1月27日に閉幕したAFC U−23選手権で、ウズベキスタンが初優勝を成し遂げた。ノックアウトステージの準々決勝で前回優勝の日本を4対0で粉砕し、準決勝では同準優勝の韓国を延長の末に4対1で撃破した。ベトナムとの決勝戦も延長にもつれたが、終了間際のゴールで2対1の勝利をつかんだ。

 森保一監督率いる日本は、21歳以下の選手でチームを編成した。参加16か国では日本だけの対応である。手倉森誠監督のもとで挑んだ過去2度の大会と同じように、来る五輪を睨んだものだ。

 ひとまず現時点では、結果を求めるのではなく経験を積むことを重視したわけである。優勝したウズベキスタンが、2020年の東京五輪には出場できない選手を11人も登録していたのとは対照的だった。

 選手の顔ぶれも、日本はベストではない。昨年のU−20W杯で主力を担った堂安律、中山雄太、杉岡大暉、冨安健洋らがメンバーから外れている。U−20W杯ではスーパーサブ的立場だった久保建英も、中国での戦いには参加していない。
 
 それだけに、ベスト8敗退という結果も重く受け止めることはないという空気が、日本サッカー界には流れている。森保監督のチームは立ち上げられたばかりで、本格的な強化はこれかからだ、という認識が広がっている。
 
 他でもない僕自身も、「ベストメンバーで臨めば結果は違ったのでは」との思いを抱いた。ヨーロッパでプレーする堂安や冨安を招集する必要はなかったし、昨シーズンはクラブと代表で数多くの試合を消化した中山らに休養を与える措置も、間違ってはいなかったと考えた。
 
 ただ、東京五輪後はどうだろう。
 
 今大会ではベトナムが初のファイナリストとなり、マレーシアが初の決勝大会進出と8強入りを果たした。2022年にW杯開催を控えるカタールは、前回に続いてベスト4に食い込んでいる。
 
 すでにロシアW杯最終予選でも、アジアの勢力図の変化が浮き彫りになっていた。その理由は主に、追いかけられる側の環境の変化にある。
 
 日本、イラン、韓国、オーストラリアらは、主力選手がヨーロッパのクラブでプレーしている。ホームゲームに出場する際には長距離移動と時差に直面するため、最大限のパフォーマンスを発揮できないことがある。それによって、対戦相手に付け入るスキを与えてしまうところがあるのだろう。
 
 代表チームが力をつけてくれば、主力選手は海を渡る。タイやベトナムがヨーロッパのクラブへの選手供給源となれば、彼らもまた日本や韓国のようにホームアドバンテージを削り取られていく。ヨーロッパへ飛び出す選手が現われなければ、国際的な経験値でW杯の常連国に追いつくことはできない。日本や韓国を相手に接戦に持ち込むことはできても、勝ち切るのはむずかしいだろう。

 そう考えると、日本や韓国の立場がすぐに脅かされるとは考えにくい。

 だが、5年後、10年後はどうだろう。

 5年後の2023年には、アジアカップが行われる。今回のU−23選手権に出場した23歳の選手は28歳、22歳の選手は27歳だ。ウズベキスタンやベトナムには、18年1月に日本や韓国を下した選手たちが顔を揃えることになる。ベトナムは17年にU−20W杯への初出場を果たしており、若年層から国際経験を積み上げている。

 日本サッカー側の論理では、今回のベスト8敗退にはエクスキューズがある。しかし、勝者が成功体験やより高いレベルでの悔しさをつかみ、さらなる成長への糧にしていく現実を忘れてはいけない。ウズベキスタンやベトナムにあって日本にないものは、確実に存在するのだ。