AQUOS R Compactが注目されるのは、一般ユーザーが欲しいニーズがつまったスマートフォンだからだ

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”学割”を各社が年明け早々、全面に打ち出している。この理由は、スマートフォン市場がこれから春にかけて最も販売を伸ばせるかき入れ時となるからだ

以前に学割でスマートフォンを購入した新成人も、丁度この時期には割賦が終わる。
そのため新機種の買い換え、ほかの通信事業者に乗り換えなどの需要が見込まれるのだ。

店頭に並ぶスマートフォンは、
・専用の展示台を設けるアップルの「iPhone」シリーズ
・ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia」シリーズ
・NTTドコモ(以下、ドコモ)やauではサムスン電子の「Galaxy」シリーズ
などがならぶ。

iPhoneは、コンパクトな「iPhone 8」や大画面の「iPhone 8 Plus」、前面がほぼスクリーンとなった新しいデザインの「iPhone X」があり、ドコモ、au、ソフトバンクが全モデルを取り扱っている。

Xperiaは、ハイエンドの「Xperia XZ1」とハイエンドコンパクトの「Xperia XZ1 Compact」があり、好みのサイズ感で選べる。
iPhone 8のラインナップにも近いが、Xperia XZ1 Compactを取り扱うのはドコモのみとなる。

Galaxyは、ソフトバンクのみ取り扱いがない。
ドコモとauでは、ベースとなるテクノロジーは同じで、いずれもハイエンドな「Galaxy S8」、大画面の「Galaxy S8+」、Sペンによる手書きを可能とした「Galaxy Note8」という攻めのラインナップだ。

iPhoneは、3社全てが取り扱い、手厚い購入サポートなどもあるため売れ筋であることは間違いない。
Androidスマートフォンは、それぞれの各キャリアの戦略によってラインナップが異なることなるが、人気ブランドであるXperiaは3社ともにベースとなるモデルはしっかりとフォローアップされている。

今回。そうした状況の中、注目されているのが、Xperiaと並んで3社が取り扱っているシャープの「AQUOS R」だ。

AQUOSは、これまで3社で異なるハード構成や製品名であったが、「AQUOS R」ブランドに統一されたフラグシップモデルとなっている。

さらに
・エントリーユーザー向けの価格を抑えたモデル
・SIMフリー市場向けにカスタマイズしたモデル
この2つをラインナップさせるなど、Xperiaとは異なったアプローチでの製品展開を行っている。シャープは、スマートフォンを購入する層のニーズに合わせた製品展開を行っているわけだ。

さらに液晶の技術力を活かして中間層にもアピールするモデルを昨年末から展開開始している。

それが「AQUOS R Compact」だ。

AQUOS R Compact は、Xperia XZ1 Compactを取り扱わないauとソフトバンクの2社が取り扱いを決定したコンパクトなスマートフォンである。




AQUOS R Compactの特徴は、
・シャープの「フリーフォームディスプレイ」技術によって角を丸くした
・フロントカメラのスペース確保のために切り欠きを入いれた
など、シャープお得意の三辺狭額縁デザイン「EDGEST fit」をフルに活用した「
コンパクト」にすることにこだわった設定だ。
また、デザインだけではなく、使い勝手の良い指紋センサーを前面に搭載するなどAQUOS Rの流れを継承している。

しかしAQUOS R Compactは、ハイスペックなAQUOS Rとは異なり、ミドルクラスのプロセッサを搭載したモデルであり、ハイエンド志向のユーザー向け製品ではないのは明らかだ。

実際、一般層の利用者が、スマートフォンに搭載されているチップセット「Snapdragon 835」と「Snapdragon 660」の違いを意識していることは少ない。そもそも一般層の利用者にとってチップセットの差を知る必要はないため、違い自体を理解していないとも言えるだろう。

一般層の利用者にとってスマートフォンの選び方で重要なニーズは、
・「人気モデル」であること
・「売れている」モデルあること
・「安心感」のあるモデルであること
・そして「価格が安い」こと
これらとなる。

