モデルベースAIでの制御構成(写真:三菱電機の発表資料より)

写真拡大

 三菱電機は14日、試行錯誤を繰り返しながら自動的にモデルを構築して制御方法を学習するAI技術であるモデルベースAIを用いた機器制御技術を開発したと発表した。

【こちらも】三菱電機、AIで体感温度を予測する世界初のエアコン発売

 人工知能(AI)は自動運転、画像処理、音声認識、将棋など様々な分野で活用されている。これらの領域では、既にAIが人間の能力を超えているともいわれる。AIは、疲れを知らず、集中力を欠くこともない。

 例えば、2017年、将棋の電王戦ではAIが佐藤天彦名人に勝利。現役の棋士も、棋譜の研究にAIを活用している。この将棋AIの技術動向は、AI自らが学習する。将棋の駒の動かし方のみを教えると、数万回の試行錯誤での結果から最適な駒の動かし方を学ぶという。

 今回の発表では、モデルベースAIに関する具体的な記載はないが、イメージ的には将棋AIに近いのであろうか。従来は、専門家が機器に適切な動作を設定する制御プログラムを開発していたが、このモデルベースAIを用いれば、プログラムの開発が不要となり、システム開発の時間・コストの削減に貢献するという。

●モデルベースAIの特長

 三菱電機のAI技術Maisart(Mitsubishi Electric's AI creates the State of the ART in Technology)により、試行錯誤を繰り返しながら自動的に制御対象機器モデルをシステム内部に構築。あらかじめ設定した目標達成に必要な制御方法を、強化学習を用いて学習する機器制御技術だ。

 円形迷路に適用し、目標を達成する実証実験に成功。円形の盤を傾けながらボールを中央に誘導して遊ぶ円形迷路に対して、30分の試行錯誤で迷路を解くことに成功したという。

●AI技術(三菱電機、Maisart)のテクノロジー

 機器の制御方法はモデルベースAIによる自動学習だ。専門家による制御プログラムの開発を不要とする革新的な発表である。米国2件、米国外6件の特許を持つ。

 今後は、制御機器を模擬する3次元シミュレータ技術を活用することで学習時間を大幅に削減するなど、自動学習のさらなる高度化・高速化を目指すという。

 多くの制御はモデルベースへと移行しつつあると言われる。今回の発表は、このモデルベースを活用しつつAIの強化学習によって、制御が可能になる。三菱電機が扱う製品への適用事例の発表を期待したい。