日本と世界の現在、過去の収入差がわかる? 収入が増えると寿命も伸びる? データ視覚化サイトで世の中が見えてくる

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日本は少子高齢化だという。では、他の国はどうなのか?
日本は格差が拡大しているという。では、世界全体ではどうなのか?
100年前の日本人の寿命は?

インターネットが発達した今、こうしたデータは簡単に手に入るようになった。

今回紹介するサイトを利用すれば、日本はもちろん、世界各国のデータを美しいビジュアルで確認し、世界に対する新しい視点を手に入れることができる。

●世界の統計データをビジュアル化できるツール
ギャップマインダー財団は、スウェーデンに拠点を置く非営利団体だ。誰もが自由にアクセスできる公共統計の利用と理解を深め、信頼できる統計情報に基づいて世界を理解することを目的に設立された。


ギャップマインダー財団のホームページ(https://www.gapminder.org/)。


設立者のハンス・ロスリング(Hans Rosling)氏は、TEDカンファレンスに何度も登壇し、統計データをビジュアルに見せながら、世界のさまざまな事実を紹介するインパクトのあるプレゼンを行っている(2017年2月7日に死去)。

ギャップマインダー財団のWebサイトでは、同財団の目的を具現化したツールを利用できる。たとえば、次は世界における「収入(国民1人あたりのGDP)」と「寿命」の関係を年代別にグラフ化したものだ。画面は2015年だが、サイトでは1800年から2015年までの変化をアニメーションで確認できる。

もちろん、世界各国のデータをまとめて表示したり、特定の国のデータにターゲットを絞って表示したりすることも可能だ。


1800年から2015年までの国民1人あたりのGDPと寿命の関係。横軸が収入で縦軸が寿命。丸の大きさは人口を示している。画面は2015年における世界のデータ。



1800年から2015年までの日本における国民1人あたりのGDPと寿命の関係を軌跡として表示した。一時的に下がっているのは戦争の影響。


次は、中国、日本、アメリカの人口ピラミッドのグラフだ。各年代はパーセントで表している。1950年から2100年の期間に、各国の人口ピラミッドがどう変化するかを視覚的に把握できる。


中国、日本、アメリカの人口ピラミッドの比較。1950年から2100年の期間にどう変化するかをアニメーションで表示できる。画面は2018年のデータだ。



2050年になると、ピラミッドがこのように変化する。アメリカは各年代が安定的に推移するのに対し、日本は78歳前後、中国は63歳前後に大きい山があることが確認できる。


次は世界各国の収入を表したグラフだ。横軸が1日あたりの収入で、その収入を得ている人口がどのように分布しているかが国ごとに表示される。これも、1800年から2015年までの変化をアニメーションで表示できる。

たとえば、1980年は2つの山があり、日本は右側の山を形成している国の1つであることがわかる。それが2015年には山が1つになり、中国やインドの収入が大きく伸びていることがわかる。


横軸が1日あたりの収入で、その収入を得ている人口が国ごとに表示される。マウスポインタを合わせると国名が表示される。画面は1980年のデータ。



2015年になると山が1つになり、中国、インドが大きく伸びていることがわかる。世界全体で見ると、豊かになっているといえる。


また、次は「DOLLAR STREET」という少し変わったツールだ。これは、ギャップマインダー財団が50カ国、264の家族を訪問し、撮影した写真を収入によって並べたものだ。「家」「ベッド」「ペット」「歯」「トイレ」などの写った写真を、収入の低い方から高い方に並べ替えることで、その違いを確認できる。

日本の写真は含まれていないようだが、収入によって人々の暮らしがどのように変化するのかが、日常の写真を通じてわかる仕組みになっている。


DOLLAR STREETは、収入の低い方から高い方に世界各国の家族の写真を並べ替えるツールだ。



これは「トイレ」で並べ替えた結果。



同サイトには、この他にもさまざまなツール、資料が用意されている。人口や収入といった世界のマクロな情報を確認したいときは、非常に有用なサイトだ。また、さまざまな条件を設定してデータを美しく表示できるので、操作していて楽しい。教育関係者だけでなくビジネスパーソン、一般ユーザーも、ぜひ一度、アクセスしてみてほしい。

ギャップマインダー財団のWebサイト
ハンス・ロスリング氏のTEDでのプレゼン


井上健語(フリーランスライター)