ヨーロッパの移籍市場が1月末で閉まるのを前に、日本人選手にも動きがあった。ベルギーのワースランド・ベベレン(WB)所属の森岡亮太が、同国屈指の名門にして強豪のアンデルレヒトへ引き抜かれたのだ。
 
 アンデルレヒトの歴史には、ベルギー代表に力強い足跡を残した選手が数多く在籍している。82年のスペインW杯で当時の世界王者アルゼンチンを下すゴールを決めたエルウィン・ヴァンデンベルグ、86年から4大会連続でW杯に出場した芸術的MFのエンツォ・シーフォらが、OBに名を連ねているのだ。昨年11月の日本戦で決勝点をあげたロメル・ルカクが、プロデビューを飾ったクラブでもある。ベルギー国内では、最高のステップアップと言っていい。
 
 今シーズンのベルギーリーグでは、こちらも名門のクラブ・ブルージュが首位を快走している。2位はシャルルロワで、アンデルレヒトは24節終了時点で3位だ。チャンピオンズリーグ出場権の2位以内を確保するためにも巻き返しが必要で、ここまでリーグ戦で7得点10アシストの日本人MFが、浮上へのキーマンに指名されたわけだ。
 
 ポーランドでの2シーズンが助走になっているとはいえ、WBへ移籍したのは今夏だ。わずか半年でのキャリアアップは特筆すべきで、このまま好調をキープしていけばヴァイッド・ハリルホジッチ日本代表監督が再び興味を示すのは間違いない。
 
 半年での移籍と言えば、長友佑都が思い出される。
 南アフリカW杯後の10−11シーズンにチェゼーナへ加入したこの左サイドバックは、11年1月31日にインテルへレンタル移籍した。ミラノの名門で目覚ましい活躍を示し、11−12シーズンからの完全移籍を勝ち取った。

 インテルで8シーズン目を過ごしている長友が、今冬の移籍市場でユニフォームを変える決断を下した。トルコの名門ガラタサライへの期限付き移籍が発表されたのだ。

 1月28日の22節終了時点で、長友はセリエAに11試合出場していた。彼自身が納得できる状況とは言えず、かねてより移籍の噂があがっていた。

 ウルグアイ代表の正GKフェルナンド・ムスレラ、セネガル代表MFパパ・アリウヌ・エンディアイェらが在籍するガラタサライも、トルコを代表する名門クラブだ。新天地としては申し分なく、国内リーグの競争力も決して低くない。

 来るロシアW杯を念頭に置くと、いまの長友に必要なのはより多くの出場機会だ。その意味では、ベストと言っていい選択だったのではないか。ルーマニア代表経験のあるラスミン・ラトブレビチ、左右のサイドバックをこなせるノルウェー代表クラスのマルティン・リネスとの競争に挑むことは、刺激的で野心に満ちたチャレンジとなるはずだ。