今春のGIシーズンの幕開けを告げる「春のスプリント王決定戦」、GI高松宮記念(3月25日/中京・芝1200m)がおよそ2カ月後に控えている。その大一番を見据えた一戦、GIIIシルクロードS(京都・芝1200m)が1月28日に行なわれる。

 昨年は、ここで2着したセイウンコウセイ(牡5歳)が高松宮記念を制覇。本番との関連性が高く、今後を占う意味で重要な一戦となる。

 ただ、馬券検討においては、一筋縄ではいかないレースだ。過去10年の結果を振り返ってみても、1番人気は2勝、2着1回と馬券圏内に3回しか絡んでいない。そのうえ、1番人気が絡んだ3回にしても、3連単はいずれも高配当をつけている。

 先週の東海Sで3着に入ったモルトベーネ(6番人気)を推奨してくれた中日スポーツの大野英樹記者も、シルクロードSは「今年も波乱になる」と見込んでいる。

「2番人気が4連勝後、昨年は3番人気のダンスディレクターが連覇を収めており、人気馬がそこそこの成績を残していますが、2012年にあのロードカナロアが勝って以降、1番人気は5連敗中。さらに、現在の短距離路線における混戦ムードを象徴するように、ここでも確かな軸馬は存在しません。

 だいたい、3歳以来の芝レースに挑むニシケンモノノフ(牡7歳)が、セイウンコウセイ(58kg)に次ぐハンデ(57.5kg)を背負っている状況。穴党としては、見過ごすわけにはいかないレースです」

 そう語る大野記者が今回推すのは、背負い慣れたハンデ56kgで臨むキングハート(牡5歳)だ。

「キングハートは関東馬でありながら、京都・芝レースは5戦2勝、2着1回、3着1回、着外1回という”淀巧者”。前走のオパールS(2017年10月8日/京都・芝1200m)はマイナス12kgという大幅な馬体減で8着に沈みましたが、その後は立て直して、順調に乗り込まれていると聞いています。

 そして今回の鞍上は、同馬をすっかり手の内に入れている中谷雄太騎手。中谷騎手とのコンビでは、11戦4勝、2着4回、着外3回と結果を残しており、ここでもキングハートの力を存分に引き出してくれるはずです」

 キングハートは重賞勝ちこそないものの、昨年はGIII函館スプリントS(2017年6月18日/函館・芝1200m)で2着、GIII北九州記念(2017年8月20日/小倉・芝1200m)でも4着と善戦。前走の惨敗で嫌われるようなら、余計にオイシイ存在となる。

 日刊スポーツの松田直樹記者は、ハンデよりも展開面を重視する。

「過去10年の結果を見ても、ハンデ57kg以上を背負った馬が5勝していますから、斤量の重さはそこまで気にしなくてもいいと思います。

 むしろ、展開に注目して穴馬を導き出したくなるレース。というのも、京都・芝1200mはスタート直後に上り坂があって、3角過ぎからゴールまではなだらかな下り坂が続いていて、序盤で少しでもオーバーペースとなると、先行馬の脚が最後に止まる。要するに、展開次第では差し馬が有利になりやすい舞台なんです。

 見事な差し切り勝ちで2016年、2017年と連覇したダンスディレクターもペースを味方につけた印象が強いですし、2015年の2着、3着馬も後方からの追い込み勢でした。今年のメンバーも、セカンドテーブル(牡6歳)、ダイアナヘイロー(牝5歳)、ナックビーナス(牝5歳)など強力な先行馬がそろい、思い切った策が取れる人気薄の差し馬が台頭する流れになりそうです」

 そうした見解から松田記者が推奨するのは、マイル戦線から短距離へと路線変更してきたロードクエスト(牡5歳)。


スプリント戦で再び日の目を見そうなロードクエスト

「同馬は、GIII新潟2歳S(新潟・芝1600m)とGIII京成杯AH(中山・芝1600m)と重賞2勝。GINHKマイルC(東京・芝1600m)でも2着になった強豪マイラーですが、デビュー当初から小島茂之調教師が『骨格がしっかりしてきたら、スプリンターかも』と話していた潜在的な短距離馬なんです。

 現に前走のカーバンクルS(1月8日/中山・芝1200m)で、初の1200m戦に挑んで3着と、その適性を示しました。マイル戦だと露見するかかり癖も見られず、追走もスムーズでした。距離短縮で末脚のキレがそがれることもなく、今回2度目のスプリント戦で、さらにパフォーマンスを上げてくる可能性は高いでしょう」

 続けて松田記者は、ラインミーティア(牡8歳)の名前も挙げた。

「前走のGIスプリンターズS(2017年10月1日/中山・芝1200m)では13着と大敗を喫しましたが、それはスタートで躓(つまず)いて、まったく流れに乗れなかったことによるもの。

 7歳時の昨夏、GIIIアイビスSD(2017年7月30日/新潟・芝1000m)を快勝し、GIIセントウルS(2017年9月10日/阪神・芝1200m)で2着と好走したことを踏まえれば、年齢による衰えも心配する必要はないでしょう。冬場の休み明けがどうか、という点は気になるものの、久々は苦にしないタイプですから、大駆けがあっても不思議ではありません」

 大野記者、松田記者のふたりが関東馬を推奨するなか、デイリースポーツの大西修平記者は関西馬の一発に期待を寄せる。

「面白いのは、セカンドテーブル(牡6歳)です。昨年のGIII CBC賞(2017年7月2日/中京・芝1200m)2着以来、骨折で放牧に出ていましたが、昨年末に帰厩してからは栗東CWで好時計を連発しています。追い切るごとに動きがよくなり、このレースを目標にしっかりと仕上がった感があります。

 もともと気性が前向きなタイプで、久々を苦にすることもありません。前々で、揉(も)まれずにマイペースで運べれば、安定して結果を出せる馬。前走(CBC賞)から据え置きのハンデ56kgで臨めるのも好材料です。同馬の持ち味を知る水口優也騎手を背にして、休み明け初戦からエンジン全開を期待します」

 ケレン味のない逃げ脚が持ち味のセカンドテーブルには、大野記者も注目している。

「昨年のこのレースで、7番人気の低評価ながらも3着と好走しました。同馬が人気薄で、マイペースで先行したときの粘り強さは、これまでも何度も見ています。久々の分、マークは甘くなりそうですから、侮れないですよ」

 大西記者はもう1頭、ミッキーラブソング(牡7歳)も「気になる」という。

「前走のタンザナイトS(2017年12月16日/阪神・芝1200m)の勝ちっぷりが鮮やかで、ようやく復調したな、という印象です。1200m戦への慣れも出てきたのか、前々で運んだ道中の位置取りや、直線の末脚にはこれまでにない力強さを感じました。

 ひと叩きされて、中間の気配にもいい意味で前向きさと活気があり、引き続き勝った前走と同じ松山弘平騎手が手綱を取るのもプラス。充実期を迎えた明け7歳馬が、初の重賞制覇を果たしてもおかしくないと見ています」 群雄割拠のスプリント戦線。お宝配当を手土産に主役候補として抜け出す馬はいるのか。わずか1分ほどで決着がつく電撃戦に注目である。

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