また、長期間にわたり1つのモデルを使うことが多いため、
・画面サイズ
・機能を含めた使い勝手の良さ
・バッテリーのもち
とくに繰り返し充電でのバッテリー劣化の善し悪しなど、買い替えモデル選びでは、重要視される。

こうした一般層のニーズを踏まえるとAQUOS R Compactは、
・「AQUOS」というネームバリューが大きい
・スペックや機能が丁度よい
など、一般層の利用者が欲しがるニーズのど真ん中を捉えるモデルといえるだろう。

懸念されることは、ハイエンドモデルに近い価格設定だ。
しかし、これも割賦購入での実質価格となれば、格安のSIMフリースマートフォンに近い価格となるため、割安感は高くなり、訴求力は強そうだ。

実際にAQUOS R Compactを使ってみると、動作は軽く表示も滑らかだ。
ベンチマークテストの数値がハイエンドモデルに及ばなくても、普段使う上で重要な体感速度は十分に得られるため、特に困ることはないだろう。

オンライン系アプリや音楽・動画などデータを沢山詰め込んで使いたいというなら、ハイエンドモデルをオススメするところだが、SNSや写真アプリ、ショッピングアプリ、話題のゲームを使うという用途なら充分過ぎる性能だからだ。

最近のスマートフォンは大画面に対するニーズも多いが、持ち歩くことや手に持った際の使い勝手から、4,9インチのコンパクトなサイズに対するニーズは一定数ある。

スマートフォンのサイズや使い方は、利用者の好みで大きくわかれる、
AQUOS R Compactの片手で操作できるサイズ感は、小型スマートフォンを求めるニーズにしっかりと応えている。

また、シャープのAQUOSシリーズには、もう1つ大きな特徴がある、人工知能アシスタントの「エモパー」だ。

AIを搭載し話しかけることで情報が得られる「スマートスピーカー」が話題となっているが、エモパーはユーザーからの話しかけだけではなく、エモパーから情報を伝える能動的な特徴をもった音声アシスタントなのだ。このエモパーは、使ったことがない人なら、かなり新鮮に映ることは間違いないだろう。




エモパーが動作するきっかけは様々だが、
例えば朝起きてAQUOS R Compactを手にすると、朝の挨拶から今日の天気などを音声で教えてくれる。

さらに外出時間や睡眠を学習していくことで、「そろそろ出かける時間ですね」、「おやすみなさい」など行動の変化も楽しめる。
周辺でのイベントやカレンダーに連動したアクションもある。

こうして使うほど能動的に動作するエモパーが便利に感じてくるのだ。

AQUOS R Compactのロック画面で時間を確認しようとすると、「○○時から○○が始まります」といったTV番組のレコメンドなど、ちょっとした気づきとなることも、愛着が沸いてくる理由だ。

こうし機械学習で成長したエモパーは、microSDカードにデータを記録することで、次のAQUOSスマートフォンにデータを引き継ぐことが可能だ。

AQUOS R Compactは、インパクトのあるデザインに惹かれ、サイズ感と丁度良い使い勝手が好きになり、エモパーでスマートフォンに愛着が沸く、そんな風に飽きの来ない良さが魅力であると感じる。

さらにAQUOS R Compactは、auとソフトバンク版だけではなく、SIMフリー版も1月下旬より発売される。

SIMフリースマートフォン市場では。
・コンパクトなサイズのモデルが少ない
・シャープブランド
・これまでの技術力とデザインによる使い勝手
こうした海外向けモデルが多いSIMフリースマートフォン市場の中では、独自性を活かすことで新たなユーザー獲得に挑む。

シャープは、以前とは異なり、「キャリア向け」と「SIMフリー市場」でも同じブランド名を使うようになった。
こうしたブレない姿勢で新たな価値を生み出そうとしていると言うわけだ。


執筆  mi2_303