2018年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牝馬編:第2弾)

 オルフェーヴル産駒の重賞馬2頭が有力視された昨年末のGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月10日/阪神・芝1600m)は、その1頭である2番人気のラッキーライラックが優勝。3戦無敗で2歳女王の座に就いた。

 1番人気に推されたもう1頭、ロックディスタウンは好位からレースを進めるも、直線で伸びを欠いて9着と完敗。注目の対決は、明暗が大きく分かれる結果となった。


阪神JFで鮮やかな勝利を飾ったラッキーライラック(左)

 さらに、年明けも3歳牝馬戦線の勢力図は目まぐるしい変化を見せている。パソコン競馬ライターの市丸博司氏が語る。

「牝馬のクラシック路線は、阪神JFで一気に勢力図が変わって、年明けのフェアリーS(1月7日/中山・芝1600m)でプリモシーン(父ディープインパクト)が勝ったところで、おおよその大勢は確定したかのように見えました。ところが翌日、1月8日のシンザン記念(京都・芝1600m)で、なんと牝馬がワンツーフィニッシュ。牝馬戦線はここに来てもなお、大きな変革の波が押し寄せてきていて、まだまだ予断を許さない状況にあります」

 そうした状況の中、来週にはクラシックへの関連性が強いクイーンC(2月12日/東京・芝1600m)が開催される。そこでもまた、新たな有力馬の台頭があるのか、非常に気になるところだ。

 ともあれ、クラシック初戦の桜花賞(4月8日/阪神・芝1600m)に向けて、ここまでの結果を反映した現時点での3歳牝馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。阪神JFを含めた昨秋以降の結果を受けて、前回のランキングからは大きく変動している。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牝馬の、現時点における実力・能力を分析しランキング付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。


 1位は、2歳女王となったラッキーライラック。満票には届かなかったものの、2位に9ポイント差をつけて、完全に頭ひとつ抜け出した格好だ。この春は、チューリップ賞(3月3日/阪神・芝1600m)から始動する予定だという。

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「その能力の高さから、前回も1位としました。ここまで3戦無敗。それぞれの着差はそれほど大きくないですが、いずれも『完勝』と言える内容でした。阪神JFの勝ち時計は、1分34秒3。過去の成績と比較しても遜色ないもので、このまま順調にいけば、自然と結果もついてくるでしょう」

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「阪神JFでは、1番人気のロックディスタウンは発汗もあってか、実力を出せずに終わりました。一方、2番人気のラッキーライラックはその実力をいかんなく発揮。TF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)を大きく伸ばしました。

 ラッキーライラックは、何より瞬発力が他の馬とはケタ違いです。オルフェーヴル産駒は勝ち上がり率が悪いのですが、この馬のような”大物”を、突然出すタイプなのかもしれません」

本誌競馬班
「”出世レース”のアルテミスS(10月28日/東京・芝1600m)を制覇後、阪神JFも快勝。2歳女王にふさわしく、牝馬クラシックでも頂点に立つ最有力候補と言えます」

 2位は2頭。15ポイントの同点で、阪神JF2着のリリーノーブル(父ルーラーシップ)と、シンザン記念を制したアーモンドアイ(父ロードカナロア)が入った。リリーノーブルは前回5位から、アーモンドアイは同8位からのランクアップとなった。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「リリーノーブルは、走るとややトモを回すため、本質的には段階を踏んでギアが上がるタイプ。しかし、体が柔らかいことが利点となってなのか、2戦目の白菊賞(11月26日/京都・芝1600m)では、鋭い反応であっさりと逃げ馬をかわして抜け出す芸当を見せました。持ち味と違うことができるのが、この馬のポテンシャルの高さを示していると思います。

 阪神JFでは、道中でクビを内に向けて外にモタれ気味でした。4角手前からも逆手前になって、コーナーをタイトに回れなかったのですが、2着を確保したのは素質が高い証拠です。後肢の甘さを丹念に鍛えることができれば、2歳女王にリベンジすることは可能だと思います。

 アーモンドアイは、新馬戦2着から2カ月→3カ月のローテーションで、未勝利戦→シンザン記念を連勝。そのゆとりある過程は申し分ありません。

 ロードカナロア産駒はパドックから闘争心を表に出すタイプが多いのですが、同馬は牡馬相手のシンザン記念のパドックでも、堂々とした立ち居振る舞いを見せていました。ロードカナロア産駒らしからぬ気配を漂わせ、関西への長距離輸送も馬体重2kg減にとどめてメドが立ったことは、春の大一番に向けても頼もしい限りです。

