2018年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牡馬編:第2弾)

 昨年末に東西で行なわれた2歳牡馬GI戦は、朝日杯フューチュリティS(12月17日/阪神・芝1600m)がダノンプレミアム(牡3歳/父ディープインパクト)、ホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)がタイムフライヤー(牡3歳/父ハーツクライ)と、ともに重賞で活躍してきた馬が勝利した。


朝日杯FSを制して2歳王者に輝いたダノンプレミアム

 その後、明け3歳の牡馬戦線として注目される重賞は、ここまで3つ行なわれてきた。GIIIシンザン記念(1月8日/京都・芝1600m)、GIII京成杯(1月14日/中山・芝2000m)、そして先日のGIIIきさらぎ賞(2月4日/京都・芝1800m)である。

 さらにこの週末には、東の「クラシックの登竜門」と言われるGIII共同通信杯(2月11日/東京・芝1800m)が控えているが、徐々にクラシックの有力候補が出そろいつつある3歳牡馬の、現時点での『Sportivaオリジナル番付(※)』をここで発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牡馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。


 上位2頭は前回のランキングと同じ顔ぶれとなった。今回、両者のポイント差は一気に縮まったものの、GIII東京スポーツ杯2歳S(11月18日/東京・芝1800m)で圧巻の強さを見せたワグネリアン(牡3歳/父ディープインパクト)が首位の座を何とかキープした。この春は、GII弥生賞(3月4日/中山・芝2000m)から始動する予定だ。

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「正直なところ、オープン特別の野路菊S(9月16日/阪神・芝1800m)と東スポ杯2歳Sで負かした相手のその後の成績が微妙で、ワグネリアンに対する評価もやや難しくなってきた感があります。とはいえ、この馬自身の勝ちっぷり、そして鞍上の同馬に対する期待度から、クラシックを狙える位置にいることは間違いないと思っています」

土屋真光氏(フリーライター)
「ヘンリーバローズ(牡3歳/父ディープインパクト)を相手に勝った新馬戦が最もタフなレースでした。以降は相手が楽になったかのように、余裕たっぷりの勝ち方を続けています。2歳時の消耗を避けて、しっかりと充電して春に臨むという臨戦過程もいいですね。

 ダノンプレミアムがGIIIサウジアラビアロイヤルC(10月7日/東京・芝1600m)で記録した1分33秒0という勝ち時計にも驚かされましたが、東スポ杯2歳Sでワグネリアンがマークした1分46秒6というタイムも、イスラボニータ、コディーノに次ぐ好時計。秋の降雨の影響で、良馬場といってもボコボコの馬場だったことを考えれば、なおさら価値のある数字と言えます」

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「無傷の3連勝。レースごとに格が上がっている中で、2着馬との着差が広がっているのは立派です。この馬自身、相当進化しているのかもしれません。距離を詰めることになる朝日杯FSを回避して、2歳馬にとってはかなりの負担となる関東への連続長距離輸送も嫌ってホープフルSも見送り。その決断には好感が持てます。この辺りは、ダービーの勝ち方を知っているオーナーと調教師だからこその強みでしょう」

 2位は「2歳王者」となったダノンプレミアム。ワグネリアンを逆転するまでには至らなかったが、8ポイント差あった前回から1ポイント差までその差を詰めた。

吉田氏
「朝日杯FSは2カ月ぶりの実戦で8kg増でしたが、すべてが成長分で、段階を踏んで強くなっている印象です。朝日杯FSのパドックでは、入場して1周目の完歩は小さかったのですが、雰囲気に慣れて体が動くようになると、ストライドを伸ばして堂々たる振る舞いで周回。落ち着き払ったその姿によって、格の違いを見せつけていたように思います。

 レースでは、手応え十分に4角を回って進路を確保すると、ひとつずつギアを上げながら後続を突き離して、最後は余力を残してゴールイン。ゴール直前、鞍上の川田将雅騎手がねぎらいのボディータッチを見せましたが、あれはかなりのレアケースですよ。それだけ、この馬の対する期待が大きいということです。

 マイル戦線でも天下を獲れそうですが、朝日杯FSで見せた前半の力みさえ解消すれば、クラシックへの見通しも明るくなります。皐月賞、ダービーと、断然の主役を張れるポテンシャルを存分に秘めています」

