4着と善戦した結果は光る。それを素直に評価するか、現状ではそれが目いっぱいだったと見るか、その判断は難しいところだ。

 ともあれ、有力各馬にも付け入る隙があるのは確か。それを踏まえて、太田記者はコースの特性についてこう語る。

「阪神・芝1400mというのは、意外とトリッキーで、適性がはっきりと分かれるコースだと思います。そのため、この阪急杯にしても、同じ舞台の阪神Cにしても、いわゆる”リピーター”が多いんです。

 阪急杯の過去10年の結果を振り返ってみても、ローレルゲレイロ(2008年=1着、2009年=2着)、サンカルロ(2010年=3着、2011年=1着、2012年=3着、2014年=2着)、マジンプロスパー(2012年=1着、2013年=2着)、ミッキーアイル(2015年=2着、2016年=1着)など、多くの馬が連続して好走を重ねています。馬券検討のうえでは、コース適性というのが大きなファクターとなると思います」

 今年の出走馬を見てみると、その”リピーター”候補に該当するのは、昨年2着のヒルノデイバロー(牡7歳)のみ。太田記者は、まさにこの馬を穴馬に推奨する。


昨年のレースでも2着と好走したヒルノデイバロー

「ヒルノデイバローは、昨年のレースで頭差の2着。”リピーター”になる可能性は大いにあります。当時は追い込み一辺倒でしたが、この1年で脚質にも幅が出てきました。前走のGIII京阪杯(11月26日/京都・芝1200m)は10着でしたが、1200m戦は若干忙しい印象があります。

 確かにその成績にはムラがありますが、1400m戦に限れば、昨年の2着以降、大阪-ハンブルクC(阪神・芝1400m)はコンマ5秒差の6着、GII京王杯スプリングC(東京・芝1400m)は4着、GIIスワンS(京都・芝1400m)では2着と安定しています。今度も期待できますよ」

 太田記者はもう1頭、阪神・芝1400m巧者と言える馬の名前を上げる。

「カラクレナイ(牝4歳)です。この舞台では、GIIフィリーズレビュー制覇を含めて2戦2勝。コース適性は抜群です。

 前走は、GIIIシルクロードS(1月28日/京都・芝1200m)に挑んで4着。初のスプリント戦で後方からの競馬となり、池添謙一騎手は『外を回るロスがあった』と振り返っていました。得意の舞台に戻れば、面白いと思います」

 今年に入ってから、GIII京都金杯(1月6日/京都・芝1600m)でコンマ3秒差の6着、前走がコンマ4秒差の4着と、復調気配にあるカラクレナイ。GINHKマイルC(東京・芝1600m)では1番人気に推されたほどの実力馬だけに、そろそろ一発あっても不思議ではない。

 前出の坂本記者は、展開面を考慮して2頭の関東馬を推す。

「アポロノシンザン(牡6歳)とディバインコード(牡4歳)です。

 レースは、アポロノシンザンとダイアナヘイロー(牝5歳)がハナを争う展開になりそうですが、ダイアナヘイローが2番手にすんなり収まれば、そこまでペースは速くならないとみています。

 しかも、アポロノシンザンは自分の形で行ければしぶといタイプ。夏の新潟では、準オープンの新潟日報賞(8月12日/新潟・芝1400m)で前半3ハロン33秒4というハイペースを逃げ切っていて、リズムよく行ければ一発の魅力を秘めています。

 ディバインコードは、好位で器用に立ち回れる点を買いたいですね。前走のGIII東京新聞杯(2月4日/東京・芝1600m)では、内枠からロスなく運べたことも味方しましたが、直線で一度は先頭に立って見せ場十分。最後は決め手勝負に屈したとはいえ、コンマ3秒差の5着なら上々の内容と言えます。

 1400m戦では、すべて馬券に絡んでいて大崩れはありません。阪神コースもGIIIアーリントンC(阪神・芝1600m)で3着と好走し、相性は悪くありません。陣営も今後に向けて、賞金を加算しておきたいところ。古馬になって力を発揮し始めたワンスインナムーンの半弟なので、4歳になって本格化の時期を迎えるものと思って、期待はますます膨らみます」

 デイリースポーツの大西修平記者も展開面を重視。それを考慮して、2頭の異なる馬をオススメする。

「1頭は、ニシノラッシュ(牡6歳)です。前走の準オープン・石清水S(1月21日/京都・芝1400m)が好内容の逃げ切り勝ち。逃げても、好位でも競馬ができるのが持ち味で、先行力が生きる開幕週の馬場も歓迎でしょう。引き続き、好勝負が期待できそうです。

 もともと3歳時にはオープンのクロッカスS(東京・芝1400m)を勝っているように、再昇級の形で格負けすることもありません。全5勝中、4勝が芝1400m戦。条件的にもベストです。

 阪神コースは2戦2敗ですが、1回は転厩初戦。もう1回は久々と、それぞれ敗因は明確です。今回は休み明け3戦目で、状態はさらに上向いており、仕上がりも申し分なさそうです。適度に上がりのかかる流れになれば、重賞でも勝ち負けが望めます」

 ニシノラッシュは、坂本記者が推すアポロノシンザンと同じサクラバクシンオー産駒。サクラバクシンオーは現役時代、芝1400m戦では4戦4勝の実績を誇る。しかも、今回と同じ舞台で行なわれたGIIスワンSでは日本レコード(当時)を叩き出している。2頭は血統的にも侮れない存在だ。

 大西記者が薦めるもう1頭は、モーニン(牡6歳)だ。

「芝レース初挑戦となった前走の阪神Cで6着と健闘。一線級を相手にしてマークした上がりタイムは、全体の3番目となる33秒7と、その末脚は芝適性の高さを示すのに十分でした。競馬にいって集中力を欠くところがあって、低迷していた時期が続きましたが、陣営が調教やレースで教えてきたことが実を結び、ここに来て最後まで気持ちを切らさない本来の走りが戻りつつあります。

 少し間隔は空きましたが、この中間も丹念に乗り込まれて仕上がりは上々です。デビューから7戦6勝でGIフェブラリーS(東京・ダート1600m)を制したように、底力とスピードは折り紙つき。芝2戦目で慣れが見込める今回は、さらに質の高いパフォーマンスを発揮しそう。復活Vのチャンスですよ」

 これまでの実績を考えれば、先週のフェブラリーSに出走してもおかしくなかったが、あえてこの舞台を選んだモーニン。その点からも妙味はたっぷりだ。 昨年は3連単の配当が200万円を超える大波乱となった。再び大荒れのレースとなるのか、その”主役”となる馬がこの中にきっといる。

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