ご飯を炊くだけなんてもったいない! カンタン炊飯器レシピ

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執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ


料理レシピサイトでも、炊飯器クッキングが頻繁に紹介されます。

また、炊飯以外の調理機能をうたう炊飯器も続々登場しています。

炊飯器はご飯を炊くだけでなく、おかずやお菓子、パンなども作れる調理器具に進化してきたようです。

スイッチ一つでOKという手軽さから、誰でも気軽にチャレンジできる炊飯器調理。

今回は、ご家庭によくある炊飯器をベース(※)に、調理の活用法や注意点などについてご紹介します。

※お手持ちの製品により仕様や取扱方法が異なりますので、必ず取扱説明書をご確認ください。

炊飯器の仕組み

はじめに、ご飯が炊けるプロセスを理解しておきましょう。

昔から「はじめチョロチョロ中パッパ、ジュウジュウ吹いたら火を引いて、ひと握りのわら燃やし、赤子泣いてもフタとるな」などと言われます。

これはかまどで米を炊くときの火加減のコツを唄ったものです。

水に浸した米は弱火でじわじわ(チョロチョロ)加熱され、水分を十分に吸収します。

沸騰するとパッパと強火で加熱され、下から上へと米が動きムラなく加熱されます。

また、高温の加熱により米には粘り気が出ます。

蒸気が出て水分が少なくなったら、弱火でじっくりと蒸らします。

蒸らしているときにフタを開けるのは厳禁、ここで粘り気を保つとふっくらしたご飯が炊きあがります。

炊飯器の基本的な仕組みは、こうしたお米が美味しく炊けるプロセスをセンサーでコントロールしているのです。

ただし、加熱出力やプログラミングの精度は製品によって異なります。

加えて最近の炊飯器はご飯の保温機能も兼ね備えています。

ご飯の保温はとても繊細で、温度が高すぎると黄色く変色しやすく、低すぎると固くなって食感が落ちます。

適温として65〜70℃に設定されている製品が多いようです。

炊飯器調理の特徴

さて、炊飯器を炊飯以外の調理で利用する場合、特徴を生かせる点がふたつあります。

加熱パターン

1.ゆっくり温度を上げていき

2.沸騰したら一気に強火でグツグツ煮て

3.温度を下げてジワジワ加熱する

この工程は、実は煮物を上手に作り上げる火加減でもあります。

1.で具材を柔らかくし、2.で全体にムラなく加熱します。
3.で温度が下がると、素材の中に味がよく染み込みます。

という訳で、炊飯器調理は煮込み料理が得意です。

また、米はじっくりと加熱すると甘みが増しますので、イモ類やカボチャなど糖質が多い食材も同様の効果が得られます。

炊飯器でふかすと、ホクホクと甘い仕上がりになりますよ。

保温機能

皆さん「低温調理法」はご存知でしょうか。

通常の加熱料理では、沸騰は100℃以上、焼く・揚げるなどは250℃以上もの高温で調理します。

かたや低温調理法は、55〜70℃程度で加熱します。

たんぱく質は、加熱すると55℃ほどで変化がはじまり、70℃を過ぎると固く縮みはじめるという性質をもちます。

ですから、高温で加熱し続けると、水分が抜けパサパサしたり固くなったりしてしまうのです。

そこで、炊飯器の特徴を生かし、食材を真空パックに入れ55〜70℃の温度帯でじっくり調理します。

そうすると、たんぱく質を多く含む肉や魚はしっとりみずみずしいまま加熱できるのです。

この低温調理法は、加工食品や外食産業でも多く取り入れられている調理法です。

炊飯器の保温はまさに低温調理法の温度帯にピッタリ合って、自宅でも簡単に活用できます。

炊飯器調理の注意点

さっそくチャレンジしたい炊飯器調理ですが、その前に次のような点に留意しましょう。

取扱説明書を確認する

基本的には炊飯以外の設定がなくても、炊飯以外の調理は可能です。
しかし、容量や機能によっては不向きであったり、炊飯以外の調理は制限されていたりする場合もあります。
必ず調理の前には、お手持ちの取扱説明書を確認してください。

予約調理をしない、調理後保温したまま放置しない

いろいろな食材を入れ長時間放置すると腐敗が進みやすくなる、また、内釜を傷める原因になる、といった観点から留意が必要です。

調理後は別容器に移してください。

炊飯中にフタを開けない

途中でフタを開けて調味料を加える、灰汁をとるなどの作業は絶対にしないでください。
加熱中にフタを開けると、蒸気の噴出、食材の飛び出しなどで火傷をする恐れがあり、大変危険です。
調味などは炊飯終了後にしてください。

炊飯器調理レシピ

最後に、炊飯器調理がはじめての方もチャレンジしやすいレシピを二つご紹介します。

炊飯器ポトフ(2人分)

<材料>
じゃがいも1個、人参1本、玉ねぎ1個、キャベツ1/4個、ウィンナー4本、水400ml、コンソメ1個、塩コショウ

<作り方>
全ての食材を大きめのざく切りにする。
炊飯器に全て入れてスイッチオン。
炊飯が終わったら塩コショウで味をととのえる。

簡単鶏ハム(作りやすい分量)

<材料>鶏むね肉1枚、塩

<作り方>
皮を取った鶏むね肉の厚みがある部分に包丁を入れて厚さを均一にする。
全体に塩を振る。
鶏肉を巻いてラップでピッチリ巻いて冷蔵庫で一晩寝かせる。

耐熱の保存用バッグに入れたらジッパーをしっかりと閉じ(空気は抜く)、炊飯器に鶏肉と鶏肉がかぶるくらいの熱湯を入れて2時間ほど保温する。


どちらも簡単に味わい深くできあがります。

応用していくとさらにレパートリーが増えますよ。

ぜひ色々研究して、楽しみながら試してみてくださいね♪


<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供