静岡、長野、富山、岐阜、愛知、石川、福井、三重、滋賀。この9県の名前を挙げられて、ピンとくるものがあるあなたは、なかなかの旅行通かもしれない。

この9県、実は「昇龍道(ドラゴンルート)」というものを構成している。アジア人などをはじめとした外国人観光客に対し、中部・北陸地方をPRする目的で作られた観光ルートだ。


昇龍道とは...(画像は能登半島から見える海)

能登半島を龍の頭に見立てて命名

命名の由来は、石川県の能登半島を龍の頭に見立て、各地の観光地を結ぶと、龍が登っていく様子を思い起こさせるという理由によるものだという。どうやら、ゲーム「ストリートファイター」に出てくる技の「昇龍拳」とは関係なさそうだ。

昇龍道には、愛知県から石川県能登半島を結ぶ「Dragon Course」、石川県から滋賀県を結ぶ「Nostalgic Course」、長野県から愛知県を結ぶ「Great Nature Course」、静岡県から滋賀県を結ぶ「Ukiyo-e Course」の4つのモデルコースがある。コース内には、伊勢神宮(三重県)や松本城(長野県)、立山黒部アルペンルート(富山県)など、名だたる名所が並び、見ごたえ十分だ。

国土交通省による2018年2月5日の発表によれば、17年11月の昇龍道9県の外国人観光客の延べ宿泊数は、前年同月比で28%増と良好。1月から11月でも前年同月比1.3%増となっており、「昇龍道」が外国人観光客の旅行先に選ばれつつある現状がうかがえる。

動いているのは自治体のみならず、旅行に関係する企業も同様だ。たとえば、名古屋鉄道では、14年から「昇龍道高速バスきっぷ」を販売している。これは一定範囲・期間で高速バスや路線バスが乗り放題になるというお得なチケットだ。

また、ネット上で調べてみると、意外にも「昇龍道」という言葉を用いている人もおり、外国人のみならず、日本人の中でも徐々に認知度が高まりつつある言葉のようだ。