想い 想われ…とも言っていられない「ニキビ」について

写真拡大


執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ


おでこは「想いニキビ」でアナタは片想い中。

あごは「想われニキビ」で誰かがアナタに想いを寄せている。

鼻頭は「両思い」、左ほほは「ふられニキビ」など…

どこかで聞いたような、こんな恋占い。

しかし、そうも言ってはいられません。ニキビは治療や予防が必要な皮膚疾患です。

もしそんなニキビが出てきたら、日ごろのスキンケアを見直しましょう。

ニキビの特徴

ニキビは、角質肥厚(=角質が厚くなる)や皮脂の過剰分泌などで毛穴がふさがり、皮脂が詰まって炎症を起こしている状態です。

ニキビを放っておくと、毛穴周囲の組織にダメージを与えます。

メラニン色素が過剰に生成されて色素が沈着し、痕が残ることも少なくありませんので、適切なケアと治療が必要な皮膚疾患です。

ニキビの重症度

ニキビは、見た目の色で症状の度合いを判断できます。軽度から順に次のとおりです。

白ニキビ:ふさがった毛穴の内部に皮脂が溜まりつつある

黒ニキビ:毛穴の内部にたまった皮脂が肌表面に押し出され、酸素で黒く酸化している

赤ニキビ:ニキビが炎症を起こし、毛穴の内部でアクネ菌が増殖している

黄ニキビ:炎症が悪化して膿んでいる

さらに進行すると、毛穴の中に膿と血が溜まって腫れあがる重症状態になります。

炎症を起こすと悪化しやすく、治癒に時間を要します。

また、痕が残る可能性も高くなりますから、炎症を起こす前の段階「黒ニキビ」までに、丁寧なケアをすることが肝心です。

大人ニキビ:ニキビは思春期だけじゃない!

思春期は皮脂の分泌量が多くニキビができやすい…そこから「青春の象徴」といわれるのかもしれません。

しかし、実際は思春期を過ぎた大人にもニキビはできます。

これを「大人ニキビ」と呼ぶこともあります。

思春期のニキビの特徴は、おでこやTゾーンなど、脂性の多いオイリーな部分に出やすいことです。

おもな原因は、ホルモンの働きが高まって皮脂が過剰に分泌され、毛穴の詰まりや汚れからアクネ菌が繁殖しているためといわれています。

一方、大人ニキビの特徴は、頬から口の周りアゴにかけての、いわゆるUゾーンの乾燥部分にもできることです。

こちらの原因は一概に言えるものではなく、いくつかの要因が重なっていることが多いため、対策が難しい肌トラブルです。

大人ニキビの原因と対策

大人ニキビができる要因には、偏った食生活、睡眠不足、ストレス、乾燥、便秘、新陳代謝の低下など、生活習慣の乱れやその結果としての身体の不調が影響しています。

他にも、女性のホルモンバランスの乱れは、他の要因と相まって原因になると指摘されています。

こまめな洗顔や清潔の励行で対処できる思春期のニキビとは違い、大人ニキビは生活習慣全体を見直して改善する必要があります。

さらに、肌のターンオーバーを本来のリズムに整えることも対策のポイントとなります。

また、肌が健康な状態ではターンオーバーによってメラニンは排出されますが、ニキビが長引くと炎症がメラノサイト(=メラニンを産生する細胞)を活性化してしまいます。

その結果、メラニン色素が沈着して肌の新陳代謝が悪くなり、痕が残ったりシミになったりすることがあります。

ニキビの予防

このように、ニキビをありふれた肌トラブルだと思ってケアを怠ると、痕やシミの原因になりかねません。

思春期のニキビも大人ニキビも、しっかりと予防に努めていただきたいものです。

とくに大人ニキビは、不規則な睡眠や偏った食生活の改善、ストレス解消とリラックス、適度な運動…など、対策の第一歩は生活習慣の見直しです。

そして、日々のお手入れには、過剰な皮脂や汚れを落とす洗顔と洗顔後の保湿を心がけ、丁寧なスキンケアをしましょう。

継続していくと、肌の柔らかさが保たれ、ターンオーバーも整って毛穴が詰まりにくくなるでしょう。


「想い、想われ、振り、振られ…」

思春期がもっとも興味を持つ恋愛と、思春期にできやすいニキビ。

このふたつを絡ませた占いができたのは、いち早くニキビに気づかせて早めに対処させよう…という先人の知恵なのかもしれません。

今回の記事を執筆していて、筆者はそのように感じましたが、皆さんはどう思われますか?


<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供