2018年クラシック候補たち
第1回:マウレア

 今から5年前、2013年のGI桜花賞(阪神・芝1600m)で頂点に立ったのは、7番人気の伏兵アユサン(牝/父ディープインパクト)だった。ごちゃつく中団から抜け出し、2番人気のレッドオーヴァルとの叩き合いを制してクラシックの勲章を手にした。

 そして今年、その妹が同じく桜のタイトルを目指している。

 美浦トレセン(茨城県)の手塚貴久厩舎に所属するマウレア(牝3歳/父ディープインパクト)である。


阪神JF3着後、クイーンCから始動する予定のマウレア

 昨年10月にデビューした同馬は、2歳新馬(10月14日/東京・芝1600m)を快勝すると、2戦目となった500万下特別の赤松賞(11月19日/東京・芝1600m)でも接戦をものにして連勝を飾った。

 2戦とも馬群を割ってくる力強いレースぶりで、ポテンシャルの高さを存分に見せつけた。初戦は2着馬にコンマ2秒差、2戦目はクビ差と、ともに僅差の勝利ながら、ジョッキーが懸命に追うシーンはほとんど見られず、着差以上に余裕を感じさせる内容だった。

 3戦目に選んだのは、2歳の「女王決定戦」となるGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月10日/阪神・芝1600m)。4番人気の支持を集めた彼女は、道中は中団のインを追走し、直線に入ると鋭い末脚を繰り出した。

 直線では、2番人気ラッキーライラック、3番人気リリーノーブルとともに3頭が抜け出す形となったが、上位2頭には及ばずに3着。それでも、この世代でトップクラスの力があることは証明した。

 マウレアを管理する手塚厩舎は、かつて姉の桜花賞馬アユサンも管理していた。そのスタッフたちは、マウレアについてどんな印象を持っているのだろうか。関東競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「アユサンのあと、牝馬、牡馬、牡馬と3頭の妹や弟がデビューしましたが、いずれも際立った成績を残すことはできませんでした。そのため、マウレアに対しても陣営は当初半信半疑だったようです。

 調教をこなしても、ウッドチップコース(木片や木屑を敷き詰めた調教用のコース)では『速い時計が出なかった』とのこと。ただ、乗り味やフットワークはよくて、『芝コースの実戦で変わり身を見せてくれれば……』と思っていたそうですよ」

 最初は陣営の期待も決して高くなかったというマウレア。しかし、スタッフたちの微(かす)かな願いに見事応えて、レースでは調教以上の走りを見せて結果を出した。先述のトラックマンが語る。

「実際に芝のレースで変わってくれて、とりわけ初戦、2戦目と馬群から抜け出す勝負根性を見せてくれたことを、スタッフは高く評価していました」

 さらに阪神JFで、陣営は改めて同馬の能力の高さを再確認したという。トラックマンが続ける。

「阪神JFでは、直線入り口の進路取りで手間取る部分がありました。それもあって、陣営からは『スムーズなら、2着はあったのでは』という声が聞かれましたね」

 こうなると今春の大一番に向けて、希望が膨らむマウレア。姉のアユサンと比較しても、プラス面があるようだ。それについて、トラックマンが明かす。

「アユサンは体質が弱く、3歳春になっても使いたいレースを使えないケースがありました。対してマウレアは、『弱い部分がなく、調教をビシビシやってもへこたれない』とのこと。姉のときの苦労がある分、現時点で不安材料がないことは、相当大きいみたいですよ」

 前走後、休養に入ったマウレアは、来週のGIIIクイーンC(2月12日/東京・芝1600m)で復帰予定。そこをステップにして、姉に続く桜花賞制覇を狙う。 姉妹による”桜”の戴冠はあるのか。姉と違って、おそらく人気の一角として大舞台に臨むマウレアの走りに注目である。

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