 母フサイチパンドラの意外性や爆発力、そして底力を受け継ぎ、父ロードカナロアからスピード&キレ、さらに従順さを譲り受けた好素材。桜花賞では、2度目の長距離輸送、多頭数の競馬、発馬などの課題はありますが、それらを踏まえても、期待値のほうが上回ります。それだけの魅力が、この馬にはあるということです」

土屋真光氏(フリーライター)
「リリーノーブルの走りは、ルーラーシップ産駒のそれというより、祖母のバプティスタ、その母のビーバップの現役時代の走りを彷彿とさせます。彼女たちがマイル戦で器用に立ち回る走りのイメージを、そのまま受け継いでいる印象です。この世代の主力として、それなりに活躍できると思います。

 ただ、重賞では何かしら物足りなさを感じてしまうのが、この血統の特徴。その分を、ルーラーシップの成長力で補えることができれば、大きいところを狙えるかもしれません」

市丸氏
「アーモンドアイは、ロードカナロア産駒で距離に限界があるかもしれませんが、母がエリザベス女王杯(京都・芝2200m)の勝ち馬というのは心強い限りです。シンザン記念ではあおり気味のスタートでしたが、強烈な末脚で差し切り勝ち。TF指数も3位に食い込んできました。この先が楽しみです」

 4位は、阪神JFで3着だったマウレア(父ディープインパクト)。全姉が2013年の桜花賞を制したアユサンという良血だけに、こちらもクラシックを賑わす存在になりそうだ。

吉田氏
「コンパクトなシルエットのディープ産駒。基本的にはマイラーの馬体&走法ですが、折り合い不問で、同世代の戦いであれば、オークスの2400m戦にも対応できそう。

 阪神JFでは前の馬にフラフラされて、100%の力で追えなかったことが響きました。それでも、勝ち馬からコンマ2秒差というのは、能力の高さの証明でしょう。ディープ産駒らしい確かな決め脚を見せて、持ち時計も大幅に短縮。クラシック戦線でも五分に戦える力は示したと思います」

土屋氏
「全姉アユサンの他、活躍馬を多数出している父ディープインパクト×母父ストームキャットという黄金配合。キズナやリアルスティールなど、デビュー2連勝した馬はクラシックでもきっちり活躍しているだけに、その例にハマる同馬への期待も膨らみます。

 ここ2戦のレースぶりはスムーズさを欠く面も見られましたが、2走前の赤松賞(11月19日/東京・芝1600m)では決め手比べをものにしましたし、前走の阪神JFでもしっかりと時計を詰めてきました。次戦は確実に賞金を上積みしたいクイーンC。ここでの内容次第では、ラッキーライラックを脅かす存在になり得ると思います」

 5位は、前回1位だったロックディスタウン。阪神JFでの惨敗がランクダウンにつながった。それでも、その能力を買う識者は少なくない。

土屋氏
「この馬の場合、札幌2歳S(9月2日/札幌・芝1800m)優勝も評価できますが、それ以上に価値があるのが、新馬戦での勝利です。のちにGIホープフルS(中山・芝2000m)を制したタイムフライヤー(牡3歳)を一蹴。しかも、スローペースだったとはいえ、32秒5という驚異的な上がりタイムをマークしました。

 そんな馬が、阪神JFではレースの上がりが34秒4という中、自身は35秒3と失速しているのですから、何かしら問題を抱えていたことは確か。実力負けとは思えませんから、今後の巻き返しが十分に期待できます」

木南氏
「この馬が勝った新馬戦の2着がタイムフライヤー、3着がシャルドネゴールド(牡3歳。4戦2勝、2着1回、3着1回)。昨夏の新馬戦の中で、最もレベルが高かったことは間違いありません。札幌2歳Sから直行となった阪神JFは惨敗でしたが、能力は確かなはずです」

 なお、今回ランク入りは逃したものの、6位のプリモシーンは各識者から万遍なく評価を集めた。今後の動向次第では、上位にランクインしてくる可能性も大いにあるだろう。 その他、クラシック本番に向けて、これからベールを脱ぐ”大物”の登場もあるかもしれない。いよいよ本格化する前哨戦の行方も注意深く見守っていきたい。

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