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「この馬の強さについては、誰も異存はないでしょう。TF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)では、2位以下を4ポイントも引き離す圧倒的なレベル。2位から21位までが5ポイントの間にひしめき合っていることを考えれば、2位以下との4ポイント差は恐るべき状況と言えます。

 最内枠だけが不安材料だった朝日杯FSも、馬群の中にいても特に気にするふうでもなく、4角で抜け出すときの速さはケタ違いでした。最後も抑えて勝っているだけに、現状この馬の能力は数枚抜けていると断言していいでしょう。

 おそらく、これを止められるのはワグネリアンぐらい。次走は、ともに弥生賞に出走予定。そこでダノンプレミアムがあっさり勝つようだと、クラシック戦線の興味は2着争いになるのではないでしょうか」

 3位は前回ランク外だったタイムフライヤーが急浮上。ホープフルSを快勝したことで、グンッと評価が上がった。

土屋氏
「GIII京都2歳S(11月25日/京都・芝2000m)では2着に敗れましたが、あれはやや水の浮いた特殊な馬場の影響と、勝ち馬に完全にマークされて狙い撃ちされたことによるもの。そう考えれば、ホープフルSでの巻き返しはある意味で当然の結果と言えるでしょう。

 大外を進出して直線で豪快に伸びてきた競馬から、こちらが思っていた以上の”引き出し”の持ち主であることも痛感させられました。器用なタイプではなく、皐月賞で同じ競馬ができるとは考えにくいのですが、クラシック戦線では常に上位を賑わす存在になると思います」

市丸氏
「ホープフルS自体のレベルはそれほど高くはなかったのですが、タイムフライヤーが京都2歳Sの敗戦からきっちり巻き返して、2着以下をちぎったことで、指数を伸ばしてきました。そうなると、レースの指数は高くないとはいえ、京都2歳Sでタイムフライヤーを破ったグレイル(牡3歳/父ハーツクライ)の評価も考え直さなければいけないかもしれませんね」

 前回3位のオブセッション(牡3歳/父ディープインパクト)が、順位をひとつ下げて4位。それでも、10ポイントをキープして依然と高い評価を保っている。重賞にはまだ顔を出していないが、東の”大器”候補だ。

吉田氏
「展開と路盤硬化が大きかったとはいえ、2戦目の500万特別・シクラメン賞(12月2日/阪神・芝1800m)をレコード勝ち。そこでマークした1分45秒6という時計は破格です。ワンペースで長くいい脚を使えるタイプですね。逆に、緩急のある流れの中で折り合いに専念し、最後にギアを一気に上げなければいけないレースなどは得意とは言えない印象です。

 そういう意味では、次戦に予定している弥生賞は、お互いの出方を探る”トライアルらしい”レースになりそうで、この馬向きの流れにならない可能性が高いです。それでも、ある程度流れる競馬になれば、世代トップクラスの一角として、十分に戦える素材と見ています」

 5位は、3位タイムフライヤーを京都2歳Sで破ったグレイル。今週末の共同通信杯に出走予定だ。

木南氏
「グレイルは他馬とは異なり、京都2歳Sで下したタイムフライヤーやケイティクレバー(牡3歳/父ハービンジャー)がその後に好走することで、走らずに評価が上昇中。近親にGI馬のブラックホークやピンクカメオがいて、大物の可能性を秘めていますが、まだ2戦しか消化しておらず、その見極めが難しいところです。

 その分、今週末に出走予定の共同通信杯が注目されます。はたして、東京で切れる脚を使えるのか、多頭数の競馬になったときにどうなのか。多くの課題を抱えていますが、これをクリアすれば、今度は自らの結果によって自身の評価を上げることになるでしょう」

 最後に僅差でランク外(6位)となった京成杯の勝ち馬ジェネラーレウーノ(牡3歳/父スクリーンヒーロー)についても少し触れておこう。

市丸氏
「この馬は、何より先行力が魅力。府中の末脚比べでは瞬発力のある馬たちに劣るでしょうが、中山・芝2000mなら大仕事をやってのけても不思議ではありません」 はや2カ月後には開幕するクラシック。このまま「2強」の様相で本番を迎えるのか、それとも新たな主役候補が現れるのか、これから本格化するトライアル戦からますます目が離せない。

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