今週末11日に、東京で3歳馬の重賞・GIII共同通信杯(芝1800m)が行なわれる。2012年1着ゴールドシップ、2014年1着イスラボニータ、2015年2着ドゥラメンテ、2016年1着ディーマジェスティと、出走馬から過去6年で4頭の皐月賞馬が出ており、春のクラシック戦線に直結する重要なレースだ。


タイムフライヤーを差し切って、京都2歳Sを制したグレイル

 今年のメンバーの中でまず中心視されるのがグレイル(牡3歳/野中賢二厩舎)だろう。菊花賞デーの昨年10月22日、雨の中の不良馬場芝2000m戦を2分12秒9というタイムで優勝。続く京都2歳S(11月25日/京都・芝2000m)では上がり3F(ハロン)34秒0の瞬発力を発揮し、2分01秒6のタイムで勝利した。新馬戦の不良馬場、京都2歳Sの良馬場と、11秒以上も勝ちタイムが異なる両極端なレース条件を難なくこなした対応力とその能力は、クラシックの中心的存在に相応しいと言えるだろう。

 京都2歳Sで2着に破れた相手は、後にGIホープフルSを勝利するタイムフライヤー。当時、前走でOP萩Sを勝ち、キャリア3戦を数えていた同馬は京都2歳Sでも勝ちパターンに持ち込んでいたが、キャリア1戦のグレイルはそれを上回る瞬発力で差し切ったのだ。同レースは3着馬のケイティクレバーがOP若駒Sを3馬身差で圧勝、4着馬のアイトーンが福寿草特別を勝利と、強い相手が揃っており、その比較でもここでは中心になりそうだ。

 血統を見てみよう。父ハーツクライは昨年の勝ち馬、スワーヴリチャード(後にGI日本ダービー2着)と同じ。兄にロジチャリス(GIIIダービー卿CT、父ダイワメジャー)、姉にグッドスカイ(JGIII新潟ジャンプS、父ステイゴールド)と2頭の重賞勝ち馬がいる血統だ。

 母の父ロックオブジブラルタルはGI英2000ギニーなど芝マイルを中心に欧州GIを7勝した名馬で、その父は欧州の大種牡馬デインヒル。実は母系にデインヒルを持つ血統パターンは今年の3歳世代のトレンドで、2歳チャンピオンのダノンプレミアム(父ディープインパクト)の他、カシアス(GIII函館2歳S、父キンシャサノキセキ)、ジェネラーレウーノ(GIII京成杯、父スクリーンヒーロー)、プリモシーン(GIIIフェアリーS、父ディープインパクト)、レッドサクヤ(OPエルフィンS、父ディープインパクト)、さらに英GIレーシングポストトロフィーを勝ったアイルランドのサクソンウォリアーと、多くの活躍馬が出ている。サラブレッドの世界では「同じ父の産駒」であったり、「同じ牝系の馬」、「同じ血統傾向の馬」など、”血の連鎖”が起こることが多々あり、これらの馬がクラシック戦線を賑わす可能性は十分だ。

 現3歳馬のトップは無傷の3連勝でGI朝日杯フューチュリティSを制したダノンプレミアムと見られているが、今回のレース次第では、グレイルがそれに次ぐ存在になってくるだろう。

 ステイフーリッシュ(牡3歳/矢作芳人厩舎)はGIホープフルS3着馬。12月10日の新馬戦(中京・芝2000m)を勝って1戦1勝のキャリアながら、勝ったタイムフライヤーから0秒2差の3着に食い込んだ。今回と同じ左回りを経験し、勝利しているのはアドバンテージになるはずだ。

 父ステイゴールドは三冠馬オルフェーヴルなどを出した名種牡馬で、このレースでも2012年のゴールドシップが勝利し、その後、GI皐月賞、GI菊花賞などGI6勝を挙げる名馬に成長している。母カウアイレーンはGIIIクイーンSで3着、伯父にブラックホーク(GI安田記念、GIスプリンターズS)、伯母にピンクカメオ(GINHKマイルC)がいる良血。さらに前述のグレイルも同牝系で、いとこプラチナチャリスがグレイルの母という関係だ。ステイフーリッシュも牝系からの”血の連鎖”が期待できそうだ。

 もう1頭、血統的に軽視できないのがブレステイキング(牡3歳/堀宣行厩舎)だ。ディープインパクト産駒で、母シユーマは英GIサンチャリオット(芝8F)、カナダGI E.P.テイラーS(芝10F)を勝った活躍馬。祖母の父はデインヒルで、前述した現3歳世代屈指のトレンドパターンである。

 さらに、母の父メディチアンからヘイロー3×5のクロスが発生しているが、ディープインパクト産駒のこのクロスはヴィブロス(GIドバイターフ)、マカヒキ(GI日本ダービー)、サトノダイヤモンド(GI菊花賞)、シンハライト(GIオークス)など、最近のGI馬が続々と登場している成功パターンでもある。前走の未勝利戦(12月28日/中山・芝1800m)を勝ち上がったばかりだが、マークしておきたい。◆藤田菜七子ジョッキーが妙に好調なので、理由を聞きにいってみた

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